時間は長閑そのものな午後、ここ桜庭館もいつもの陽気に溢れる空間だった。  
その一室である浴場にまだ昼間であるのに2人の姿があった。  
ティナと葵であった。この時間にここを利用することは少なく大学の飲み会で  
その翌日のこの時間に使うことがあるくらいだ。二人はいつもと何食わぬ顔で  
服を脱ぎ浴場へと入っていった。  
 
 
      戯れ  
 
 
葵はティナの身体へたどたどしく指を這わせていた。  
ティナはこれから交わす行為でのぼせない様に湯船の温度を調整しつつ、ぶるっと身体を震わせる。  
 (肌が熱い・・・大家さんが触れているだけで登りつめてしまうわ)  
葵の呼び起こした官能を、そして彼女に晒してしまった嬌態を思い出し頬を染める。あたりに漂う香りが更に肌を熱くさせる。  
ティナは火照りを隠すことなく彼女の目前に立つ。葵の視線が乳房から這うように降りてゆく。  
それすらも悦びに変えながら葵の頬に両手を添える。そして首筋から肩へ、さらに脇から腰へと手を蠢かす。  
「ふぁっ・・・・あっ・・・ぁぁ・・・・」  
彼女を翻弄しつつも、初々しい喘ぎ声と切ない溜息を楽しむ。  
やがて指は最後の薄布に辿りつく。  
 
 ピクン  
ティナの指が少しだけ浴衣を降ろしたとき、葵は身体を小さく震えさせた。  
脱がされる。全てを見られてしまう。  
そして求められる。ずっと隠していたところを愛されてしまう。  
恥かしくて、身を小さく閉ざしてしまいたい。  
でも甘い痺れのようなものが腰のあたりから広がり、背筋を伝う。  
もどかしい想いが何かを欲している。  
このひとに見てほしい。愛してもらいたい。  
 
「はやく・・・して・・」  
我知らず葵はそう呟いていた。  
ティナは浴衣を徐々に緩めながら脱がせていく。  
浴衣が小さな音を立てて葵を打つ。  
繊維が触れたところを、白い指が這うようになぞる。  
「・・・ここさほしいのかい?」  
ティナの囁きに彼女は顔を上げる。  
「いやあっ!」  
葵は小さく叫び、そしてふるふると首をふる。  
 
・・・ふふっ・・・  
彼女は微笑みながら葵の前で腰を屈め、そして膝立ちになって彼女を見上げた。  
「いま脱がせてあげる」  
葵はもじもじと内腿を摺り合わせ、下腹部に手を置き、そしてコクンと頷いた。  
 
浴衣を脱がしティナはゆっくりと両手でその先の下着を降ろす。  
美しく生え揃った陰り。  
熟しててもまだ閉ざされた一つの丘。  
羞恥に震える内腿。  
 
「・・・ぅぁ・・・」  
見られている。すべてが露になっている。恥かしさのあまり葵は両手で顔を覆い隠した。  
ティナは震える内腿に唇を付け舐めあげて行く。そして葵の樹林の丘に頬を寄せた。  
「ああっ!」  
葵の手がティナの髪に触れて、押し留めようとする。  
だが、それを許さず葵の腰に手を回して更に引き寄せながら、その濃い陰りとふくらみを頬で摺る。  
・・ふぅ、とティナは溜息をつく。  
 
瞳を閉じ、満たされた面持ちで葵の密やかなところを楽しむ。  
香料の微かな香りに葵の女の匂いが重なる。  
今すぐこの娘を滅茶苦茶にしてしまいたい。  
ティナは自分の落とした香料と葵の匂いに酔っていた。  
両手を彼女の腰から尻にさげ、強く揉みあげる。  
「ふぁっ!」  
葵から短い悲鳴があがる。  
ティナは葵の閉じた丘を割って唇を付けた。  
 
「ダメ・・・ダメっ・・・・いやぁ!」  
そう叫んであばれる葵。だが尻にまわされた手を振りはらうことは出来なかった。  
ティナは包皮につつまれた小さな突起をかるく嬲り、唇を少しずつ下げてゆく。  
ティナの唇が蠢くたびに彼女は尻を捩り、身を震わせ、細く高い喘ぎをあげる。  
唇が薄い内側の襞をゆっくりと伝い降りる。  
 
