三女神 噴水浣腸地獄

 著


  地獄の魔胎殿の大広間、中央の玄関口に半球のクリスタルドームがあった。

  磨きぬかれた床面から一人分だけ高くなった台座の中央。クリスタルの半球が鎮座していた。台座の中から不気味な機械音と苦痛にうめく女性の声が響き、誰もいない広間で黙々と時間を刻んでいた。

  なんの飾りつけも無い白と黒で装飾をした寂しい空間。だが人の手ではけして作り出すことは適わない整然として空虚な空間。

  ここは天界におけるユクドラルシステムと同じ時間を司る部屋だ。ここの持ち主ははるかな時間の闇に埋没して無人の部屋になっていた。

  今は違った。

  半球のドームには三人の女神達が地獄の羞恥に耐えながら時間を刻んでいた。

  過去を司る女神ウルド。

  現在を司る女神ベルダンディ。

  未来を司る女神スクルド。

  三人の美しい女神達は地獄の邪神に囚われ、哀れにも玩具のごとく見世物にされていた。

「だしなさい。出せといっている!!」

「ああ・・・」

「も〜ばか〜出してよぉ〜タダで済むと思っているの〜」

  泣き叫び声を荒げるのは三人の女神様達。分厚いクリスタルの外に声が漏れることは無い。無残にも痴態をさらし続けるしかなかった。

「美しい時計だ。三千世界広しといってもこれほどの時計はあるまい」

 よく聞きなれた声がそれぞれ女神達の耳を打つ。空気を震わせて耳に届く音ではなく、直接心に訴えかけてくる声。

 ドームの外には地上で家族同然に暮らしていた森里 螢一の姿から漏れたものだった。

 邪悪な表情に加えて、体から滲み出る人ではない雰囲気で彼が別人に取って変わったのが察しられた。殆ど裸同然に肩から腰に薄布で覆い。股間の当たりに一本の直立した部位が薄布を押し上げていた。

 冷然とした目で女神達の痴態を一人づつゆっくりと舐めるように見て歩く。

「螢一さん・・・・お願い正気に戻って・・・・」

 ベルダンディが悲痛な声で訴えた。

 ウルドとスクルドも螢一の顔を覗く。僅かばかりの可能性に望みをかけたのだ。

「・・・・・・」

 無言で視線から外して吐き捨てるような笑顔を歪め、備え付けの椅子に腰掛けた。

「螢一!!」

「けいいち!!」

 それぞれ異なった発音で残った二人が声を荒げ名前を叫んだ。

「そう慌てるな。君たちは時計なんだよ。時間を刻む崇高な仕事は焦ってはいけない」

 感情の抑制のない渇いた声。

 普段とはまるで違う体温を感じさせない振る舞いに、女神達は悲しみを覚えた。

「お願い目を覚まして!!」

「もう! 螢一のクセに何でこんなことするのよ」

 時間が迫っていた。

 視線を変えて天井を見れば黄金のシリンダー状の筒が備え付けられていた。

 ウルドとスクルドは渇いた咽をゴクンと飲み込んだ。

「ああっ」

 ベルダンディが涙を浮かべて螢一に訴えかける。

「恵一さん!!  恵一さん!! お願い!」

 説得の言葉も螢一の心には届かなかった。

 三人の女神様が悲痛な哀願の声を荒げ、それぞれに声を漏らしていた。

 クリスタルドームの中では、一本の支柱に三人がそれぞれ三方向にむかって縛りつけられていた。それはもっとも羞恥に震える格好の一つであった。

 頭を下に向けられ首輪がされている。首輪と言ってもペットがするような、かわいげのある物ではない。古代の囚人に着けられた鋼鉄の塊が首枷になっていた。そこから三本の鎖、これも5cmぐらい肉厚のある物がそれぞれ首輪から床に繋がれていた。

 そう三人の女神の身体は頭を下にして一本の柱に結ばれて浮いているのだ。両手を後ろ手に縛って、お腹を皮ベルトで柱に括り付けてある。

 お尻を天井に突き出し、足を大きく広げた格好。それぞれの足首は他の二人の足首に繋がれていた。これでは羞恥に悶え、股間を隠そうとすれば他の愛しい二人の秘部を晒さらしてしまう。だから誰一人、自らの股間を隠そうともしないで、見せつけるように足を広げているのだ。

