「はっ!」 
 
 現実時間で約1.8秒――加速時間が終了し、現実に意識を回帰させたハルユキは、しばらくぼうぜんとパドさんと楓子をみつめた。 
 惜しげもなく裸体をさらす美少女二人の、きつく瞑られていた瞳がほぼ同時に開かれる。そのまま――ふら、っと二人の身体が後ろへ傾いだ。 
 ベッドへ倒れこみながら、楓子が大きく深呼吸した。 
 
「すこし……つかれちゃいました……でもいい戦いだったわ、レパード……」 
「……レイカー……GJ……!」 
 
 互いにいいながら、二人はけだるげにベッドシーツへうずまる。 
 二人の「健闘」を真横で見ていたハルユキは嘆息しながら、二人へ話しかけた。 
 
「……なんだかすごく勉強になりました……。まさか対戦になるとは思ってなかったですけど」 
「それに関しては鴉さん。あとでちょっとオシオキですよ……」 
「は……はは……はい……」 
 
 楓子の笑顔に戦慄しつつも、ハルユキは何とか笑い返した。 
 時間稼ぎのためにバースト・リンクで初期加速空間に逃げたハルユキは、スカイ・レイカーから対戦を仕掛けられた。楓子はハルユキと直結状態にあったので、対戦の申し込みが可能だったのだ。目の前に現れた美麗な空色アバターが、らんらんと目を輝かせるのをみてあわやオシオキかと思われたそのとき、スカイ・レイカーをギャラリーしていたブラッド・レパードが、レイカーとの対戦を望んだ。 
 そのままバトルロワイヤルモードへ突入し、ハルユキは二人に手をださず、傍観に徹した。 
 楓子とパドさんの戦いは、ハルユキにとって実に心躍るものだった。アキハバラBGで切磋琢磨しあう、好敵手同士だった二人はお互いの手の内を知り尽くしている。 
 オープン・ポーカーのような高度な読みあいの応酬の末、対戦はタイムアウトした。判定の結果はドロー……ではなくパドさんの判定勝ち。 
 
「はあっ……負けたけど……ああ、でも……楽しかったわ……レパード」 
「……」 
 
 楓子はパドさんの瞳をみつめて言い、パドさんはわずかに頬を赤らめつつもうなずいてみせる。 
 極度の緊張状態から解放された反動で、二人の身体からは力がすっかり抜けているようだった。現実では指一本動かしていないが、真剣勝負の精神疲労はリアルに戻ってからも残りつづける。 
 
「パド……さん……師匠……」 
 
 試合形式上はバトルロイヤルだったが、ハルユキことシルバー・クロウは終始ギャラリーに回っていた。古参バーストリンカーが火花を散らして激突する光景が、ハルユキへ飛び火して闘争心を燃え上がらせていた。 
 ハルユキはそろそろと視線をおとした。いまだ解放されていない闘争心の高ぶりを反映するように、性器はもとの硬さを取り戻していた。 
 
「は……ああ……」 
 
 くたっ、と力を抜くパドさんの姿が、ハルユキの情欲を刺激した。どうやら全裸であることもわすれてしまっているらしく、脚を緩く開いている。ハルユキの方へ向けて――。 
 ハルユキは無意識にパドさんの脚にふれていた。 
 
「ん……クロウ?」 
 
 ぱちぱちと瞬きするパドさんをよそに、ハルユキはみっちりと筋肉の詰まった両足を――。抱え上げてしまった。 
 
「――っ!」 
 
 パドさんは唇をかみ、顔をうつむかせた。つかんだ脚には、まったく力がはいっていない。 
 それを良いことに、ぐっと太股をおしあげる。秘処から染み出した蜜は、秘処全体を濡れ輝かせ、黒々と茂る恥毛までもしっとりと濡らしていた。 
 
「ぁ……ぁ……く、クロウ……」 
 
 珍しく焦った声で脚を閉じようとする、パドさん。親にすてられた子猫のような、心細げな表情だった。 
 
 ごめんなさい……。でもドローじゃなくてパドさんが勝利者だし……順番はこれでいいはずだし……それになにより、我慢できない――! 
 
