机にあるレポートに向かって、何か文字を書こうとするたびにポキッとシャーペンの芯が折れ、何度もそれをくり返す。
冷静を装うとしているが、まったく上手くいってないのが丸解りだ。
やがてシャーペンの芯が切れたのか、意味の無いノックのカチカチと鳴る音だけが、狭い部屋に響く。
……だめだ、全然集中できない……
いま薫の頭を占めているのは、目の前のレポートではない。……雅の事だ。
……いくら葵ちゃんの為て言われても、雅さんとあんな事になるなんて……
薫は激しく後悔していた。冷静になって考えてみれば、雅の言ってる事はムチャクチャである。
しかし、どんなときも、後悔は先には立ってくれない。
……雅さんとあんな……
そして、身体は心の葛藤を無視して、“あんな事”を思い出して股間をふくらませる。
雅の潤んだ瞳、喘ぎ声、震える身体、なによりも羞恥に堪える表情、そのすべてが鮮明に思い出せた。
……雅さんを誘えばもう一度させてくれるかなぁ?……
そんな事をチラッとでも考えてしまうのは、昨日童貞を卒業したばかりのオトコならば無理からぬ事だろう。
「あぁ〜〜!! ダメだダメだ!!」
頭を振って、よからぬ考えを追い出す。大体から、彼女がそんな事を許すとは思えない。
あくまで、雅は葵の為に身を投げ出したのである。それが己の身体に溺れられては本末転倒もいいところだ。
薫は立派にテントを張った股間を見る。甘美な味を知ってしまったからには、自分で処理をするのはあまりにも空しい。
……じゃあ、これはどうすればいいのか?
“ガチャッ”
「薫〜〜! おると!!」
いきなりドアが、ノックもせずに開けられる。
「ティナ!?」
ドアには背を向けているので、ティナからは見えるわけはないが、薫は反射的に手で股間を隠した。
「どうしたと? そんなに慌てて?」
「オ、オマエがいきなりドア開けたから驚いたんだよ」
これはウソじゃない。声は驚きで裏返ってる。
「あ、ゴメンゴメン♪」
ほっぺたを人差し指でカキカキ、照れたようにあやまる。今日の服装はラフなジーンズと、薫も買ったユニクロの黒いTシャツだ。
「まあ、いいけどさ で、なんだよ いまレポートやってんだけど?」
とりあえず、いまはティナを部屋に入れたくない。実際、レポートをやって“いた”のは本当だ。
「なら、ちょうどよか」
いそいそと、後ろ手に持っていた紙袋を薫の前に差し出す。
「一息入れるためにタイヤキ買ってきたばい!」
すでにティナは、ちょこんと畳の上に座ってる。
「じゃ、じゃあ居間で! みんなで食べよう な、な」
「大家さんと妙ちんは買い物行くって玄関ですれ違ったばい、ちかりんは部活やし、ジャリッ子はめずらしく今日はおらんばい」
「雅さん、雅さんは?」
「管理人さんは仕事がいそがしいから、二人でどうぞて」
「……そう……二人で……」
雅はどういう意味で言ったんだろうか?これは、深読みしすぎなんだろうか?
