鳴り響く蝉時雨。  
 煌く灼熱の太陽。  
 離れの一室にて、情事に酔う裸の男女。  
 まさしく夏を感じさせる風物である。……最後以外は。  
 
「あっ、はあぁっ、ぁあ、は、ち、べえぇ、はぁっ、きもち、あんっ、いいよぉ!」  
 
 肉棒が柔肉を擦る度に、嬌声を上げる桜子。  
 肉棒が挿入され、引き抜かれると同時に、  
 柔肉を巻き込み、捲り上げる度に、桜子は切ない声を上げる。  
 その単調な動作から来る快感の波が、二人の理性を喰らい、脳髄を白く染める。  
 限界が近い。そう悟ったハチベエは、腰の振りを速くする。  
   
 「あっ、あん、あっ、はぁ、ひあぁ、ぁ、あぁ、んぁ、ぁぁぁあ!」  
   
 律動に合わせ、響く媚声。  
 蝉の声は、もう聞こえない。  
 耳に入るは、肉が打ちつけ合う音と、艶かしい喘ぎ声。  
 それ以外は、何も聞こえない。  
    
「あんっ、もう、はぁっ、らめぇ、ぁあっ、イっらう、イっらうよぉぉぉぉ!」  
 
 限界を感じ、それを知らせる桜子。  
 その知らせに、肉棒を引き抜こうとするハチベエ。  
 しかし、桜子は足を組んで離そうとしない。  
 
「はぁぁああああああああぁぁぁぁぁぁぁ!」  
   
 桜子は、一際大きな声が上げ、弓なりに体を仰け反る。  
 それと同時に、蜜壺がハチベエの肉棒を一気に締め上げる。  
 腰から脳髄にかけて奔る、電流。  
 大きく跳ねる肉棒。  
 迸る大量の精液。   
 多すぎる精液は、子宮を満たし、外へと流れ出す。  
 
「ぁぁ…じわ…ってぇ……」  
 
 子宮に精液が広がる感触に浸る桜子。  
 ズっと肉棒を蜜壺から引き抜く。  
 どろり、と秘部から精液が流れ出て、蜜壺を白く彩る。  
 ハチベエは、射精後特有の疲労感からか、うつ伏せに布団に倒れこむ。  
 乱れた呼吸を整えつつ、横目で隣の桜子を見た。  
 仄かに紅潮している柔肌。  
 薄い桜色の唇から、熱い吐息が漏れている。  
 情事の余韻に浸る、青い瞳。  
   
 その瞳が、ハチベエを見つめていた。  
 
「きもち…よかっ…た?」  
「……………………ああ」  
   
 桜子の問いにハチベエは、力なく答えた。  
 昼前から始めて、これで四度目。  
 もう、体力の限界に差し掛かっていた。  
 絶頂時の桜子の眼は、ハチベエを大いに満足させた。  
 が、幾ら良くても、同じパターンばかりでは、飽きてくる。  
 もうそろそろ別の刺激が欲しい所だった。  
 
「なあ、天幕」  
「ん……なぁに?」  
 
 桜子の口調は、いつもより穏やかだった。  
 情事の後は機嫌が良くなるのを、ハチベエは経験から知っていた。  
 ハチベエは、これを好機と見て、日頃から抱いていた野望を成就すべく、口を開いた。  
 
「…あのさ」  
   
 立ち上がり、可愛らしく女の子座りをしている桜子の前に股間を据えて、  
 
「舐めてくれ」  
 
 昼下がりの街に、轟音と絶叫がこだました。  
 

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