 パドさんのほどよく筋肉のついた太股裏に手のひらをあて、入り口に亀頭をくっつける。 
 
「――っ!!?」 
 
 あわてて制止しようとするパドさんにかまわず、秘処に性器をおしあてる。 
 
「っ――!」 
 
 身をよじる――動きが、接触した性器を刺激した。一瞬で脳内を白く埋める、燃え上がる情動のままにハルユキは腰を押し込んだ。 
 じゅる――! 
 予想を通りこし、勢いよく性器が収まった。じゅる――膣道を満たしていた愛液がすきまから漏れ出ていく。 
  
「はっ、ぁぁ――んっ!」 
 
 脱力していたおかげで、いれるときはそれほど抵抗はなかった。が、一旦納めてみると、大型エレキバイクを操るため鍛え上げられた腹部がきゅっとひきしまり、ハルユキを根本から抱きしめる。根本から先端にかけてぞふ……とうごめく膣道は拷問そのものだった。このまま挿入しているだけでも、達してしまう気がした。 
 
「くっ……うっ……んっ……」 
 
 パドさんも同じような状況のようだ。閉じきった瞳の端には大粒の涙がたまり、まつげをふるわせている。 
 さらにハルユキは、突き込まれた余韻に震えるパドさんの乳房を手のひらに納める。 
 
「ふ……くっ……ああんっ……」 
 
 根本から均等にはり、美しい曲線を描く乳房が崩される様は、視覚的にも、ハルユキを興奮させた。熱に浮かされるまま、パドさんを貫いた。 
 
「んっ――ぁぁっ――!」 
 
 ぬる、と濡れそぼった筒に性器が包まれる。油断していたせいか、奥まで簡単に到達してしまった。が、奥の子宮口をつついた瞬間、すさまじい締め付けがハルユキをおそった。 
 
「あっ――! だ、め……!」 
 
 ふる、ふる、とくずれ気味の三つ編みの髪をふり、差し込まれた衝撃をにがそうとするパドさんを、ハルユキは我慢ができずに強くツツいてしまった。 
 抱え上げていた脚があばれるが、ハルユキの思考のほとんどは、貫く行為にみせられてしまっていた。 
 
「あああっ――くっ、だめっ……!」 
 
 いつものクールビューティーな相貌が、淫蕩に乱れていく。暴れていた脚はいつのまにかハルユキの突き込みにあわせて揺れるだけになり、シーツをつかむ指にばかり力が入っていた。 
 
「はあ……、はあ……パドさん――!」 
 
 一突き目の締め付けが強すぎて、一気高ぶってしまった性器は、続く刺激であっという間に限界へと達した。根本、茎、亀頭を理想的な強さで閉めてくるパドさんの名器は、貫くたびに締め方を変えるので、常にハルユキを刺激し続ける。 
 
「はあ……だっ、んっ――!」 
 
 貫く動きにあわせて揺れていた乳房を両手で押さえる。幼いピンクの先端を摘みつつ、腰を押しつけた。 
 喉をさらしてあえぎ、時折下腹部をよじるパドさんは、とうとう瞳の端から涙をこぼし始めた。涙の筋が色っぽい。 
 
「ん――んっ――!」 
 
 戦いで高ぶっていたのは、ハルユキだけではなかったようだ。高ぶりの証拠に、秘処から次々に蜜をこぼし、ハルユキの性器を濡らしていた。 
 
「ぱど……さんっ!」 
 
 ついに関を越えた射精感が、尿道をはしって出口へと殺到していく。 
 
「ああああ――!!」 
 
 普段のパドさんからは考えられない、高い声の悲鳴が室内に響いた。 
 
「ふああっ、ああっ、あぐ――はあっ、クロウ……だめ――!」 
 
 誘うようにわなないた肉筒にむけてハルユキは射精を開始した。一度楓子とパドさんに慰められているはずの性器は、砲弾のような精液をパドさんの子宮へたたきつけた。体をよじるパドさんの腰を捕まえ、奥へ射精する。 
 射精は一分にもおよんだ。 
 パドさんは性器が震えるたびに背中でシーツをけり、最後にはとろけた瞳で天井をみつめていた。 
 
「はあ……は……クロウ……だ、出し過ぎ……」 
「え……は……ごめんなさい……」 
 
 珍しく語尾をふるわせたパドさんは、ハルユキを抱き寄せた。汗に濡れた乳房にふにゅん、と頭部が埋まる。 
 
「そんなことされると……離れられなくなる……」 
 
 ぼんやりとつぶやかれた言葉にどぎまぎしながら、ハルユキはしばらく胸を枕に安らいだ。 
 
 一分ほどして、パドさんの腕から力がなくなり、ハルユキは自由になった。 
 一瞬だけパドさんと目があった。パドさんは――優しく微笑んだあと、目をつむった。しばらく休みたいらしい……のを敏感に感じ取ったハルユキは、そろそろと性器をぬき……。 
 パドさんとハルユキの交わりを呆然と見つめていた楓子に向き直った。 
 
