白刃に両断された放尿は左右に分かれ飛んで畳の上で湯気を上げた。
葵の膀胱で煮詰められた山吹色の水流は濃厚な磯の香りでこの部屋を満たした。
力無い最後の迸りが呆気なく終わりを告げた後も、葵は身じろぎ一つしなかった。股座に潜らされた縄瘤を紙一重の際どさで切断した凶器。
その白刃がどんな位置にあるのかはその目で見なくとも脳裏にありありと浮かぶ。
いや、切断されたのは麻縄だけではなかった。
葵の理性の糸までもがぷっつりと断ち切られてしまったかのように、焦点の合わぬ彼女の瞳は円らに見開かれたままだ。
恐怖と恥辱の血の涙に泣き濡れた瞳孔にはこの部屋の天井が映ってはいるものの、その映像が彼女の脳に届いているとは思えなかった。
その唇もフルフルと戦慄いてはいたがそれは言葉を紡ごうという意思の表れでも何でもなく、
圧倒的な恐怖に打ちのめされた葵の心と体が半ば条件反射的に震えているに過ぎない。
彼女の心は一体どれほど遠くの彼方まで弾き飛ばされてしまったのだろうか。或いは、先刻のまどろみの中での夢の続きを見ているのかもしれない。
願わくば中断されたあの悪夢の続きではなく、ささやかながらも幸せな夢の中にいる事を祈らずにはいられなかった。
煮詰められた愛液をドップリと染み込ませた荒縄がヌトリと音を立てて畳の上に崩れ落ちた。
まるでとろけたチーズを思わせる様相を呈した葵の分泌物は、昨晩の地下室で花菱翁が根こそぎ貪り尽くしたあの熟成恥垢を彷彿とさせた。
彼女がこの和室で目覚めてから半日、いや、三時間と立たぬうちに、そのマン滓だけは処女だった頃の葵と変わらぬ程にまで股の間を汚していた。
熱を孕んだ葵の柔肌からはムンと女の匂いが立ち昇った。
ズッ。
畳を貫いた刃を花菱翁が引き抜き、その切っ先を葵の脚を縛めている麻縄に当てた。その刃が軽く引かれただけで麻縄はあっさりと断ち切られた。
名刀であり、またよく手入れもされているのであろう。
もう一方の脚を縛り上げている縄も同じように切断されると、ようやく葵の下半身だけが自由を取り戻した。
元々そういった意向があったのか、本来なら一本の縄で緊縛されている筈の葵の肢体は、数本の縄を使って縛られていたのだ。
だが、折角下半身が自由になったのにも関わらず、心此処に在らずといった葵は股を閉じようとはしなかった。
「ふふっ、梃子摺らせおって」
そう吐き捨てた老人、葵の両の太腿の間にどっかりと腰を下ろした。細い足首をその手で掴み、ちょうど彼女の膝の裏が自分の肩の位置に来るようにその脚を担ぎ上げた。
つまり、花菱翁の目の前には桜庭葵の秘めやかな部分が余すところなく曝け出されているのだ。
発情した乙女の、むせ返るような芳醇な香りを胸いっぱいに吸い込む。葵の細腰を両手で持ち、グイと自分の方へと引き寄せる。葵は花菱翁のなすがままにされるだけだった。
酷薄そうな唇を舐めた舌先を尖らせて、老人は顔を突き出した。鼻先が濃密な茂みを掻き分け、その口がこじんまりとした陰唇全てを頬張る様に大きく開いた。
舌の先が葵の肉襞の間に潜り込んでゆく。ピリピリとした酸味と、黄金水の苦味を含んだしょっぱい味が味覚を刺激した。
だがその中に昨晩の散華の前とは違う、僅かな変化を老人の舌は感知していた。
もう昨日までとは違う、男を識ってしまった女の肉がいまだ処女の名残を残しつつも円やかな風味を醸し出している。
これから先、幾度となく屈従させられる事によってますます味わいは色濃く熟成され、年代物のワインのように豊かで芳醇な旨味とコクを重ねてゆくだろう。
その事を思い、老人の頬がニンマリとした笑顔の相を浮かべた。
そんな葵の媚肉の間を縦横無尽に駆け巡りその味わいを堪能していた舌の先端が彼女の最も敏感な女芽を捉えた。肉芯への媚薬の効果は覿面だった。