「みんなにバレないように、早く食べてください、て言っとった」
「ば、バレないように……」
ここまで言われれば、どんなに薫がニブくても、雅がなにをしろと言っているのかはイヤでもわかる。
「管理人さんもああ言ってくれとるんやし 薫、温かいうちに食べよ♪」
にっこりと微笑むティナ。薫はゴクリッと生唾を飲み込む。
……タイヤキに…だよな?……
そんなわけないのは、本人が一番よくわかっていた。
「薫はアタマとシッポ、どっちから食べると?」
ティナが薫の手にするタイヤキを見ながら尋ねる。タイヤキを食べるときの定番の質問だ。
「アタマ、かな?」
「やっぱりそうやろ! タイヤキはアタマからガブリッといかにゃあ」
言いながらアタマからガブリッと食べる。美味そうだ。
「ほら、薫も、温かいうちに口に入れんと」
「うん」
薫も大口開けてガブリッと一口。くどすぎず、それでいて自己主張を忘れない、絶妙なアンコの甘味が口の中で広がっていく。
「美味い、美味いよこれ」
「そうやろそうやろ、いや〜〜、苦労した甲斐があったばい♪」
二人の間に流れている空気はいつもと変わらない。薫は少しホッとした。
いくら雅がお膳立てしてくれたとはいえ、ティナとそんな関係になるなどありえない。いや、ありえっこない……はずだが……
そんなありえっこない女性と、ありえない関係を持ってしまったのは、つい昨日の事だ。
「な、なんだよ、ジッと見て」
タイヤキを口一杯に頬張る薫を、ティナが熱心に見ている。
「え!? あ、ごめん……」
「いいけど…さぁ……」
ティナの頬が、気のせいかうっすらと赤いような? でも、どうして赤いのかまでは薫にはわからない。
「か、薫……」
「ん?」
「もっとよく……瞳ば見せてほしいばい」
「はぁ!?」
「ジャリッ子が言っちょった、薫の瞳が語っちょるて」
ティナがいったいなにを言っているのかは薫にはわからないが、どうやら、昨日の朝、繭と言い争っていた事らしい。
二人が口喧嘩するのはいつもの事なので、薫はそのとき人助けをしている真っ最中もあり、内容を聞き流していた。
「『繭ちゃん、明日は二人っきりで朝食を食べよう。その後は美術館に行き、おしゃれなカフェでお茶をして夜景の素敵なレストランで
ディナーを楽しみ、そして…』な〜〜んてことを、ジャリッ子がのたまわってたばい」
ご丁寧にも、ティナは繭の口真似までして内容を教えてくれる。しかしまあ、それはそれとして、
「そんな器用なこと出来るわけないだろ」
そりゃあそうだろう。そんな器用な事が女性に対してできるなら、童貞は昨日と言わず、葵に再会する前、十代で卒業してる。
「だから、それが本当かどうか……瞳、よく見せてほしい」
「いや、でも……」
「いや?」
ティナの瞳が一瞬、泣きそうに潤んだ。
……マズい!!……
このおかしな流れになりかけてる空気をなんとしてもスルーしなくては、薫は友人を、大切な友人を失ってしまうかもしれない。
「ほ、ほら、ティナみたいな美人に見られたら照れちゃうだろ」
その危機感からか、冗談めかして言った声も少し硬くなってしまう。
「わたしは……薫を見ていたい……」
「て、ティナ」
いつのまにか薫は、ティナの唇を見ていた。ゴクリッと喉が鳴る。
上目づかいで見つめてくるティナの唇は、リップを塗ってないのに桜色で…………………………柔らかそうだ。
ふらふらと光りに誘われる羽虫のように、薫は吸い寄せられていく。
「……あ」
二人の唇が正面衝突した。ポットリと、ティナの手の中からタイヤキが滑り落ちる。それっきり、ティナは身じろぎ一つしない。
「……………………」
「……………………」
それが、短いのか長いのかもわからない。二人は唇を触れ合わせていたが、薫のほうからスッと離れた。そして、後悔する。
……なにしてんだ俺は!!……
これでティナとは、もういままでのようにはしゃべれない。いや、それどころか嫌われたかもしれない。そう思うと無性に悲しかった。
「……ごめん」
いまは、これだけを言うのが精一杯。本音を言えば、ティナの前から逃げ出したい気分だ。
「どうして……あやまると?」
「いやだろ……俺とこんなの」
まともに、一番の友人の目が見れない。
「薫は私とじゃあ……いや?」
「そんなわけ……ないだろ」
答える声がどうしても硬く、突き放すようになってしまう。