襞の形を確かめるようになぞると、ぷるっと双丘が震え、葵の身体が揺れた。  
唇が閉ざされた窪みに達する。  
そこを吸い上げる。  
「んぁっ・・・ひっ・・ぁぁぁ・・」  
葵の身体が跳ね、トロっとそこが溢れる。  
 
いつの間にか葵の手はティナの髪をかき乱していた。  
唇の触れている部分が疼く。  
 トクン  
その場所の中が脈打つように振れる。  
いままで意識したことが無い部分。  
身体の奥底に何かがある。そこが濡れてゆく。溢れてゆく。  
溢れるところが疼き、それが腰へ、そして背筋を辿り全身へと広がる。  
甘い痺れが背筋に生まれ、それが腰へと戻り、娘の内側を満たす。  
葵はそのとき、それが快感なのだと知った。  
 
ティナの髪にあてた手に力が込もり、彼女を自身に強く押し付ける。  
「くぅっ・・ふぁぁぁ・・・」  
がくがくと膝が震えて立っていられない。  
葵は彼女を抱きしめながら、床に座り込んだ。  
 
呼吸を荒くしながらも葵はティナの唇を吸う。  
その唇が自身の女の場所を愛撫していたことなど関係なく、彼女の唇と舌を貪りたかった。  
・・くちゅっ、じゅっ、っっじゅくっ・・・  
淫らな水音が浴場に響いた。  
やがて唇を離すと、葵は彼女にしがみつき囁く。  
「・・わたしの身体の中に何かがあるみたいです。そこが熱くなって、疼いて・・・ティナさんが欲しくって・・・」  
そういうと、恥かしげに身を竦めて彼女の乳房に顔を埋める。  
 
(あぁ・・・この娘がどうしようもなく愛おしい。この娘の全てをあたしのものにしたい・・)  
彼女の髪に顔を埋めながら、ティナはそんな衝動に身を任せようとしていた。  
それでも何とか自制して彼女の髪から顔をあげる。  
「ばってん大家さん、それはあんたが女だって証。女はね、心と身体の奥で・・・ここでも愛しい人を求めるんばい」  
ティナは葵の下腹部にそっと手をあてた。  
 
ぶるっと彼女の尻が震え、ふぁ・・と熱い吐息をつく。  
「さぁ大家さん、身体を拭こっ」  
葵を軽く抱きしめてから一旦身を離す。  
下着が膝のところに留まっていた。  
ティナは彼女を前屈みにすると、床に手を付けさせて彼女の足元から薄布を抜く。  
尻があがり、その部分が露になる姿勢に気付く葵。  
「やんっ!」と小さく悲鳴をあげて尻を振った。  
 
そんな彼女に手を回しながら、湯桶で湯船から拾い上げる。  
浴場の腰掛けを湯で打ち清め、葵を清めた場所に座らせた。  
彼女はティナに背を向け、膝を閉じて脛を八の字に開き、お尻をペタンと腰掛けに付けている。  
ティナはもう一度湯桶に湯を満たす。  
その中で柔らかな厚手の布を濯いで軽く絞ると葵のうなじから拭き清め始めた。  
 
彼女は薄くかいた汗を拭う布と、肌を這うティナの手に身を任せていた。  
ゆるゆると厚い布地が身体を清めてゆく。  
そしてティナの手が柔らかく乳房を捏ねる。時折指がその頂を摘まみあげる。  
まさぐられている筈なのに、何故か心地よく安らぐ。  
(さっきまで、あんなに乱してしまってたのに・・・今はこんなに落ち着いていられる。・・不思議・・)  
もちろん葵の身体は今だ疼いている。  
 
でも、ほのかに漂う香りと穏やかな蒸気に包まれていると、素直にティナの愛撫を受け入れられた。  
ふたりは、その香りに包まれながら愛を交わす。  
「・・あぁ・・・っっ!・・・ふあぁぁ・・・」  
脇腹を布で拭われながら、乳房を強く揉みしだかれた。  
ビクン、と葵が跳ねる。  
「そう・・これさ良いのかい?」  
ふふっとティナが笑う。  
 
ふたりの身体が重なり、緩やかに揺れる。  
「・・ぅぁ・・ぃぃ・・・きもちいい・・」  
葵は再び小さく喘ぎ、淡くもやったところの下を溢れさせ、濡らしてゆく。  
うしろからティナに抱かれながら、彼女の官能はゆっくりと高まって行った。  
 

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