まだ柔らかい包皮の中に隠れてはいるものの、薄皮の向こうでははちきれそうなほどにパンパンに張り詰めた淫核の様子が花菱翁には手に取るように分かった。
生まれてこの方、十数年もの長きに渡って真性包茎だった葵のクリトリスは、
昨晩花菱翁の手によって強制的に包皮を捲り下ろされて剥き身にさせられたとはいえ、まだ剥け癖がつくまでには至っていなかった。
老人の舌先はそんな葵の女核を肉鞘ごとコロコロと舐め転がし、前歯で軽く甘噛みした。
そうして唇と舌で媚粘膜とクリトリスを愛撫しながらも、花菱翁は空いている片手をコチンコチンに凝り固まっている乳首へと走らせた。
「うっ……ううん……はぁっ……」
皮肉な事に、葵に正気を取り戻させたのは他ならぬ最凶媚薬がもたらすその強烈な催淫効果だった。
乳首とクリトリスから放たれる電流が、図らずも葵を現世に繋ぎとめる命綱の役割を果たしていたのだ。一体その事は彼女にとって僥倖だったのか、はたまた不運だったのか。
朦朧とした意識にかかっていた濃霧が徐々に吹き流されると、閉ざされていた視界の向こうには意識を失う前となんら変わる事のない恥獄絵図が葵を待ち受けていた。
老人が自分の股間に頭を埋めているのだ。
「ひっ……ひィッ、ひいィ~~~~~~~~~~ッ!!」
陵辱の和室に葵の絶叫がこだました。
身を捩って老人の舌戯から逃れようとするものの、花菱翁の片手は未だ葵の上半身を縛める麻縄の端をしっかりと掴んでおり、
その老人離れした驚異的な膂力の前には葵の抵抗などどれ程のものでも無かった。
舐め転がされるクリットからは強烈な快感が激しい火花を散らせながら全身に駆け巡る。
このままでは快楽に飲み込まれて息も出来なくなって死んでしまうか、よくても気が狂ってしまうに違いない。身体の芯を凍りつかせる恐怖が葵を襲う。
「おっ、お願ひぃッ! 止めッ、止めてッ、下さひィッ!!」
呂律の回らなくなった口から懇願の言葉が吐き出されると、驚いた事に老人は葵の股間から顔を上げた。口元は葵の愛液でヌラヌラと濡れ光っている。
肩に担ぎ上げた両脚を畳の上に下ろして、再び大きなモニターの上にどっかりと腰を下ろした。老人の股の下の画面ではいまだに母親が延々と嬲られ続けていた。
老人の思惑など知る由もなく、薄い胸を激しい息遣いにふいごのように上下させて空気を貪るのに葵は必死だった。
だが、葵に訪れた安息は束の間に過ぎなかったのだ。
花菱翁に嬲られている間は忘れていられたあの痛痒感がぶり返してきたのだ。全身に蟻が群がっているかのようだ。
しかもその痒みは膣や肛門の内側の繊細な粘膜や、乳首などの性感帯ほどより耐え難い感覚をもたらした。
これならば、まだ縄の褌をさせられていたり、老人の愛撫に身を任せていた方がマシだと思われた。
幸い下半身の拘束は解かれていた。太腿を擦り合わせ、背中を丸くしてじっと堪えようとする。
……駄目だった。ぴったりと閉じた太腿の間にも、脇の下にも、全身のありとあらゆる場所からじっとりと冷たい汗が噴き出してきた。
ちらと花菱翁の方に視線をくれる。
まるで実験台にされた動物を観察するかのような、感情のこもらぬ冷酷な視線が葵を射竦めた。
(出来ないッ……そんな事、絶対に……出来ない……)
他人の視線という目に見えない枷だけが、葵に人の道を踏み外させない唯一の拠り所なのだ。
葵にはじっと耐えるだけしか道は残されていないのだ。
気を張っていなければあっと言う間に恥獄に堕ちてしまうギリギリの綱渡り。汗に塗れた下半身がもどかしげにうねる。
控えめに太腿を擦りあわせる事で、葵は何とかこの昂りを押さえ込もうとしているようだったが虚しい抵抗に過ぎない。
花菱翁の顔色を伺うように、チラチラと視線を向ける。
(……お、お祖父様さえいなければ……っ!)