……悪いのは俺なのに……
自分の身勝手さが薫はいやになってくる。
「私も、いやじゃなかよ」
「え……」
顔を上げた薫の唇に、こんどはティナが触れてきた。その身体は震えている。ティナは唇をそっと離すと、切ない声で囁く。
「私は……薫じゃなきゃ……いや……んンッ!!」
弾を込めたのは雅だが、このとき初めて、薫は自分の意志で引き金を引いた。
ティナの唇を貪るように強引に奪う。にっこり笑う葵がちらつくが頭からかき消す。いまはただ、ティナが欲しかった。
「ん!?……んぅッ……………んン……んふ………」
舌を入れようとすると、ティナは一瞬驚いたように身体を堅くしたが、すぐに唇を開いて受け入れる。
口内に侵入した薫の舌先は、歯の一本一本をを丹念になぞり、以外に敏感な上顎の裏をくすぐってから、怯えたように
縮こまっている舌をからめとった。
「ん……んぁッ……んふ……んちゅ」
されるがままだったティナの舌も最初はオズオズと、そして段々と大胆に、情熱的に薫の舌と戯れる。
「んふぅ……」
それでも長く続いた口づけに、さすがに息が苦しくなったのか、ティナが小さく鼻を鳴らすと、ようやっと薫は唇を離した。
二人の間を銀色の糸が繋いでいる。
薫はキスのショックに、酔っているみたいにポーーッとなっているティナの耳元に寄せると囁いた。
「俺、もう止まれそうにない……最後まで……していいか?」
ティナは真っ赤な顔で恥ずかしげに目を閉じると、ギュッと薫の背中に腕を廻してコクンッと一つ頷いた。
「ありがとうな……」
背中を抱きながら、薫は覆いかぶさるようにティナを畳の上に押し倒す。正面からティナの瞳を覗き込むと、再び唇を奪った。
「んン……」
そのまま唇を触れ合わせながら、薫の手がそっとティナの乳房にかぶせられる。ティナがピクリッと身体を震わせた。
薫は唇を離すと、ティナにもう一度お伺いを立てる。
「いい?」
「いちいち聞かんでも…よかよ…… 私の身体……薫の好きにしていい……」
言った後は、さすがに薫の視線に耐え切れづ、ティナはプイッと逃げるように目を逸らす。
薫は“ごくッ”と大きく喉を鳴らして生唾を呑み込む。
……てッ……ダメだダメだ……ティナは女の子なんだから……優しくしなきゃ……
無闇に乱暴になりそうになる自分を懸命に抑えながら、薫は指先にゆっくりソフトに力を込めた。
「あッ」
ティナは肩をすくめて、少女のように可愛い声を上げる。
添い遂げられるはずがないと思っていた想い人が、薫が、いま自分の胸をふれてている。
そう思うだけで、ティナには送られてくる快感が何倍にも膨れあがって感じられた。
そっと薫を盗み見る。
「!?」
目が合ってしまった。にっこり微笑まれると、マラソンした後のようにバクバクと心臓が早鐘を打つ(まあ、さっきからずっとだが)
……なんでそげんふうに笑いかけるばい!!……は、恥かしかよ、薫……
そんなティナの可愛い狼狽ぶりに、たとえ一度だけとはいえ経験のある薫には、余裕のようなものが生まれていた。
「俺、女の人の身体ってよくわからないんだけど……気持ちいいか?」
耳元で意地の悪い質問をしてみる。
「え!? あ、う!? えぇ!?」
これ以上赤くはならないと思っていたティナの顔が、さらに“ボッ”と音が聞こえるくらいに耳まで真っ赤になった。
「ティナ、教えてよ♪」
「あンッ」
やわやわと指先を蠢かせながら、薫はなおもしつこく囁く。
目の前にいる、いままで知らなかった可愛いティナを見ていると、薫は意地悪な自分を抑える事が出来ない。
自分の中にこんなイジメッ子が潜んでいたのかと思うと、薫は密かに驚いていた。
「ねぇティナ、教えてよ……気持ちいい♪」
「ひッ!」
耳たぶに歯を立てる。ティナが羞恥心に耐え切れづに身をひねるので、いつの間にか後ろから抱きすくめる形になっていた。
「それとも……他も触ろうか?」
ティナのジーパンのチャックに手を掛ける。“ジ〜〜ッ”と鳴るジッパーの音が、やけに大きく聞こえた。
わずかに出来た隙間に、ゆっくりと薫の指先が消えていく。
止めようと思えば止められる。でもティナは潤んだ瞳でその指先を見詰めるだけだ。
恥じらいを見せる内腿を押し割って、薫の指がショーツの上からティナの恥丘に触れる。
「あ………」
