牧歌的な佇まいを見せるドドネの町・・・・夜の帳が下りた町の一角に、昼間の様相を覆す退廃的な雰囲気を醸し出す建物が有った。  
性欲に眼をぎらつかせた男達を肌も露わな女達が店内へと誘い、店内からは熱気と喧騒に混じり微かな嬌声が垂れ流されている。  
そんな人の欲望に満ち溢れる店から離れた木陰で、レオンハルトはジッと店の様子を窺っていた。  
「手早く終わらせれば1時間で戻れるかな・・・それと花代は・・・」  
軍の追っ手から逃れドドネに辿り着いたレオンハルト一行だったが、幼いエリスの体力を気遣い一夜の宿を取る事になった。  
そして同行者達が寝静まる頃に彼は独り宿を抜け出し、若さ故の情欲を晴らす為にうってつけの場を求め、夜の町を探し回った。  
さして大きな町でもなかった為、間も無く目当ての店を探し出した彼は、自らの懐具合を確かめると最初の一歩を踏み出した。  
「……避妊具はお持ちですか?」  
「それならきっと中で買えるか・・・・ら・・・・」  
最初の一歩を踏み出した直後に背後から掛けられた声に、彼は反射的に答えようとし・・・・そのまま硬直した。  
背中からひしひしと伝わってくる怒気に、レオンハルトは周囲の気温が氷点下まで低下したような感覚に襲われる。  
「このような場所へ何の御用でしょうか?」  
怒気から殺気へと変わり始めた声に、レオンハルトは壊れたぜんまい仕掛けの人形の様に振り向く。  
そこには昼間と変わらぬ無表情のディシャナの姿が、暗闇の中に白く浮かび上がっていた。  
その光景と彼女の放つ殺気に、己が死に掛けていた出会いの場面が再現されているような錯覚を覚える。  
「あの時に申し上げた事をお忘れですか?…貴方の血脈は既に貴方だけの物ではないと」  
とつとつと紡がれるディシャナの言葉に、完全に気圧されたレオンハルトはガクガクと首を振り続ける。  
「お解りでしたら何故このような場所へ?商売女相手に安易に子種を蒔かれては困るのですが・・・」  
その言葉と共にスッと彼女の眼が細くなる。  
文字通り命の危険を察知したレオンハルトは、かろうじて震える喉から声を絞り出す。  
「あ・・・その・・・俺も男だし・・・作戦行動中から逃げてきたから処理する暇も無しに、その・・・持て余していたと言うか・・・」  
目を左右に泳がせながら一句一句言葉を選ぶように、レオンハルトは彼女の怒りを解く為だけに頭をフル回転させる。  
完全に殺気へと変わった彼女の気配は辺り一帯に満ち溢れ、目に入る店の灯りと喧騒は遠い異世界の物にすら覚え始めた。  
「なるほど・・・万が一にもエリスに見つかる危険を考慮し、こういった場を選んだのですね・・・確かに一理あります」  
ディシャナはボソリと呟くとゆっくりと目を閉じ、再び目を開いた時には普段通りの冷静な表情へ戻っていた。  
とりあえずの危機は去ったと確信したレオンハルトは、全身を弛緩させ長い溜め息を吐き出す。  
「それで・・・『言い訳』は以上で宜しいでしょうか?」  
次の瞬間、ドドネの夜空に耳をつんざく様な爆発音と年若い男の悲鳴が響き渡る。  
慌てて店の中から飛び出してきた人々の目に、無残にも焼き焦げ真っ二つに割れた木の残骸が映った。  
 