 もちろん服は囚われたときのまま、普段着ている竿頭衣のような布着のみ。普段と違うのは下着を身に着けるのを許されていない事だけだった。

 自由を奪われ、声を上げることしか適わず。ただ螢一に哀願する・・・。

 六本の足は二本づつ色が違うが、どれも滑らかで肉づきのいい柔らかそうな太股が大きく開いていた。

 剥き出しになった下半身はヘソの穴までしっかりと見えた。お腹の上には自重を支えるベルトが食い込んで息苦しいことだろう。

 クリスタルドームはゆっくりと毎時六回転のスピードでゆっくりと回って時を刻んでいる。

「美しい・・・・・」

 感嘆とした声で螢一は絶句した。

 丸いお尻がプリプリと震え、羞恥と屈辱に歪む表情。思いやりで三方向に伸びる下肢。そのどれもが美しく感じていた。

 無遠慮に開かれた秘所。まるで見てくださいと主張するように全開で広げられている。

 ウルドの滑らかで美しい南国の美女のような褐色の肌。女性を強く意識させる凹凸のはっきりしたボディ。くびれた腰に映える漆黒のベルト。キラキラと輝く銀髪。なによりも憎しみを込めて睨む、燃える瞳。そして、髪の色と同じ銀色の恥毛・・・。銀髪の繁みは濃く深く生えていた。

 ベルダンディの白く、本当に白いきれいなシミ一つ無い肌。清楚で女性らしさをそこなわない均整の取れた身体。白い肌は苦しい体制からかほんのり桜色になっている。柔らかそうな栗色の髪。悲しみにくれた瞳。そしてうっすらと秘部に生えている恥毛。栗色の恥毛は髪と同じ柔らかそうだった。

 スクルドは一つ上と同じ純白の肌。それも良く見れば幼さが残る青い未成熟な肌。まだ幼い身体は女性らしさを主張していない。だが、牝を意識するには充分な肉感が感じられた。長い艶やかな黒髪。蠢くたびにサラサラとゆれる。憎しみと屈辱に涙で濡れる瞳。ほとんど一直線のワレメ。ちょぼちょぼ黒い恥毛が辛うじて見える程度の秘所。

 三者三様の痴態を森里 螢一にさらしていた。

 螢一は・・・いや、螢一の姿をした者は・・・秘所に上に三つの菊穴に視線を移す。

 体重をお腹の部分のベルトで支え、足を開いた状態で支柱に吊るされ格好は尻たぶを自然と大きく開く結果となっている。それは、女神達にとってはもっとも不浄な部分をさらすことに他ならない。菊穴はヒクヒクと伸縮を繰り返し喘ぐように閉口している。

「くくっ・・・女神ともあろうものがケツの穴を閉じようともしないとは堕落したものだな・・・」

 慈愛と慙愧の念が耐えないと言うような態度でドームなのかな哀れな玩具たちに話かけた。

「あなたという人は・・・・くっ・・・私はあなたを許しません・・・」

 静かにだが力強くベルダンディは言い返した。

「ごめん・・ベルダンディ」

 いつもの螢一と同じ柔らかで涼しげな口調。それは、螢一のフリをした男の演技にすぎないのをベルダンディは誰よりも知っていた。螢一と同じ仕種、口調。本人とまったく見分けがつかない。しかし、本物の螢一はこんな場所や状態でそんな言葉は吐きはしない。

「どうしたいだよベルダンディ。何を怒っているんだよ」

 螢一が螢一の演技を続ける。

 ベルダンディは唇を噛みしめて螢一を睨みつけた。悔しさで涙が出てきた。

「お願い・・お願いだからその姿で私達を辱めないで・・」

 嗚咽交じりの哀願。

「あなたが私のことを憎んでいるのは知っています。だけど螢一さんは関係ありません。お願い・・・螢一さんを開放してあげて」

 辛酸を舐めるようにベルダンディは続けた。

 螢一はいつもの・・・あの縁側で見せる暖かな笑顔をつくる。ひどく懐かしい感じがした。この笑顔を最後に見たのはついさっきのはずなのに久しぶりに見た感じがした。

 友人や家族、バイクいじりをしている時に見せる笑顔。まったく変わりない螢一さんの笑顔。

 ちょっと困った時、難事に直面した時に螢一は決して諦めないでいつも笑顔でベルダンディに微笑んだ。自分が女神でいることを忘れられる瞬間。ちっぽけな人間。もちろんベルダンディは人間をちっぽけとは思っていない。それでも、自分が使命の為に地上に降りているのを忘れられたのは螢一の笑顔のおかげだった。