「あ、あの……か、鴉さん……?」 
 
 楓子はベッドのうえでじりっ、あとじさった。 
 パドさんの痴態を間近で見て、羞恥心がもどったのか脚を内股ぎみにして、手のひらで秘処を覆い隠した。 
 ハルユキはぼんやりした頭のまま、楓子の手首を握りしめて払った。 
 
「あ……」 
 
 小さな悲鳴にかまわず、そこをのぞき込む。 
 
「師匠……もしかしてボクとパドさんを見て……興奮していました?」 
「……」 
 
 瞳に涙の膜をはったまま、楓子は首を左右に振った。しかし、充血して赤々と立つクリトリスや、血がめぐったせいで左右に開かれつつある秘処が、楓子の興奮を現している。その中心部は、次から次へあふれ出る愛液で濡れそぼり、誘うように輝いていた。 
 
 ――で、でも……一応……。 
 
 軽いM字に開かれた脚の間に指をすすませる。栗色の陰毛をかき分け、入り口にふれる。縁を指先で押すと、圧力を受けた秘孔から蜜がこぼれていった。指の第一関節くらいまでを孔に進入させる。何の抵抗もなかった。潤んだ柔肉がハルユキを受け止める。 
 
「はぁ……ああ……鴉さん……いじめ……ないで……」 
 
 思わぬ心細げな声にハルユキは頭を上げた。 
 泣き出す寸前の童女のような表情で、楓子が言った。 
 
「か、鴉さんの……いじわる……は、早くしてほしいのに……指ばっかりで、ちっとも……」 
「……ご、ごめんなさい……」 
 
 指で責めることに夢中になりすぎたようだった。ハルユキはあわてて指を引き抜いた。 
 
「あああんっ……つっ……んっ……」 
 
 勢いよく抜きすぎたせいか、入り口から滴が散った。 
 
「ああ……鴉さん……はやく……して……も、もう耐えられないです……気が狂いそう……」 
「は、はい……」 
 
 恥ずかしさもどこかにいってしまったのだろう。痛切な表情で訴えかけられ、思わずごくり……ハルユキは唾を飲み込んだ。 
 そろそろと性器の頭を近づける。期待に潤んだ楓子を眺めながら…。腰を押しつけた。 
 
「あん――っ!」 
 
 漏れ出した嬌声とともに、楓子が仰け反った。普段の楚々とした表情からは考えられないほど、頬を淫靡にほころばせる。背をそらしたことで、腹部の線が浮かび上がった。腹圧で膣がきゅっ、と引き締まる。ハルユキが見つめる交合点から、じゅる……と愛液が漏れだし、ベッドのシーツにシミをつくった。 
 
「はあ……はあ……鴉さん……もっと……ください……」 
「はい……」 
 
 それ以上を言わせてしまうのは、あまりにも情けなかった。楓子の腰を緩やかにつつみ、挿入を開始する。 
 
「ふあ……ああん……ふふ……びくびくしてます……」 
「そ、そうですか……?」 
「ええ……不思議な感じです……」 
 
 そんなに敏感なのかな? と自分にはない器官への疑問を浮かべつつ、楓子の反応が良さそうなところを擦っていると……。 
 
「……」 
 
 寂しげな表情でいるパドさんに気がついた。なんだか見放された猫のように所在なげで、見ているこちらの胸が寂しくなるほどだった。 
 
「じゃあ……パドさん……師匠……」 
「?」 
「鴉さん……?」 
 
 楓子に挿入したまま、二人を向かい合わせる。楓子とパドさんの美乳がたがいの圧力を受けて崩れる。 
 楓子の脚の片方をかかえあげて、肩へのせる。 
 
「あ……、れ、レパード……」 
「……レイカー……」 
 
 加速世界ではおそらく数え切れない死闘を繰り広げた二人だが、こうしてみると仲の良い同性同士にしかみえない。 
 楓子はそうでもない――もしかしたら謡と「こういうこと」をするのになれているからかもしれない――が、パドさんは戸惑っているようすだった。ハルユキは後押しすべく、手を伸ばしてお尻に触れた。そういえばまだあんまりさわってなかったな……と、考えながらお尻に指を埋める。 
 
