10巻の太輔の部屋に2人で泊まったシーンの続きです。
ーそれからどれくらいたっただろう?
勇太はどうやら眠ったようだが、私はまだ眠れずにいる。
この部屋で叶は過ごしていた、このベッドで叶は眠っていた……、そう考えると叶との思い出が溢れかえってきて、私の隣で笑っているような感じがする。
私にはそれが幻想と思えなくなり、居るはずのないそれをそっと抱き寄せた。
彼はいつものように私に優しく語りかける。
ー『もう、心配いらないよ』とー
そして彼は私の唇にそっと接吻(くちづけ)た。私はその温もりを感じながら、心の中で思った。
ー「もう、どこにも行かないで」ー
私の手は自然と下の方へ伸びていった。そして服の下に手を忍ばせると、蜜で濡れた部分を探り始めた。
「(やっぱりダメだ!こんな事をしても叶はもう――)」
一瞬私の中の《理性》が私の《欲望》を押さえ込もうとする。だが、押さえ込もうとする《理性》が強くなればなる程、《欲望》が溢れ出して来て、私を浸食していく――。
私は蜜でいっぱいになった穴へと指を沈めていった。そして、第一関節を曲げたあたりを擦っていく。
最初はゆっくりと、徐々に激しく―。
「あっ…やっ‥ん…あァッ!…」
クチュクチュと、指と溢れ出す愛液がなんとも卑猥な音を発した。この音が更に私の《欲望》を高める。
「んはぁッ…ハァ‥か、かのう…あァッ!」
私の指は更に激しく、最も敏感な場所を擦り出す。さらに親指で核をクリクリと回したり、ぐっと圧迫したりする。そしてもう一方の手を上着の中に忍ばせ、自分の乳房を揉みしだいた。
「はぁっ!!あぅ!‥ん…あんっ、やぁっ…はぁぁん!!」
私は隣に勇太がいる事などとうに忘れ、この溢れ出る《欲望》に悶えていた。
まるで木から蜜を必死に掻き出すように、指は激しくクチュクチュと音を立てていた。
乳房を上下左右に揉みしだく手も激しくなり、先端のピンク色に染まった突起を手のひらで頃がしていく。
突起は硬くなり、ピンと天を向いていた。
その時、何かがカラダの奥からやって来るような感覚に襲われた。
徐々に近づいてくるソレは、私の頭の中を真っ白にしていくーー。
「ふぁぁっ!‥あっ!あっ!な、なにかくるぅ!…あっ!あくぅ!!」
そして、頭の中が真っ白になった瞬間、彼が真っ白な空間の中に一人ポツンと立っているのが見えた。
「あぁァァ!か…かのう!!……」
カラダは痙攣しながら激しく仰け反らせていた。
口からは唾液を垂らしながら、カラダを突き抜ける余韻を感じていたーー。
ーーしばらくして、私はベッドに倒れ込んでいた。まだカラダに余韻が残っているらしく、ピクッピクッと痙攣していた。
あの時、確かに彼は私の前にいた。そして笑顔で私から遠ざかっていった。私は必死に手を伸ばし、彼の腕を掴もうとするが、なぜかもう少しの所で遠ざかっていく。
―「(もう何処にもいかないで!もう私の前から消えないで!)」―
私は必死に叫ぼうとするが、彼には聞こえていない…。
また私の前から大切な人が消えてしまった…。
そう考えると急に現実に引き戻され、私の瞳から涙が溢れてきた。
そしてこの現実から逃げるように深い眠りについた。