「えと……あの……やっぱりだめ……」
「そんなこといったって、お前が家に忘れてきたりするからだろ」
「……」
「じゃあ、やっぱりこれを使うか」
「も、もっとだめ……」
「そりゃオレだって、高いし、もったいないけど」
「ち、ちがう……だ、だいじなゆびわ……だから」
「また頑張って買うよ。朝倉……じゃもうないけど、お前がいやなら、
しょうがないだろ」
「う、うー……」
「しかし、これ、本当にちっちゃいな。これ使っても、何分くらいもつかな。
それに、どれくらいかかるもんなんだろ」
「……い、いいの?」
「何が」
「ユウキくんが……いやじゃないか……って」
「いやって、お前が、炉を入れてないから?」
「……うん」
「なんでだよ。オレそっちがイヤだなんて言ったか?」
「は、はじめて……なのに」
「ば、バカ。そんなこと気にしてたのか」
「そんなこと……じゃない……」
「わ、わかったよ。けど、そんなこと言ったら、はじめて朝倉に会ったのだって、
その格好の時だろ。まぁ、こんなふうになるなんて、まったく思ってなかったけどさ」
「……」
「オレは……その姿の、お前だって、好きだぞ」
「……ユ、ユウキ、くん」
「うん?」
「うわきは、ダメ……」
「なんだよ。どっちもお前だろ」
「ちがう」
「え?」
「……しつれいながら、これはめいれいです。
いまは、ろをいれたときの、わたしをすきっていわない……こと」
「複雑なやつだなー」
「よ、よろしいですか?」
「はいはい、よろしいです」
「……いうこと……きくの?」
「聞いて欲しくないのか、どっちだよ」
「じゃ、じゃあ……えと……やさしく……おねがいします」