仄かに香る湯気が立ち込める露天風呂、ヴィ・ラ=ロアは手にした杯の中身を飲み干すと、酒気を孕んだ吐息を吐き出した。  
夜空には煌々と白い月が輝き、降り注ぐ月光は桜色に上気した一糸纏わぬ彼女の裸身を闇の中に浮かび上がらせる。  
「ふぅむ…良き湯、良き月、良き酒…まったく今宵は良い夜じゃなぁ」  
「……痴女ですか…貴女という人は」  
湯船の縁に腰掛け杯を呷るヴィ・ラ=ロアは、不意に浴場内へ響いた声に手を止めると苦笑いを浮かべ周囲に視線を巡らせる。  
そこには胸にきっちりとバスタオルを巻きつけたディシャナが、冷めた目つきを返しながら温泉へと浸かっていた。  
「痴女とは何じゃ、痴女とは…ほんに人聞きの悪い…」  
「ならばもう少し慎みを覚えたらどうです?」  
向けられる視線に自らの肢体を見下ろしたヴィ・ラ=ロアは、困った様に微笑むと湯を掻き分けながら歩き始める。  
彼女の惜しみ隠さぬ股間の薄い茂みを目の前にして、嫌そうに眉を歪めるディシャナの隣へ寄り添うように座り込んだ。  
「慎むも何も女同士じゃ、気にする程にも無かろうに?」  
「…貴女はマナーという言葉をご存知ですか?」  
さも心外といった表情で首を傾げたヴィ・ラ=ロアは、手にした銚子を杯に傾け中身を注ぐと湯に浮かべた盆の上に乗せる。  
そして肩が触れ合うたび居心地の悪そうに身を捩るディシャナに杯を差し出すと、その三つの瞳を細めフッと頬を緩ませた。  
「マナーとな?おぉ、無論知っておるともさ」  
なみなみと酒の注がれた杯を受け取ったディシャナは、きっぱりと言い放たれた自信溢れる言葉に訝しげな表情を浮かべる。  
次の瞬間、ヴィ・ラ=ロアはインプを思わせる笑みを浮かべ、ディシャナの身体を包み隠すタオルに素早く手を掛けた。  
「湯にタオルを浸けるなど言語道断なマナー違反じゃ!!ほれっ、さっさと脱・が・ぬ・か」  
咄嗟に胸元を押さえるディシャナだったが、杯を手にしていた事による動作の遅れから、豊かな双丘を曝け出す破目に陥る。  
そして手際良く奪った戦利品をヴィ・ラ=ロアは手早く巻き上げると、間髪入れずに遥か遠くへと放り投げてしまった。  
「あぁっ!?…な…な……」  
「おや?酒が零れてしもうたか…ほれ、一献」  
たわわな肉房を片手で隠し、怒りの表情を浮かべるディシャナは、差し出された銚子に深々と溜め息を吐いて肩を落とす。  
そして諦めたかの様に腕が降ろされ豊かな膨らみが露わになると、ヴィ・ラ=ロアは嬉々として空の杯に銚子を傾ける。  
続いて自らの杯にも残り少なくなった中身を注ぐと、空になった銚子を盆に戻した後、二人は互いの杯を重ね合わせた。  
 
「ほんに良い月夜じゃなぁ…」  
「そうですね」  
二人は夜空に浮かぶ月を見上げながら杯を酌み交わし、無数の空の銚子を次々と林立させていく。  
入ってきた酒量の影響か、普段は表情の乏しいディシャナも珍しく頬を緩め、すらりとした手足を湯の中へと伸ばしている。  
「ヴィ・ラ=ロア……何を見ているのです?」  
心地良い暖かさに微睡んでいたディシャナはふと感じた視線に瞼を開くと、少しの疲労が混ざった視線を傍らへ向ける。  
彼女の視線と交錯する様にヴィ・ラ=ロアの視線は、湯の波間に揺られプカプカと浮かぶ二つの双丘に注視されていた。  
「ん?やぁ、見事なものじゃのぅ…と見惚れておったわ」  
「わざわざ他人のものを見ずとも自分の立派なものがあるでしょうに…」  
へらりと笑みを浮かべ呟かれた言葉に、ディシャナの頭がカクリと垂れ下がると、たぷんと浮き沈んだ双丘が微かな小波を生む。  
その有様にヴィ・ラ=ロアは負けずとも劣らぬ自らの双丘を持ち上げると、その存在を確かめる様にムニュと絞り出した。  
「ま、それはそれ、これはこれじゃ…他人様の物じゃからこそ美しく見える…などという事も有ろうさなぁ…」  
自らの舌先でサクランボを思わせる先端を突付きながら、ヴィ・ラ=ロアは唇の端を吊り上げて妖しく微笑む。  
不思議と説得力のある言葉が心の琴線に触れたのか、ディシャナも僅かに思案した後に何気なく言葉を続ける。  
「隣の芝は青い…と言ったところでしょうか?…確かに解らない訳でも無いですね」  
苦笑混じりに返ってきた答えに満足したのか、ヴィ・ラ=ロアは顔を綻ばせると、手の中の杯をグイっと一息に呷る。  
そしてフューリアさながらの機敏さでディシャナの背後に回りこむと、脇の下から両手を潜らせ湯に浮かんだ双丘を掴み上げた。  
「ひゃっ!?ヴィ・ラ=ロア!?」  
突然の出来事に手酌で酒を注いでいたディシャナは、可愛らしい悲鳴を上げて杯と銚子を湯の中へ取り落とす。  
その初々しい反応に気を良くしたのか、ヴィ・ラ=ロアは猫の様に喉を鳴らし、両手をわきわきと弄り始めた。  
「な…何のつもりです…冗談にしては…んっ」  
「言うたじゃろうが?隣の芝は青いと…じゃから実際にどれほど違うのかこうして…ほぉ、なかなかの逸品じゃなぁ」  
暴れるディシャナの肩越しに己が掌に乗った乳房を見下ろし、ヴィ・ラ=ロアは心の底から感嘆の溜め息を漏らす。  
そして重量感溢れる乳肉を手の上でたぷたぷと踊らせると、目の前にある形の良い耳たぶを優しく甘噛んだ。  
 