瞬間、ティナの手がギュッと薫の服の袖を握り締めた。好きな人だろうがなんだろうが、恥ずかしいものは恥ずかしい。
しかし、そうしたティナの愛らしい反応が、より一層、薫の中にいる牡を刺激する。
揃えた指先を、ショーツの上から秘裂に食い込ませた。ビクッとなったティナの内腿が、乙女の恥じらいで薫の指先を締めつける。
「ティナ……」
「んッ」
耳元で熱い息を吹きかけるようにお願いすると、ぷるぷると震える内腿が、少しづつ薫の指先を受け入れていった。
「ふぅッ……んンッ……あ…うぅッ……んッ……」
薫の指が動き始めると、ティナの唇からはすぐに鼻に掛かった声が漏れ出す。
これは、薫がべつに巧い訳ではない。原因は主にティナの方にあった。
……薫が…薫が私の身体にさわってる……なんか、自分でさわるよりもバリ気持ちよか……それに喜んでくれとるし……
さっきからずっと、ティナの丸いお尻の谷間には熱くて硬いものが当たっている。
いくらティナがこういったことに初心だとはいっても、それがなにかくらいはわかっていた。
『薫が自分の身体に興奮している』そう思うと恥ずかしさと同時に、経験したことのない快感がどんどん湧き上がって来る。
「濡れ易いんだな、ティナは」
薫は指先に湿り気を感じると、ティナの耳に囁いてみる。実際はどのくらいが女性の感じ易い目安なのかわからなかったが、
ティナは恥じ入るように目をつぶって歯を噛み締めた。
「ねぇ ティナ 気持ちいい?」
優しく、そしてイジワルな質問を、薫はご満悦の顔でしてみる。ティナはイヤイヤと子供のように首を振るだけだ。
「可愛いティナの声が、もっともっと聞きたいな♪」
目を細めると、薫は女性の最も敏感な突起を撫で上げる。
「ふぁッ!!」
ティナの背筋を甘い痺れが走り、吐息まじりの声が漏れた。薫は突起を指の腹で転がして、連続的にティナに快楽のパルスを送り込む。
「やっ……か、薫…ンッ……はぁッ……ン……んふぁ……やはぁッ!」
自分の奏でるはしたない声に、ティナは消えて無くなりたいほどの羞恥心を掻き立てられたが、どんなに抑えようとしても口からは
扇情的な声が数珠つなぎにあふれてくる。
そして、心のどこかでは、薫に聞いてほしいと思ってる自分がいる事にティナは気づいていた。
「うぁッ……は……くぅんッ……ああッ……」
弄くられることに慣れてないティナの身体は、薫の一つ一つのタッチに健気に反応を寄越して返す。
敏感な突起をショーツの上から少しきつめにひねったりすると、まるで感電でもしたかのようにビクンビクンッと身体を震わせた。
そんなティナを見ていると『もっと感じさせたい』という征服欲のようなものがムクムクッと首をもたげてくる。
指をジッパーの隙間から引き抜くと、
「ほら、ティナのでこんなに濡れてる」
ティナの目の前にかざして見せた。下着越しなのに、その指先は透明な粘液で濡れ光っている。
「あ、ああ……」
薫の濡れた指先が、ゆっくりと、リップを塗るようにティナの唇を撫でる。
「んん……んぁ……」
決して無理やりにという感じではなく、薫の指先がティナの口唇を割って中に侵入を果たした。
ティナの唾液に濡れる薫の指先は今までよりも更に動きがゆっくりとなり、オズオズと絡めてくる舌と戯れる。
いつしか、その行為に夢中になっていたティナは口唇から指が引き抜かれると、“ちゅぽッ”と可愛い音がした。
「あン……」
ティナの口唇から、薫の指を追うように舌が伸びる。
「……あ!?」
自分のはしたない行為に気づいてティナは慌てて舌を引っ込めた。そろ〜〜っと薫を窺ってみる。
そこにはもちろん、変わらずにっこり微笑む薫の顔。
「俺、もっともっとティナのことが知りたいな……」
ジーパンのホックを外して、ティナの顔を見ながら引き下ろしていく。
「ふふっ ありがとう、ティナ」
ティナも非常に協力的だ。お尻をひょいっと上げてくれる。耳元で囁くとコクッコクッと頷くが、目はギュッとつぶったままだ。
「こうやって脱がされるの、恥ずかしい?」
言わずもがなことを、薫はわざと聞いてみる。イジメッ子モード全開だ。
イジメラレッ子のティナは、コクッコクッと頷くことしかできない。
「ふ〜〜ん じゃ、もうやめてほしい?」
ブンブンッとティナは首を振る。頬に涙が零れた。ここでやめられたら、心も……身体も……切なすぎる。
