葵への強引の縁談から逃れるため薫と葵は駆落ちを決意する。
新天地での二人の幸せな生活が始まる..はずであったが、
この不景気の最中、薫の職はなかなか見つからない。
ある日、薫が倒れる。幼少期から受けた虐待が薫の健康を蝕んでいた上
職探しの心労が重なったのだ。
二人の生活を守るため、そして愛する許婚の病の治療費を稼ぐため、
葵は働きに出る決心をする。しかし、女が大金を稼げる仕事など
普通あるはずがない。やがて葵は妖しげなネオンきらめく街へと足を踏み入れた。
「お帰り、葵ちゃん。和裁の仕事、えっと..着物の修繕だっけ?
もう慣れた?ごめんね、僕が元気だったら葵ちゃんに苦労なんか...」
葵はそれをさえぎるように「薫さま、そんな悲しい顔をしないでください
お仕事結構楽しいんですよ、それに私、和裁が好きだし。」そう言う葵の
顔に影ができる。しがし薫に悟られないようにすぐに笑顔に変えた。
それから2ヶ月後、通院の帰りに書店に寄った薫は何気に風俗情報誌を
手に取る。あるページをめくった時、薫の手が止まる。というより体が
固まって呼吸さえ忘れたかのようだ。「こ、これって..あおいちゃ..ん?」