「う・・・・うぁ?」  
今だ朦朧とする意識の中、レオンハルトは重い瞼をこじ開けた。  
微かに歪む視界に昼間にチェックインした安宿の天井が映し出される。  
「お目覚めですか?」  
「うえあうわぁぁぁぁぁぁっ!?!?」  
不意に枕元から掛けられた声に、レオンハルトは冷水を浴びせられた様に覚醒する。  
シーツを跳ね上げ慌てて飛び起きると、そこには相変わらず無表情のディシャナが佇んでいた。  
「あ・・・ぅあ・・・あぅ・・・・」  
先程の閃光と衝撃がフラッシュバックし、ずるずるとレオンハルトはベッドの上を後退する。  
彼を追う様にディシャナはベッドの上に身を乗り出すと、二人の体重にベッドがきしりと音を立てた。  
瞬く間に壁際に追い詰められた彼の股間へ、ディシャナの細い手が差し込まれる。  
「ディ・・・シャナ?」  
「なんでしょう?」  
彼女の挙動に恐怖に近い感情を募らせるレオンハルトをよそに、白く細った指がファスナーに掛かった。  
呆気に取られる視線を全く介さないかの様に、ディシャナはファスナーを下ろし内部へと指を侵入させる。  
ズボンの内側を弄り続ける彼女の指に、レオンハルトの男は素直に反応を示し始めた。  
「何で・・・こんな事・・・」  
「?・・・・一理あると申し上げたはずですが?」  
やがて硬くなったペニスがディシャナの眼前に引き出され、先端から流れ出た先走りが彼女の指を湿らせる。  
ビクビクと脈動を繰り返すペニスに指を絡ませると、ディシャナは眉一つ変えぬまま上下に扱きだす。  
「それとも商売女では満足できても、私では出来ぬと?・・・ん・・・」  
痺れる様な快感に返事も出来ないレオンハルトを上目遣いで見遣り、ディシャナは亀頭部分を丹念に舐め上げる。  
そのまま裏筋に舌を這わせながら、やわやわと袋を揉みしだくとレオンハルトの口から荒い息が漏れ始めた。  
「確かに…ん…溜まっておられる様で…んちゅ…綺麗にしておきましょう…はむ…」  
こびり付いた恥垢を舐め落とす様にディシャナは舌を這わせ目の前のペニスに奉仕する。  
充分に湿らせた事を確認するとディシャナは亀頭に接吻した後、一気に根元まで咥え込み動き始める。  
「ちょ…ディシャナ…いきなり飛ばし過ぎ…うぁっ!?」  
そのまま口を窄めて吸い上げられ、たちまちレオンハルトの背筋に射精感が走り上がる。  
レオンハルトは本能の赴くままに目の前の頭を押さえつけると、自らの欲望の滾りを思う存分吐き出した。  
ぎゅっと眉をしかめディシャナはこみ上げる嘔吐感を堪えながら、喉奥に叩きつけられる熱い粘液を飲み下す。  
「・・・ごほっ!!出るのであれば…んぐっ…事前に言って下さると嬉しいのですが?」  
非難の混じった涙目に睨みつけられ、あまりの居心地の悪さにゴメン・・・とレオンハルトは萎縮する。  
それでも持ち主の心境に反して萎える事の無いペニスに視線を落としディシャナは大きく嘆息した。  
 
