「くっ……ああっ……くっ……重い……重いです」
「なにを言ってるのかしら、鴉君……。いえ」
苦しげにうめく少年にに向けて、空色の下着の上下のみという色気に満ちた格好で、少
女は婉然と言い放った。
「この薄汚い豚が……。口をとじないとこのお腹、踏み抜いてしまいますよ……」
「ひっ、ひいっ!」
ソレがハルユキの下腹部へ食い込んた。皮下脂肪に包まれ、もちもちしている腹部を強
い圧力で踏みつけているのは、新生<<ネガ・ネビュラス>>の一角、こと<<スカイ・レイ
カー>>倉崎楓子。そしてハルユキのお腹を蹴りつけているのは、楓子の制御可能な生体義
足。足裏の土踏まずや、五指のなめらかな動きはすでに人体として違和感は無いのだが、
両膝より上の体重を支えるパワーを再現する為の大小各種のサーボと大容量バッテリ・セ
ルを内蔵しているため、したたかに、重い。
見た目上、生体と変わらない義足がぶぐりっ、ぐふりとうごめいて、ハルユキの腹部を
圧迫する。
――くっ、痛い、だけなのに。
一方的に繰り広げられる凌辱にハルユキの中に芽生えたのは、不思議な感情だった。主
導権をすべて奪われ自由の利かない体を好き勝手に蹂躙される、そんな状況がゆっくりと
ハルユキの脳髄を被虐的に溶かしていく。ふぐり、ふぐり、と腹部をなんども圧迫された
せいで、ハルユキの瞳からは涙が流れ落ち、唇の端からは涎がひと筋落ちる。
「ふふふ……豚さん。涎が垂れてますね。拭いてあげます」
ぶにいぃ、と腹部を深く蹴り上げた足裏をハルユキの顔に向けた。ぐにぃ。ハルユキの
頬がゆがむ。主に、物理的に。
「ほら、拭いてあげる……その薄汚い豚汁を……大好きな、足の指で」
足の親指と人差し指がうごめいて、ハルユキの流した涎を二本の指の間でからめ取った。
数億にも及ぶ入力信号を微調整することで可能な、人体には不可能な動作で、ハルユキの
涎をふき取った楓子は、再びハルユキの頬をぶにぶにと踏みつける。そのたびに頬が波立
ち、ハルユキはあぐあぐと情けない、あえぎ声をあげた。
と――。宿主の生命の危機に反応し、ハルユキのクロム・ディザスターが鎌首をもたげ
た。皮つきトウモロコシのような性器に勢いよく血が巡り、ハルユキの腹部を膨らんだ亀
頭がびったーんとハラウチした。鯨の背面とびのように、肉腹を打った性器。その膨らみ
ように楓子は唇を嫌悪の形に変えた。
「ああ。ああ、豚がサカって恥ずかしい……」
いっさい容赦ない罵倒をハルユキへ浴びせつつ、楓子は背中に手をまわしてブラのフッ
クを外した。楓子はいっさいの躊躇もなく、ブラジャーを外すとハルユキに投げつけた。
空色のブラジャーはハルユキに向かって飛び、バシ、ぽよんぽよんという物悲しい効果音
を響かせながらハルユキの腹部に当たった。
ひゃあ、と悲鳴をあげたハルユキの体の上で、こんもりとか、豊満というよりも、肉ま
ん二つをくっつけたような乳房がが恥ずかしげもなくさらされていた。
楓子はハルユキの顔面から脚をあげた。圧迫しされていた気道が解放され、ハルユキは
大きくせき込んだ。
楓子の義足の指がハルユキの胸の真ん中を這い落ちていく。なだらかな腹部の山を越え
て、期待汁で先端を汚しているハルユキの性器に足指が至った。そして楓子は絶妙なバラ
ンスで片足立ちし、もう片方の足先ハルユキの性器をくすぐりはじめた。
「ふああっ、ああっ、くぅ……」
