「いっ……あっ……は、ハチベエ様……やめっ……て……」  
 八つ橋あやめは前田ハチベエのフェチ魂を甘く見過ぎていた。  
 その代償はハチベエを誘惑し得たものよりも遙かに大きく、取り返しのつかないものだった。  
 今、この瞬間においてもそのツケを支払い、今後も彼女はハチベエに一生返しきれない理不尽な利息を  
ハチベエの気が済むまで払わねばならなくなってしまった。  
 
「おっ……お尻は……もう……う……うごか……」  
 自らハチベエに縛らせた手。  
 臍だしルックをよりよく見せるために履いたジーンズは、ハチベエの手で乱暴に脱がされ、  
ベッドのよこでくたくたと放り出されている。  
 彼女が名付けた「ベリーダンス」をよりうまく踊れるように、いつものシルクの下着ではなく  
伸縮性に富んだピンク色のコットンのショーツは、剥かれるときにゴムが伸びきり、今は右足首にひっかかっているだけ。  
 
 あやめの秘部はハチベエの眼前に晒されていた。  
 手が縛られているために羞恥心を感じていたときすら、一切隠せなかった。  
 しかし、今となっては、その羞恥心も麻痺して、ただ苦痛から逃れようと正気を失ったハチベエに懇願する他、  
あやめは何も考えることができなくなっていた。  
 
 手入れのしてある毛は、ハチベエの手のいたずらによって数本抜かれ、  
純潔を捧げられるような自分の価値と釣り合う男性に出会うことができず、まだ処女膜のある秘部は、  
彼女の意に反してうっすらと愛液をにじませ、 さらにその下にある排泄用の穴にはハチベエの剛直が埋め込まれていた。  
 
 未経験で更にお腹の緩い体質であるあやめには辛すぎるアナルセックス。  
 しかし、これはあやめの自業自得とも言える災難。  
 他の寮の住人は、あやめの盛った薬によって朝までは何があっても起きない。  
 付近の住人は、八ツ橋グループの財力を生かし、全て温泉旅行へと行ってしまい留守にしている。  
 もしかしたら通行人が寮の前に通るかもしれないが、大声で助けをよんで、  
その人が警察に通報するまでの間に行われるであろう  
ハチベエの報復を受けることを想像すると、あやめは一切抵抗することができなくなってしまった。  
 
 あやめの尻穴を味わうようなゆっくりなストロークが、段々と速くなっていく。  
 痛みに耐えつつも、あやめはそれの意味をおぼろげに理解していった。  
 もう何度も何度も繰り返されていれば、いくらこのような状況でも学習する。  
 
「あっ、もう中は……本当に辛いんですの……や、や、やぁあ! で、出てるぅ! お、お腹の中で……また出てるぅ!」  
 ハチベエが大きく突き上げると、あやめが背中を思いっきり反らす。  
 あやめの尻の穴にハチベエの子種が排出され、中を縦横無尽に泳ぎだした。  
 あ、あ、と切れ切れに声を出し、出し切ってしまった肺の取り入れるように崩れるあやめ。  
 目尻にそって涙が流れる。  
 瞳はもうすでに虚ろで、いつもの元気のかけらも映していない。  
 だが、あやめにはそのまま意識を手放すことすら許されなかった。  
「……ぐっ……あッ」  
 ハチベエは、あやめのくびれをさっと撫でた。  
 すると、少し小さくなったハチベエの剛直が再び元気を取り戻し、あやめの尻穴を拡張していく。  
「やっ……あっ……太……」  
 ハチベエは再び腰を動かし、あやめを責めさいなんでいく。  
 