「ハァ・・・まだ満足なさってないようですね」  
ディシャナは呆れた様に呟きながら、胸を覆う衣装の縁を摘み躊躇い無く引き上げる。  
僅かに覆っていた布が取り去られた途端、彼女の豊かな乳房がレオンハルトの眼前に零れ落ちた。  
その雪のように白さと淡くピンクに色付いた先端に、たちまち彼の目は釘付けになる。  
「次は・・・ん・・・・こちらで・・・」  
その柔らかな双丘を自ら持ち上げると、おもむろに跪きディシャナは今なお硬くそそり立つペニスを挟み込み、上下に揺らし始めた。  
彼女の手に合わせ自在に形を変える二つの塊に、レオンハルトは射精感も忘れ魅了される。  
その中でフルフルと震える色付いた先端に惹かれたレオンハルトは、生唾を飲み込むと指先で優しく挟み込んだ。  
「ひゃっ!?な、何をなさるのですか!?」  
突然乳首から伝わった痺れるような刺激に、ディシャナは思わず悲鳴をあげ動きを止める。  
続けざまに襲ってくる甘い痺れに彼女の頬は上気し、その口からは熱い吐息が漏れ始めた。  
「んー?綺麗だなーと思って・・・」  
「そんな事が理由になると…やぁぁ弄らないでぇぇぇ」  
次第に硬度を増していく感触を楽しむようにレオンハルトは、指の腹で桜色の蕾を執拗に擦り続ける。  
みるみる表情が崩れていくディシャナに、イタズラ心を刺激されたレオンハルトは指の動きを止めずに囁きかけた。  
「ここがディシャナの弱い場所かな?」  
「そ、そのような事…関係な…ひぁ!?」  
先端をキュッと強く潰され、ディシャナは言いかけていた言葉を遮られる。  
同時に電流を流された様な痺れが全身を走り抜け、ディシャナはその場に崩おれた。  
レオンハルトは全身を弛緩させ尻餅をついた彼女を床へ押し倒すと、逸る心を抑え切れずにその上に馬乗りになる。  
そして仰向けになり僅かに型崩れした双丘を鷲掴むと、脈動する剛直を挟み込み大きく腰をグラインドさせ始めた。  
「んっ!!・・・そんな乱暴にっ・・・あぁっ!!」  
白い双丘を荒々しく揉まれ硬くなった先端を抓られる度に、ディシャナの口からは絶える事無く喘ぎ声が漏れる。  
彼女の姿に更なる興奮を煽り立てられ、レオンハルトは荒い呼吸を繰り返し腰の動きを加速させた。  
ペニスと包み込む汗と先走りに塗れた乳肉の感触が、獣の様に腰を振るレオンハルトを再び絶頂へと走らせる。  
「はぁっ!!はぁっ!!ディシャナ!!・・・・・ウ、ウオォァァァァァ!!」  
こみ上げる射精感に乳を掴む手に力が入り、ディシャナの胸を深く指が食い込み歪に歪む。  
直後、獣の様なレオンハルトの咆哮と共に、大量の白濁液がディシャナの顔や胸へと吐き出された。  
 
「・・・随分と出されましたね」  
「・・・ゴメン」  
自らを汚す粘液に顔をしかめながら、ディシャナは張本人を半眼で睨みつける。  
蛇に睨まれた蛙の様に萎縮したレオンハルトは、消え入りそうな声で謝罪の言葉を吐き出した。  
「あれほど強く掴んで・・・跡が残ったら困るのですが・・・」  
「・・・・・・・」  
なおも続く批難の言葉に何も言えずガックリと力尽きるレオンハルト。  
彼の姿に後始末を終えたディシャナは軽く溜め息を吐くと、部屋を後にしようと扉へと向かう。  
「あっ、ディシャナ」  
「何です?まだ足りませんか?」  
その背に慌てて声を掛けるレオンハルトに、歩みを止めたディシャナは氷の様な視線で振り向く。  
射抜かれる様な視線にレオンハルトは全身を強張らせるも、彼女の瞳を真っ直ぐに見据え言葉を続ける。  
「その・・・ありがとう」  
彼の素直な感謝の言葉を受け、ディシャナは僅かに態度を軟化させた。  
「・・・構いません、始めたのは私の方ですから」  
「それでも、ありがとう・・・・・・それと長い付き合いになりそうだから・・・その、よろしく」  
彼の『よろしく』の言葉に込められる意味を図りかね、ディシャナは訝しげに眉をひそめた。  
しばらく思考していた彼女だったが、レオンハルトの真意に行き当たり頬が桜色に上気する。  
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」  
しばらく彼の目を睨んでいたディシャナだったが、やがてぷいっと目を逸らすと無言でレオンハルトの部屋を後にした。  
 
 
 

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