 人あらざる者である苦悩・・・。

 時々怖くなった。螢一と別れなければいけない時が必ずやってくる。私は女神なのだから・・・。

 すべての不安を包み込むように螢一は笑っていた。だれよりも無力を自覚しながら全てを受け入れて笑っていた。

 その弱さを受け入れ勇気の象徴でもある優しい笑顔が、痴態をさらしている自分たちに向けられているのだ。

「恵一さん」

 ベルダンディの声は無慈悲にも届いていない。ここは神の目が届かない場所。奇跡など怒りようも無い・・・。地獄の底なのだから・・・。

 ベルダンディはおそらく生れて始めて怒りの炎を目に浮かべて螢一を睨んでいた。怒ろうと思って怒ってはいない。自然と怒りが湧いていたのだ。その目に浮かぶ炎は他の二人の姉妹も同様だった。

 螢一が螢一の真似をしている。

 三人の女神は女神にあるまじき憎悪の目で人間を睨んでいた。

「いい顔だ。美しい・・・」

 残酷で狂気に憑かれた言葉。まったく笑顔を崩さず螢一は言った。

「もっと美しく飾ってあげるよ」

 ゴーンッ・・・・ギガガガガガガッ。

 重い鋼鉄が動き出す駆動音。地の底から震える重低音がドームを振るわせた。時間がきたのだ。

 支柱が僅かばかり震え女神達を吊るしたまま浮上し始めた。螢一が小さくなって行く。

 歯車がカタカタと乾いた音をたてる。ドームが振動でビリビリと揺れる。首輪から伸びる鎖が地下にあるドラムに巻き伸ばされてガチャガチャと音を上げる。

 三人は頭上のドームの天井。支柱の先端に視線を向けた。

「ああっ・・・」

「ばか〜ちょっと冗談じゃないわ。ここからおろしてよぉ〜」

 ウルドは無言で息を呑んだ。二人の妹達はそれぞれの反応で叫んだ。

 三人はクネクネと足を動かして抵抗を試みた。両手は皮袋でまかれ上から鋼線入りの革ベルトでしっかりと支柱に固定されている。足はお互いの足首同士でやっぱり鋼線入りの革ベルトで結ばれている。足を激しく動かせば残った姉妹の秘部を大きく晒すことになってしまう。思うように暴れられなかった。

「うそ。やめてよ。こんなのイヤァ〜」

 末妹のスクルドが恐怖に負けて太股を締めた。それは二人の姉を大きく引っ張ることになった。

「ちょっとスクルド!!」

「いやっ・・・そんな」

 二人の姉は苦しげに叫んだ。二人の股は大きく開かれている。

「・・ごめんなさいおねぇさま・・・それにウルド・・・」

 スクルドは慌てて謝った。だが、足を開かなければ二人の姉を救うことはできない。それは自ら足を開いて秘部をさらすことと同義だった。

 謝ったもものスクルドは恥かしくて自分から足を開くことは出来なかった。

「ごめんなさい。ごめんなさい・・・恥かしくて・・・恥かしくて出来ないの・・・」

 普段、小生意気なスクルドとは思えない。素直で弱い所を見せた。

「スクルドにはちょっとつらいかも・・・・・・・・・・・いいのよスクルド・・・」

「しょうがないわねぇ」

 支柱に固定されているから二人の姉の表情は伺えない。姉たちの優しさが身にしみた。

「ううっ・・・」

 スクルドの足から力が抜けた。

 二本づつ結ばれた三本の美脚が重力にそって垂れた。

 スクルドは逃れられない恥辱を受け入れた。

 支柱はなおもゆっくりゆっくりと時間をかけて上昇を続けていた。支柱の先には黄金色のシリンダーが三人の肛門に狙いをすまして待機しているのだ。三本の大きく太いシリンダーには、チューブが伸びて更に上の水槽に繋がっていた。三人の女神は予想していながら自らの運命に改めて恐怖を覚えた。

