後背位で挿入し、そのまま横倒しになった姿勢で、有田晴雪は倉崎楓子の栗色の髪を指  
でもてそびながら、肩へなだらかに広がるうなじに時折、キスをしていた。すでに一時間  
前後、楓子の膣道は、ワイルドバナナの三倍程度の長さと太さを誇るハルユキのクロム・  
ディザスターを受け入れ続けている。ハルユキは一つになってから長い時間がたっている  
ため、眠りを誘うような緩い快感が性器からもたらされていた。  
 密着した楓子の背から伝わる体温を体の前面いっぱいに感じ、就寝前のまどろみに似た  
幸福をハルユキが愉しんでいると、密着する楓子がおずおずといった様子で甘くささやい  
た。  
「……鴉さん、腕ください」  
「え?」  
「腕枕……して、ください……」  
「は、はいっ……」  
 背を向けておねだりする楓子の頭に、ハルユキは腕枕しつつ、栗色の髪ごと、首に腕を  
まわして楓子を抱きしめた。  
 はふっ、と幸せそうな吐息を吐き出しながら楓子は体から力を抜いた。ハルユキと楓子  
にはかなり身長差があったが、ハルユキの……が長いため、こんな無茶ができている。  
「鴉さんの腕……温かいです……」  
 楓子は回されたハルユキの腕に頬をすりつける。つきたての餅のように柔らかな頬の感  
触は、ハルユキの心臓の鼓動を加速させてやまない。  
 包まれる感触に安堵してるのか、そのまま眠ってしまいそうなほど安らか楓子の呼吸が、  
二人っきりの部屋に甘く漂う――。  
 日だまりでまどろむ猫のような楓子の仕草に、ハルユキ自身もこの上ない安堵を得てい  
た。  
 ハルユキは、この格好が一番甘えられる――という楓子の言葉に、どこか切なげな響き  
を感じ取り、率先してこの体位を承諾した。横たわりながら重なる、この体位ならハルユ  
キの位置からは楓子の下半身はまったく見えない。視界にあるのはニューロリンカー焼け  
した白い首筋と栗色のナチュラルロングの髪だけだ。  
 さらにハルユキが首をあげても、二人の腰のあたりにかかっているシーツが楓子の下半  
身を覆い隠しているので、直視することができないのだ。  
 
 いま、ハルユキの腕の中にいる倉崎楓子の脚に、義足はない。  
 義足は彼女の生活にとって必要不可欠なものであるが、同時に重苦しい『枷』たりえる。  
その重みから解き放たれ全力で甘えてくる倉崎楓子という少女の体を、ハルユキは抱きし  
めた。  
 愛おしさのままに、ぎゅうっ、と。  
 楓子がハルユキの腕の中で身じろぎした。  
「鴉さん……そんなにやさしく抱かれると、わたしが腕の中でとけちゃいますよ? ただ  
でさえ――いま、逃げられないんです。そんなに強くしなくても、どこにも行かないです  
よ?」  
「に、逃がしません! ボクの……いまはボクの腕の中にいてください……」  
 普段なら汗顔決定の台詞もこの時ばかりは言えてしまった。ふと、楓子の背中から微笑  
の気配を感じて、ハルユキは思わず顔を赤らめてしまった。そんなハルユキの態度を知っ  
てか知らずか、楓子はやさしくハルユキに語りかける。  
「ふふ。もう……鴉さんが私の中にいるのに、ね」  
 楓子がハルユキの手をとって指を絡めた。ハルユキの五指と楓子の五指が隙間なく絡ま  
り、繋がる。  
「動いて、いいですよ……鴉さんの好きなように」  
 幼い子供にやさしく語りかけるように言われ、ハルユキはおずおず腰を引いた。ずっと  
楓子の内側に包まれていた性器が久々の刺激に大きくうごめいた。  
 腕の中の楓子がすこしでもやすらげますように、と願いながらハルユキはすこしずつ腰  
の動きを早めていった。  
 

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