この反応に慌てたのは薫だ。ティナの涙を指先で拭う。
「だいじょぶ、やめたりしないから ………調子に乗りすぎた、ごめんな」
「……グスッ……ズズッ……」
薫の言葉に安心したのか、それがまた涙の呼び水になって、ティナは子供のように鼻水を啜り上げた。
「……ほんとに……ウグッ……やめたり…ズズッ……せんと?………」
「うん、やめたりしないよ お尻を上げてうつ伏せになって」
「……うん」
薫の腕の中から抜け出るのに名残惜しさを感じながら、ティナは言われたとおりにうつ伏せになると、お尻を高く上げる。
「……あ!?」
そこでティナは気づいた。この格好は、さっきよりもずっとイヤラしいことに。
"ズリッ……"
もちろん計算ずくの薫は、問答無用でショーツを腿の半ばまで一気にずり降ろす。
ティナのお尻が外気と視線に晒された瞬間、サァッと紅くなり、
……なんか……桃が食べたくなってきたなぁ……
薫の食欲をそそった。人間の性と食は密接に結びついていることを、薫は妙な場所で実感してしまう。
まあ、それは置いておくとして、大変に無作法だが、腿を伝って流れる落ちる果汁を味見すべく薫は舌をのばした。
"んちゅッ……"
一舐めすると、
「ひッ」
ティナが短い悲鳴を漏らす。
反射的に前に逃げようとするティナの腰を掴まえると、薫は粘膜のさらに奥へと舌を尖らせるようにして潜らせた。
「あッ……ふぁッ……ああッ……やッ……んふぅ…」
ティナは人一倍健康な身体を持っているので、欲求に勝てずにオナニーすることだって無論ある。
するときは『これが薫の指だったら』と思ったことは何度もあったが、『舌で』というのはティナの乏しい性知識では想定外だった。
"ぺちゅ・ちゅる・ちゅぶ……"
舌は熱心に、そして丁寧に、行儀の悪い音を立てて秘裂を舐め上げる。
薫の柔らかな舌先が踊るたびに、ティナはぶるぶると震えて肌を粟立たせた。丸いお尻が右に左に淫らに揺れる。
そしてそれは、四つん這いで身悶えするケモノ娘に唐突にやってきた。
「あ……あ……ああッ〜〜!!」
隣の部屋に人が居れば、まず間違いなく聞こえるだろう声を上げながら、ケモノの遠吠えのようにピーーンッと背を反らせると、
ティナはくたりと崩れ落ちる。
「ティナはみや…!?コホンッ……ほんとに敏感だな」
薫は基本的にウソがつけないオトコの上、気づかされたティナの可愛さにどこか有頂天になっていたのかもしれない。
愛液に濡れた口元を拭いながら、ポロリッと出かけた秘め事を業とらしい咳払いでごまかす。
もっとも、ティナは現在アッチの世界にイッてるので咎められる心配はないだろう。
……雅さんの段取りがいくら巧くても……俺が墓穴掘ってどうすんだよ……気をつけなきゃな……皆の為にも……
真摯な、それでいて虫のいい反省をして気を引き締めると、改めてティナを見る。
顔から突っ伏しているが、お尻は健気に高く上げたままだ。愛液を滴らせながら、秘唇はひくひくっと蠢いている。
"ごくりっ"
喉を鳴らすと、薫は逸る心を抑えるように、殊更ゆっくりと勃起を取り出した。
当たり前だが、狭い部屋で一人コソコソ隠れてする自慰行為とは興奮度が違う。
そこは『こんなにデカかったけ?』と薫が自分で驚くほどに大きく力強く、そして下っ腹に付きそうな勢いで急激に隆起している。
……ティナはやっぱり初めてだよなぁ……濡れてないと痛いって聞くけど……このぐらい濡れてればいいのかなぁ……
薫の性知識も微妙に偏っていた。このぐらいもなにも、潤滑油はもうこれ以上必要ないほどティナは濡れている。
それにどんなに濡れていたって痛いものは痛い。
どうしようか?と薫は逡巡したあげく、結局ティナに聞いてみた。
「ティナ、その……もう…へいきか?」
首だけを気だるげに振り向かせるティナのいまいち焦点の定まらない視線が、徐々に光りと忘れかけていた羞恥心を蘇らせる。
視線は、初めて見るだろう牡器官に釘付けだ。
「そ、それ……アレ?」
「………うん、アレ」
ティナの言ってる『アレ』とは、薫の出している『アレ』で間違いはないだろう。
非常に間の抜けた会話だがふざけているわけではない。当人達はいたって真面目だ。もっとも、それがまた可笑しいのだが。
「いい……か?」
なんの了解を求められているのかは、もちろんティナもわかっていた。