 これが浣腸器であるのをウルドは知っていた。二人の妹達は、自らの格好と機械のしくみでこれが何に使われる機械かは悟っていた。

 上昇が止まる。駆動音が一端止まって、新しい機械音が続いた。電動モーターの音。

 シリンダーの中のピストンが三つ同時に上がった。そこからチューブに空気が入って水槽から液体をシリンダーに収めていく。

 三人は尻を振ってなんとか逃れようと前後左右に動かした。お腹の上を革ベルトでしっかり固定されては、他の場所はともかく肝心の腰は動くはずも無かった。無駄と知りつつも腰を振り続けた。

 シリンダーの筒内に液体が満たされていく。それは拷問器具の準備であった。浣腸と言う医療行為を拷問にまで昇華した機械なのだ。

 いよいよシリンダーが菊穴を目指して下降を始めた。

 恐怖で目を見開いてそれぞれのシリンダーの先端を見つめた。天井に突き上げた尻の中央。先端はいよいよ深く突き立てようとしていた。先端は漏斗状にとがった形をしている。最大の特徴は、漏斗とシリンダーの間がくびれて細くなっている所だ。これは『栓』の代わり、アナルストッパーとして活用される仕組みだからだ。漏斗の最大直径は四十五o。未経験の三人は裂けてしまうぐらいの太さだった。

 メリメリメリメリメリメリメリメリ・・・・。

 音が聞こえるように菊穴の皮を押し入って先端が肛門に入っていく。冷たい感触が女神達の肛門と精神を汚す。

「がぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 ドリルで尻穴から掘られるような感触。あまりの苦痛に全身を跳ねて耐えた。耐えるしかない逃げることなど出来ないのだから。不浄な排出器官を刺し貫かれるおぞましさに全身に鳥肌がたった。三人は身体を震わせ、足をクネクネと動かして逃れようとする。

 誰かが足を閉じれば残りの二人の秘所が全開になる。羞恥に身を焦がし、姉妹の情愛がより深くシリンダーを深く入れていく。もっとも機械の前では誰一人助かる結果になるまいが。暴れ震えるお腹にベルトが食い込んで締めつける。

 無情にもシリンダーの先端が最太部を通過した。その後は直角にくびれた先端はあっさりと根元まで許してしまう。先端のつくりは特殊で一方通行に水流を制御している。尻穴から抜くまで胎内に入った液体は逆流することは無い。三角の漏斗状の楔を打ち突かれたようなものだ。

 だが、責めは始まってもいないのだ。

 肛門が押し広げられた汚辱感に三人はうめき声を漏らす。二人の姉は声を絞って絶える。ただ一人、幼いスクルドは悲鳴を上げて哀願する。

「痛い、痛いよ。抜いて・・・・お尻が裂けちゃう。ああ・・ひぃ・・・・」

 括約筋は自然と締まるしくみの筋肉だ。極太の異物を加えた肉の蕾は吐き出そうと必死に収縮していた。硬い異物は肉壁を押し広げるように鎮座して三人の女神に苦痛を与え続けた。肛門から全身を押し広げられる未知の感覚に三人は悩ましげに声を荒げるのがやっとだった。

 いよいよシリンダーのピストンが沈み始めた。地獄の責め苦の始まりである。

「ああっ!! おふぃ!!」

「うぐぁ」

「何!! 冷たい・・・何か入ってくる・・・いや。バカ〜抜いてよ。ちょっと抜いて〜」

 腸壁の粘膜に冷たい液体が満ちていくのがわかった。思わず三人の口から声が漏れた。

 シリンダーの筒内の容量は500ml・・・。

 あっさり、ピストンが完全に下まで降りて液体の浸入が止まり、苦痛が一段落した。初めての浣腸に三人はあぶら汗を浮かべて上気した身体が息を整えるために前後に浮き沈みする。