「ひゃん――」 
 
 思いがけない悲鳴に楓子とハルユキは顔をみあわせた。 
 
「……NP」 
 
 ばつが悪そうに言うパドさん。 
 
「じゃ、じゃあ……」 
 
 さすがに恥ずかしそうに顔をふせるパドさんのお尻の丸みを、ハルユキは指でたどった。 
 
「ひゃんっ……んっ……はぅ……」 
 
 明らかに悲鳴の種類が違う。パドさんと向かい合っている楓子が、苦笑して言った。 
 
「ねえ、レパード……もしかしておしり……弱いの?」 
「……!」 
 
 ふるふるふる。パドさんが頭を横に振った。態度が雄弁に「おしり弱い」を肯定していたが、タイミングをみてやらないと、ものすごく怒られる気がした。名残おしくも、ハルユキはパドさんのオシリから手をはなした。 
 
「……ふぅ……」 
 
 パドさんがあからさまに安心し、脱力するのをみて、楓子とふたりでほほえみあう。 
 今度は楓子がパドさんの首へ腕を回した。 
 
「レパード……」 
「……」 
 
 パドさんが真剣な面もちのまま、楓子に唇を近づけた。二つの唇がゆるやかに接触する。 
 
「ん――! むっ、うう――!」 
 
 挿入されたままの楓子が、パドさんの唇を受け入れる。鳶色の瞳に滲んだ涙がほろほろとこぼれ落ち、頬をつたっていく。そして、キスが行われるたび、柔肉がきゅうきゅうに狭まった。上下左右を包んで迫る、膣粘膜の心地よさが、ハルユキをさらに興奮させた。 
 
「はあ……はぁ……はぁ師匠……行きます……」 
 
 性器が抜けきる限界まで腰を引き、一気に打ちつける。 
 
「ああっ、あっ、んぅ…んっ! 鴉さんっ!」 
 
 悲鳴じみた嬌声は、パドさんの唇で吸収される。そのせいか締めつけはほとんどゆるまず、ハルユキの性器に沿い続けていた。突き込まれるたびに、ニータイツにつつまれた足が揺れる。 
 そして再び、パドさんが寂しそうな顔をしているのが見えた。もう一度、ハルユキはパドさんのオシリにふれた。 
  
「ひんっ――!」 
 
 それこそ猫が尻尾を踏んづけられた時のように、パドさんの腰がはねた。 
 やっぱりお尻ヨワいのかな――? 楓子を貫きつつ、パドさんの引き締まったお尻を弄ぶ。胸とは違う柔らさが手のひらに伝わった。しっとりと汗で濡れているせいか、なめらかな感触さえある。 
 
「……くすぐったい……」 
「で、でも……」 
 
 ハルユキの言葉を継ぐように、こくこくとパドさんが頷く。 
 
「……気持ちいいから……そのままでいい……」 
 
 次第にとけていくパドさんの表情をもっと見てみたくなった。精液と愛液がとぶとぷ流れ出る秘孔へ、指を差し込んだ。楓子を貫くのも忘れない。 
 
「あっ――くぅ――!」 
「――っ!」 
 
 ほぼ同時にパドさんと楓子が背をのけぞらせた。指と男性器でひくひく震える膣道を味わい、さらに性器と指を出入りさせた。 
 
「はあっ、ああっ、んっ、んっ、あんっ――!」 
「クロウ――んっ、ひゃんっ……んっ、ゆび、やらしい――っ!」 
「パドさん……師匠――っ!」 
 
 思い思いにむせび泣く少女二人の姿は、ハルユキの情動を大いに刺激した。性器がさらに膨張し、指は無意識のうちにパドさんの弱点をさぐりあてていた。 
 
「あああっ――! ま、まだ、大きくなるの――!?」 
「だめっ……クロウっ、そっ、こ……はぁ――!」 
 
 二人の悲鳴を聞きながら、ハルユキはかすみ始めた視界でなんとかパドさんと楓子の姿をとらえていた。 
 
「ひゃんっ――んっ! こ、こんなに……はあっ、気持ちいいの……ああっ……はあっ、んっ、くっ、くせになったら……っ!」 
 
 楓子はすでに体面もなくあえいでいた。秘処の肉ひらが挿入のたびにかき乱れ、白い乳房が衝撃で踊った。 
 
「はあっ……あああんっ、クロウ……そのまま……そのまま……」 
 
 パドさんはいつの間にか自分の人差し指を秘豆に当てて擦っていた。ハルユキが指で膣壁を広げるタイミングを見計らって、慰めているようだった。 
 
「はぅ……だめっ、だめぇ――!」 
「はああっ、はっ、指、気持ちいい……」 
 
 触ってもいないのに興奮で突き立つ乳首。性器や指を受け入れるべく潤みをます蜜壷。普段は清純な美貌をもつ二人が、頬を赤く染め、いまは激しく乱れている。求めて、体をふるわせている――。 
 びくびくびく――。 
 性器の内側で射精感が高まっていった。吐き出したい衝動に従って、子宮口へと性器を押し込む。 
 