視線を股間から引き剥がし、潤んだ瞳で薫を見つめる。『瞳が語っている』それはけして、少し妄想癖のある少女の戯言ではない。
そこからは、捧げるものの決意が読み取れた。
「うん…………来て……」
さすがにその声に、ヴァージンだけが醸し出す怯えが含まれてるのはしょうがない。
「なるべく痛くないように……ゆっくり……いくからな」
少しでもティナの不安を和らげようと、薫は微笑むと、勃起の根元に手を添えて角度を調節する。
先端が触れた。ぬちゅとした膣内粘膜が勃起に吸い付いてくるのを感じると、薫はそれだけで危うく射精しそうになる。
気合を入れ直して腰を進めると、なにかを押し割るような感覚が生じた。
「…んぐッ」
口から漏れるティナの声は、快感を表す為のモノではない。股間を見ると太股の間をスーーッと一筋、血が流れていた。
「痛いか?」
聞くとティナはぶんぶんと首を横に振る。痛くないわけがない。
我ながらバカな質問をしたと薫は思ったが、プルプルッと震えるティナの背中を見ているとなにかを言わずにはいれなかった。
本音を言えば、牡本能の思うがままに腰を突き動かしたい。
しかしそれは、いくらなんでも処女を散らしたばかりのティナには酷だろう。
薫はは挿したまま、しばらくはじっとティナが落ち着くまで待った。
「………………うッ」
それに、動けなくとも充分気持ちいい。キュッと膣全体が収縮し、根元までしっかり咥え込んだ勃起を締めつける。
勃起は心地よい締めつけの中で力強く脈打っていた。
「う、動いても……よかよ……」
「無理しなくても……いいぞ……」
首だけをひねると、ティナは微笑んでみせる。少し、その笑顔は痛々しい。
「……薫が気持ちよくなってくれんと……私も……ダメやから……」
いじましいティナのセリフに反応したのか、完全に勃起しきっていたと思われた薫の牡器官はティナの膣内でさらに体積を増すと、
丸く尖った先端が喉の柔らかい部分を突き上げた。
「ひぅッ!!」
不意打ちで突き上げられて、ティナの口から甲高い悲鳴がほとばしる。
艶のある声。どう聞いてもそれは、苦痛を訴えるためのモノではなかった。
「いまのは……痛いんじゃないよな?」
一応聞いてみる。
「……はぁ……な、なんか……よくわからん……けど……」
「けど?」
「ゾクッと……したか……」
薫はティナのセリフを最後まで言わせず、腰を掴むと亀頭が抜けるギリギリまで後退させると勢いをつけて叩きつけた。
「ふぁあッ!」
ティナの頭の中を、脳天から爪先まで快楽パルスが突き抜ける。力任せの挿入にも、ティナはもう間違いなく歓喜の声を上げていた。
「うぁッ…は……ああッ……あ……ぅああッ……ふぅ……うぅ…あ、ひッ……うはぁぁッ!!」
ガムシャラに突き挿れるだけのテクニックもなにもない拙速な動きだが、その暴力的なまでに荒々しさに、さっきまで未通娘だった
ティナが抗えるわけもなく、薫から与えられる悦楽のさざ波に、ただ翻弄されるばかりである。
「はひッ……ひッ……あ、ンぁッ……はぁ……んぁッ……ひぁッ!!」
そもそもティナには抗う気がない。薫から与えられるもの全てを甘受しようとしていた。
「ンあぁッ……はぅッ……んンッ……ぅああッ!!」
それでも激しすぎる抽送に、身体は本能的に前へと逃げようとする。しかし薫はくびれた腰を掴むと、逆に自分のほうへと引き寄せた。
「ひぅッ!」
ブラジャーの中で固くしこっていた乳首が、こすられて快楽中枢を刺激する。
「か、薫……ふぁッ……ひッ……んぁッ……あぁッ……か……ひんッ……」
「ティナ……ハァ……もうちょっと……ふぅ…くッ……だから……な……」
二人の息遣いはひどく切迫したものになってきた。
ティナと薫は、それこそ呼吸を合わせるように、一緒に絶頂への階段を駆け登っていく。
「あッ……キッちゃう……ふぁッ……もうキッちゃ……んンッ……薫…キッちゃうよ!……はやく……薫も……うぁッああ!!」
一足早いティナを追いかけるように、薫も階段を登りきった。亀頭がティナの膣内でブワッと膨らみ爆ぜる。
「あッ、あッ、ああ……」
ガクリと、力を出し切った薫はティナの背中に覆いかぶさるように倒れ込む。
しつこく吐き出され続ける熱い塊を身体の最奥に感じながら、ティナはゆっくりと、幸せに包まれて目を閉じた。
第二話 完