尿道管をくすぐる指先にハルユキは背筋を凍らせる。性器の内側に射精感の喜びが渦巻
く。だが楓子はゆがんだ微笑を口元にたたえながら、ハルユキのクロム・ディザスターか
ら脚をはずしてしまう。
「うわっ……」
射精の直前まで昂ったものの、最後のひとこすりが足りなかったが故にハルユキは喘ぎ
ながら楓子を見上げた。
ハルユキの苦しげな表情を見て――楓子は恍惚の笑みを浮かべた。
「ああ……」
いたぶりに笑みを浮かべつつ、自分のショーツの縁に指をひっかけてするすると落とし
始める。ハルユキに見せつけるようにストリップを開始した楓子は、片足ずつ丁寧にシ
ョーツを脱いだ。
いままで隠されていた恥毛が惜しげもなくさらされる。茂みに隠されているスリットは、
嗜虐の快感に濡れそぼっていた。きらきら輝くピンク色の入り口にハルユキの視線は引き
寄せられる。楓子はそんなハルユキの視線に嫌そうな顔をしながら、ハルユキの胴体を跨
いで、二本の指をスリットに差し向けると、スリットの縁に指を当てて、指の間隔を開け
た。
「あ、あああ……」
ハルユキは息をのんだ。秘裂の入れ口が開かれ、ぬらぬらと輝くサーモンピンクに目が
釘付けになる。自慰行為を覚えたばかりの――楓子に打擲されながら覚えさせられた――
ハルユキを誘うようにきゅぅ、きゅぅ、と秘孔が閉じたり、開いたりしている。
「ねえ、豚さん?」
楓子が言った。
「挿入(いれ)たい?」
「は、はい!」
断るには、あまりにも魅力的な問いにハルユキは即答した。しかし楓子はますます表情
に嫌悪を浮かべ、血の通わない零度の視線をハルユキに向ける。
しかしハルユキはその視線にすら、快感を覚えていた。魅力的な流し目に胸と股間が大
きく波立つ。楓子はハルユキの分身に手を添えて、ゆっくりと腰を落としていく。
「あ、あああっ!」
ハルユキの性器に楓子のスリットの入り口が触れた。入り口をわずかに押し広げた程度
の挿入感が、ハルユキにはたまらなく心地いい。しかし楓子の腰はそれ以上、ハルユキを
迎えなかった。
婉然とほほえんだ楓子は朱唇を濡れ輝かせて言葉をはく。
「鴉さん、なにか言う事がありますよね……」
「え……?」
ハルユキはすがるような瞳を楓子に向けた。そんなハルユキをふんっ、と鼻で笑ったあ
と再び腰を――スリットをハルユキから遠ざける。
「あ、あああ……!」
性器の先端を覆いそうだった体温がとおのき、まるでダスク・テイカーに翼を獲られた
ときのような、絶望の声音で泣くハルユキ。
「さあ……鴉さん……?」
「ぐ……い、入れてさせてください……!」
「んー、もう一声」
ちゅっくぅ。再びスリットがハルユキの先端をくすぐった。
「ひっ、あああ……もう、もう……ぼ、ボクの……豚のようなボクのここを、受け止めて
ください!」
「ふふ……」
楓子は満足げに微笑みながら、ゆっくりと――腰を引いていった。
「な、なんで……」
「だって、出来ちゃったら困ります」
言いながら、楓子はハルユキの性器をにぎりしめて、上下にコすった。
しかし無造作で情などひとかけらもない楓子のしごきにハルユキは耐えられない。大量
の精液がぶしゅ、びゅしゅぅ、と吹きあがった。
じらされたせいで濃くなった精液がハルユキの体と楓子の髪を汚していく。
射精の快感に荒い息を吐くハルユキに対して、楓子は満足げに微笑みつつ、手を汚した
精液をもちあげ――自分の唇によせてちゅぱちゅぱ、と粘液を啜って――微笑んだ。