「はあっ――はあっ……師匠! も、もう――!」 
「はんっ……んっ、んっ、鴉さんっ……いい――で 
すよ――! いっぱい……いっぱい……注いでください!」 
「クロウ……はあっ、指、そのままっ――!そのまま――っ!」 
「は――いっ!」 
 
 腰をふとももにたたきつけ、尿道を伝う粘液をそそぎ込む。同時に、深く突き込んだ指を思い切り曲げた。 
 
「あっ――!」 
「んっ――!」 
 
 二人が呼吸をとめ、体をそらした。悲鳴さえあげずに二人は達し、ハルユキもまた射精の快感に満たされていた。 
 
「あっ……ああっ……っ……」 
「――っ」 
 
 楓子もパドさんも体をふるわせ唇をかみ、四肢をふるわせ続けていた。虚空を見つめる瞳から光が失われていくが、その間もハルユキを激しく締め付けている。呼吸さえ止めているようだ。 
 二人の肌から汗が染み出し、照明の下の裸体をさらに色っぽく演出する。 
 
「――は、はあっ……ああっ……」 
「っ……んっ……ふう……んんっ――」 
 
 やっと呼吸を取り戻した二人は、今度は荒い呼吸をし始めた。 
 楓子がよく眠った朝のようにとろんとした瞳でハルユキを眺めた。 
 
「鴉……さん……いま、わたしたちどうなっていました……? い、いま……き、記憶が……とんで……しまって……」 
「……頭がしろくなった……」 
 
 同じくぼんやりとした口調でパドさんが言った。 
 
「え……えっと……」 
 
 説明には時間がかかる。けだるさが抜けきらず、思考がはたらかないハルユキは、一時の安らぎをもとめて、汗みずくになった二人の胸元に額をおしつけた。 
 
 
 
 
 
「ふふ……大丈夫かしら、鴉さん。お風呂ならつきあうのに……」 
「NP……クロウなら大丈夫。私たちがいると、たぶん、終わらなくなる」 
「そうね……」 
 
 情熱的に潤む瞳でパドさんが楓子に覆い被さった。再び唇をあわせる。数十秒の長く、深いキスのあと、二人はお互いの背中に手をまわした。湯上がりのように頬を紅潮させた楓子が言った。 
 
「レパード……わたしたち、どこまでいっちゃうんでしょうね……。鴉さんに、あんなに激しくされて……気持ちよくて……ふふ」 
「レイカー……そろそろニコたちを任せても大丈夫だと思う……」 
「そうね……明日ういういに話してみます」 
 
 美少女二人は唇を吸い合いながら、身体をかさね見つめ合って微笑む。そして唇を離すて呟いた。 
 
「我が……親愛なる赤の王……ニコのために」 
「我が……親愛なる黒の王……サッちゃんのために」 
 
 パドさんがニューロリンカーで部屋の照明を落とした。部屋が暗闇に満ちる。ハルユキがシャワーを浴びる音が、舌を絡ませる二人の耳にそっと届いた。 
 
 
 
 
 シャワーを浴びる傍ら、ハルユキはいったいどうしてこんなことになったのかを考えていた。たしかに男冥利につきる展開ではあるし、セックスは心地いい。が、あまりにも状況が、ハルユキ本位に進んでしまっている気がして落ち着かなかった。 
 
 ――そういえば昔のゲームで、薬を飲むと異様なフェロモンを分泌して……モテモテになる話があったような……。 
 
 腕をくんくんと嗅いでみるが、わかるはずもなくハルユキは嘆息した。 
 自分の性器が目に入る。 
 四埜宮謡、若宮恵、パドさん、倉崎楓子……を貫いてきた相棒は、いまは役目を終えてうなだれている。 
 
 
 ――喰イタイ……。 
 
 
「え?」 
 
 下腹部からなにかが聞こえた気がした。 
 声はかつてハルユキとともにあった、クロム・ディザスターの「獣」とよく似ていたが、質はもっと――ピンク色だった。 
 今度は意識して、声に耳を傾ける。やはり下半身から聞こえてくるようだった。 
 声が再び――。今度は明確な「声」としてハルユキに届いた。 
 
 
 ――喰イタイ……オッパイ……喰イタイ……。 
 
 
 やけに俗っぽい「声」だった。 

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