他人の視線さえなければ……葵は気が狂いそうな程にそれを願った。
だがドッカリと腰を下ろした老人は微動だにする気配もなく、じっと葵を見下ろしている。
身体の自由さえきかなければ快楽に耐えるだけでよかったのだ。なまじ中途半端に束縛を解かれた事が、葵の苦悩をより深くしていた。
彼女の剥き出しの本能と、鎧のような理性が正面からぶつかりあう。
老人の視線さえ無ければ、とっくの昔に葵の理性は屈服させられていたに違いなかった。
「お、お祖父様っ……席をっ、外して下さいッ!」
「………」
「お願いッ……ですっ……どうかッ……」
「……何をするつもりだ?」
花菱翁が静かに口を開いた。
「……えっ?……」
「ワシが居なくなったら、何をするつもりかと訊いておる」
「そっ……それはっ……」
言えなかった。言える筈もない。その一言を引き出さんとする老人のいたぶりに身を揉むしかない葵。
「ああっ……駄目ッ……駄目なんですッ!!……」
畳の上で身悶えしながら、葵は必死に踏み止まろうとしている。
「うっ……うふうッ!…………はうッ……」
己の肉汁で気味悪く粘つく内腿がせわしなく擦り合わされる。その姿はまるで内側から湧き上がってくる尿意を堪えているかのようでもあった。
恨めしげに老人を見上げる葵。その彼女の唇がワナワナと震え、耳をそばだてなければ聞こえぬ程の小さな声で、
とうとう白旗を揚げてしまうその一言を搾り出した。
「……おっ、お願いですッ……見ないで……見ないで、下さいッ!」
勿論花菱翁が目を逸らす筈もない。炯々とした眼光が葵を射竦める。
それならば、という積もりなのか。葵は自分の瞼を固く閉じる。せめて自分の視界からだけでも花菱翁を消してしまいたかったのかもしれない。
もう媚薬の効果に逆らうのも限界だった。不自由な身体を捩って畳の上に腹這いになる。
葵は自分の乳房を自ら畳に押し付ける。充血してパンパンに張り詰めた胸の膨らみが葵の体重を受けていびつに歪んだ。
(ああっ……イイッ……)
声が漏れても不思議ではなかった。情欲に支配された虚ろな瞳。頬はあられもなく紅潮し、ふっくらとした唇がしどけなく開いた。
もはや他人がすぐ側にいる事も忘れて、葵は乳房をムリムリと畳に擦りつける。敏感になりすぎた乳首が粗い畳の目で刺激される。
「うっ……くふぅッ……」
甘美な電流が両の乳首から全身にビリビリと疾った。
(も、もっと、もっとぉ……強いのが……欲しいッ……)
透き通るかのような薄い桜色の小粒な乳首も、今では濃いローズピンクに色付き大きさも二周りほど肥大してしまっている。
鮮烈な色香こそ放ってはいるものの、それでも淫らがましい印象からは程遠く上品ささえ漂わせている。
流石は名家のお嬢様、と言うべきだろうか。
その硬くなってしまった乳房の先飾りを畳にザリザリと擦り付けてみても、ある程度までのの快感しか手に入れる事が出来ない事に葵は愕然とした。
(違うのっ……私が欲しいのは、もっと……ああっ……)
瞳を閉じたところで、老人がこの場にいなくなった訳でもない事は重々承知している。他人の目の前でこれ以上の痴態を曝す事なぞ、例え死んでも出来る筈はない。
だが。
捩り合わされた太腿が徐々に緩みだす。ドロドロに蕩け崩れたおんなの縦溝が姿を現した。
内腿に、恥丘に、蟻の門渡りにまで、べっとりと濡れそぼった陰毛が千々に乱れて淫らがましく張り付いている。
バックリと開かれた両脚の狭間の羞恥の源泉。
ヴィーナスの丘に一本のスリットが刻まれただけの、
シンプルかつ清冽な佇まいを持っていた筈の葵のヴァギナの面影はそこには微塵も残されてはいなかった。
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