湯に浮かぶ豊かな双丘の表面を、ほっそりとした指先が這い回り、そのたびに揺れる柔肉が水面に微かな小波を生み出す。  
掌に感じる滑らかな肌触りと押し込んだ指先をふよんと押し返す柔らかさに、ヴィ・ラ=ロアの口から絶えず溜め息が漏れる。  
首筋を撫でる彼女の吐息にディシャナは切なげに唇を震わせ、そこから漏れる声は胸の昂ぶりに合わせて艶を帯びていく。  
「んふぅ……ほんに柔らかい…掌の上で蕩けそうな揉み心地…」  
たっぷりと揉まれた事で一層の張りを増した乳房を持ち上げ、ヴィ・ラ=ロアは慈しむ様に根元から優しく撫で回す。  
酒と快楽に朦朧とするディシャナは、脱力したその肢体を背後に預けながらも、かすれた声で拒絶の言葉を繰り返した。  
「だめ…です…もうこんな…こと…やめ・・・ふゃあぁぁぁぁ…」  
「その言葉、此処をこれ程に尖らせて言うべきではないぞ?」  
耳元で囁く言葉が指し示す硬く尖った乳首と薄い色の膨らんだ乳輪、それらに頬を染めたディシャナは弱々しく頭を振る。  
自らの欲求を否定する主に代わり、ヴィ・ラ=ロアの指が二つの突起を優しく挟み込むと、ゆっくりと指の腹で転がし始めた。  
その柔らかなタッチの指使いに、待ち焦がれていた快感を得た蕾は、転がされる指の間で硬く張り詰め大きくなっていく。  
「何と…ふふ♪これでもまだ勃ち足りなかったというか?生意気な奴らじゃ…くくっ」  
「ひぃうんっ!?」  
滾る肉欲が詰まったかの如くに色鮮やかな桜色に染まった乳頭を、ヴィ・ラ=ロアの指先が鋭くピシリと爪弾く。  
その痺れる様な衝撃にディシャナの肢体が瞬時に強張り、自身を抱きしめた腕の中で二度三度と激しく震え上がった。  
「おや?もう気をやってしまったか?感度の方も中々の様で弄り甲斐があるわ」  
「はぁ…はぁ…何故…このような事を…ふぁうっ!?」  
ディシャナの問いに汗の浮かんだ彼女のうなじを舐め上げ、ヴィ・ラ=ロアは無言で片方の手を乳房から下へと滑らせた。  
 
降りて行く指先が鳩尾から柔らかな曲線を描いた下腹部を通過すると、やがて力無く開かれたディシャナの脚の合間へ滑り込む。  
「っ!?悪…戯…もっ!!大概…にぃぃぃ…くぁっ!?」  
「月並みな台詞ではあるが、上の口に比べて此方の口は正直じゃなぁ…褒美にたんと可愛がってやらねばの」  
指先に感じる粘度の高い液体の源泉を求めて、ヴィ・ラ=ロアの五指が体毛の薄い恥丘の表面を執拗に撫で回す。  
やがて指先に触れた柔らかい肉の感触に彼女は自然と唇を綻ばせると、探し当てた肉壷へ二本の指を突き入れた。  
「ひぁっ!?お…お湯っ…お湯がっ!!」  
「何を申すか、この様に粘ついた湯がどこに有ると言う?」  
ねっとりと指に絡み付く肉襞の感触を楽しみつつ、ヴィ・ラ=ロアは二本の指を交互に動かして熱い蜜壷の中を掻き回す。  
そのたびに指の隙間から入り込む温水が敏感な肉壁をくすぐり、ディシャナは排泄感にも似た感覚に襲われ背筋を震わせる。  
「違ぁ…お湯が中に…中に入ってきてますぅ…ア?…はっ、あはぁぁぁぁぁぁっ!?」  
かすれた裏声で目尻に涙を浮かべるディシャナに、悪戯心を刺激されヴィ・ラ=ロアは蜜壷に掻き回す指を左右に押し開く。  
途端に押し開かれた入り口から入り込む温水の量が増大し、愛液と混ざり合った奔流が膣内でゴボゴボと渦巻いた。  
そして下腹部を満たしていく生暖かい感触に、ディシャナは身体をガクガクと揺らし、2度目の絶頂に嬌声を張り上げた。  
「普段のそなたからは想像もつかぬ良い表情じゃぞ?さ、のぼせてしまう…こっちに来やれ」  
クタリと身体を弛緩させたディシャナは絶頂の余韻に表情を蕩けさせ、時折思い出したかの様に軽い絶頂を繰り返す。  
ヴィ・ラ=ロアは脱力した彼女の身体を抱き締め立たせると、決して股間からは手を離さぬまま物陰へと引っ張り込んでいく。  
そしてちょうど岩の陰に周囲から身を隠せる場所に横たわらせると、艶然とした笑みを浮かべて覆い被さった。  
「ここなら誰にも見つかる事もあるまい…さぁ、今宵はゆっくりと続きを楽しもうではないか…んっ」  
焦点の合わぬ瞳を覗き込んだまま、ヴィ・ラ=ロアは一句一句言い聞かせる様に語り掛けると、半開きになっている唇を吸い上げた。  
 
 
 
 

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