 
 現実はシビアである。  
 全てがうまくいっているときこそ、一番辛い時期にさしかかる入り口だと言えよう。  
 あやめのハチベエ陥落作戦は、全ての成功条件を軽々と満たし、その結果、この地獄に堕ちることになった。  
 もうすでに片手の指に余るほどの回数で腹の中に精子を注がれ、あやめはそろそろ限界に近づいていた。  
 フローリングの床の上で鉄球を転がすような、ゴロゴロという音が鳴り響く。  
「は、ハチベエ様……うっ……もう、げんか……といれに……・いかせ……」  
 皮肉にも狂気をもたらした苦痛によって正気を取り戻したあやめ。  
 羞恥心がまだ残っているから、トイレに行くことを哀願したのか。  
 その頼みに、ハチベエは口元をにやりとさせた。  
「ああ、いいぜ。 トイレに行かせてやるよ」  
「あ……あああ……ありがとうございます……くぅあっ!」  
 あおむけのあやめをひっくり返し、うつむせにしてから、肉棒を付き入れたまま、ハチベエは立ち上がった。  
 つられてあやめも立ち上がる。  
「ぬ、抜いて……くださ……」  
「気にすんなよ。 俺がトイレまで押してってやるから」  
「けっ……け、結構です……」  
「ほう? じゃあ、お前、俺が抜いてトイレまで我慢できるのか? というか、その縛られた手であのドアのノブを引けるのか?」  
「そ、それは……」  
「まあ、それがイヤなら構わないぜ。 でも、お前がトイレから帰ってくるまでの時間を潰すために、  
 どこか近くにいる俺の理想のくびれを持つやつを捕まえて、くびれをなでつつ、尻の穴に指を突っ込んで遊んでいようと思ってるし」  
「そ、そんな……」  
「ま、お前が、どうしても俺にトイレに行かせて欲しいっていうんなら、押してってやらないこともないが」  
 結局、あやめには一つの選択肢しか残されていなかった。  
 ハチベエが耳元で囁く、淫らな言葉を復唱させられ、今まで全てにおいてナンバー1に君臨していた彼女のプライドはずたずたに引き裂かれていた。  
 しかし、ハチベエはそれをあざ笑うかのように更に攻めていく。  
 少しでも粗相や、反抗的な態度をとった場合、報復は速やかに行われる。  
 ハチベエが常に触り続けているくびれの下の部分を、くっと押すのだ。  
 便意を我慢しているあやめにとって、これ以上の苦痛は存在しない。  
 腹部を裂かれるような痛みが走り、あやめは抵抗する気力を無くす。  
 さらにハチベエはそれだけではなく、もう一方の手で同時にあやめの秘所を嬲る。  
 ねっとりとした愛液をからめとり、あやめの目の前で糸を引いているさまを見せつける。  
 言葉にこそ出してはいないが、「お前は尻を嬲られて感じる淫乱女なんだよ」と語っているようであった。  
 
 あやめはゆっくり、ゆっくり歩を進める。  
 一歩踏み出すごとに、ハチベエの肉棒が尻の穴を刺激し、苦痛と、得も言えぬ悦楽が体の中を駆けめぐる。  
 故に歩みは自然と遅くなる。  
 ハチベエはそんなことなど知ったことかと、あやめを更に追いつめる。  
 奥深くまで、ハチベエの杭が突き刺さり、無遠慮にえぐる。  
 ベッドからドアまで、非常に時間をかけて歩いた。  
 ハチベエがドアのカギを外し、ドアノブを開ける。  
 廊下からひやりとした空気が部屋の中になだれ込み、冷たい風があやめの腹を撫でた。  
 更に一歩、二歩と進み、廊下から目的地に向かう。  
 しかし……。  
「は、はちべえ……さま……トイレはそっちじゃ……」  
「あー、そういえばな。 この前、誰かさんがDVDレコーダーなんて買わせたから、天幕が今金欠でさ。  
 家庭菜園の肥料も切りつめてるって聞いてな。 微力ながら協力をしてやろうかと」  
「そんな、まさか……ひっ!」  
「ああ、お前にばっかり協力させて悪いな。 でもま、お前だって得するんだし、いいだろ?」  
「と……とく……?」  
「そ。 笑顔で人助けをする八つ橋あやめの姿を写真にとって、学校にばらまくんだ。  
 更にお前のファンが増えることだろうな」  
「え……や……やぁあああああああ!!」  
「ははは、そんな喜ぶなよ」  
 
 ハチベエは暴れ始めたあやめを抱え、そのまま一気に廊下を走る。  
 当然、振動によってハチベエの肉棒があやめの腸壁をがりがりとこする。  
 
 その夜、女子寮の外の家庭菜園で、女性のすすり泣く声と、何かが破裂するような音と、カメラのシャッター音が響いたという。  
 だが、それに気付いたものは、誰もいない。  
 
 
 数日後。  
 
「よっ、あやめ姫さん」  
 ハチベエがあやめの肩をぽんと叩くと、あやめはひっと後ずさった。  
 ハチベエは満面の笑みを浮かべ、あやめに話しかける。  
「ちょっと話があるんだが……夕飯の後に俺の部屋に来てくれないか」  
 それはお願いではなく脅迫だった。  
 制服の胸ポケットから、ちらりと一枚の紙を見せる。  
 
 全裸の金髪の女性が、カメラに向かって涙でびちょびちょの顔に笑みを浮かべ、トマトの苗木に向かって茶色い物体を噴出している写真。  
 鮮明で、顔もばっちり映っている。  
 しかもそれは一枚だけでなく、二枚、三枚と。  
 トマトの苗木の根本に顔を埋めている写真、自分の尻を自分の髪の毛で拭いている写真……。  
 なぜかくびれだけは巧妙にうつらないように撮られているが、どの写真も、被写体が誰だかわかるようになっていた。  
 
 あやめは無間地獄に足を踏み入れてしまったのだった。  
 あやめは爽やかな笑みを浮かべるハチベエに向かって、静かに、こくりと頭を下げた。  
 
 今日もまた、この女子寮の離れでは、嬌声と苦痛混じりの声が交差していた。  
 
 

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