 相変わらず極太漏斗は三人の尻穴を圧迫して押し広げていた。お腹の中の液体がグルグルと音を立て始める前の一瞬の静けさ・・・。

 再び電動音。ピストンが上昇して筒内が空になっていく。そこにチューブを伝って新しい液体が満たされていく責めは終わってなどいなかった。

 安堵したのもつかの間、責め苦は無情にも続けられる。もしかしたらこのまま殺されるかもしれない・・・。いやな想像が脳裏を掠める。

「ちょっと・・・終わりじゃないの!!」

 ウルドの声が悲鳴同然に上がった。螢一は答えない。その間にもシリンダーの筒内に液体は満たされていく。

 支柱の頂部に備えてある水槽の容量は一五リットル・・・・。一人五リットル、全部で十回の浣腸責めを受けなければならなかった。

 螢一は親切に教えられことも無く、無慈悲に黙ってみていた。

 二回目のピストン運動。新たな液体が三人の女神の胎内を満たしていく。

 今度は黙って耐えることなど出来ない。悲鳴が三人の口からこぼれた。腸内に満ちる液体が下腹部を圧迫する。例えようも無い内部から汚されていく感触。それは女神達にアナルの感触を楽しんでもらおうとの悪意が込められていた。

「ひぃっ・・・ううっ・・・ぐふぅ・・そんな・・・入ってくる・・・」

「あふぅ・・・あふぅ・・・あふぅ・・・・あふぅ・・・うぐっ・・・ああぁぁ」

「いや・・・もうお腹が痛いよ! 許して許して!!」

 三人の精神が徐々に抵抗力を失われていた。悲鳴を用意に上げるようになって、スクルドに至っては既に屈服していた。アナルから内部を汚し背徳の味を覚えさせる。神の定めた禁忌を破らせようというのだ。

 二回目の浣腸責めが終わって、三度目の準備にピストンが上がる。絶望感に支配される。二人の姉は身体の大きさや精神力の強さでまだ余裕があった。だが、スクルドは二回の浣腸責めで限界を迎えつつあった。一番小さく、脆弱な精神は二人の姉が傍にいなければとっくに屈服していたのに違いなかった。

 三度目の責め苦が始まった。

 シリンダーから肛門を通って腸内に機械的に注入される。この時、スクルドの腹部が燃えるような激痛を覚えた。

「ああっ・・・いだい・・・いだい・・・おでいざま・・お腹が、お腹が壊れぢゃうよぉぉ」

 スクルドが目に涙を浮かべ滅茶苦茶に暴れだした。その振動は足首で繋がっている二人の姉にも伝わった。

「・・・コラッ・・・スクルド・・・暴れないでよ」

 苦痛に顔を歪めながら下の妹にウルドはいった。

「どうしたのスクルド?」

 か細い声だが、心配そうにベルダンディが妹に聞いた。どうすることも出来なくても聞かずにはおれなかった。

「お腹が・・・いだいよ・・いだい・・・いだいよ」

 激痛の正体は腸内に注入されている液体にあった。液体は薬用のグリセリン溶液に炭酸水で割った強烈な物だった。身体の小さいスクルドから腸内の圧力が上昇して炭酸ガスを発生させ腹部を更に圧迫させているのだ。

 腸内を暴れまわる液体は自ら体積を増して腸壁を焼き掻き毟り始めて、炭酸ガスの刺激とグリセリンの垂下作用が便意となって下腹部を刺激している。その暴虐な仕打ちに二人の姉も直に襲われることになる。

 下腹部がこんもりと小山を作って膨らんできた。薄皮一枚下に浣腸液が暴れているとは思えないこんもりとしたマシュマロような質感を作っていた。

 スクルドに続き、二人の姉にも浣腸液の想像を絶する苦痛に襲われる。

「あぎっ!!  何・・・うそ・・・ちょっと・・あが・・あが・あぎぎぎぎぃ」

「ううっ・・・ああ!!」

 拘束され満足に動けない身体を狂ったように、三人は暴れまわった。まるで壊れた玩具のように。涎を飲み込むことも適わず服を汚す。ビッチリ閉じた肛門からは僅かなばかりの浣腸液が漏れるが注入される量の方が圧倒的に多い。漏れて浣腸液は身体を伝って全身を這い回る。汗と浣腸液が服を湿らせ肌に纏わりつく。そんな不快感を感じる間もなく浣腸器のシリンダーは次々と新たな浣腸液を腸内に注入する。

 顔は涎と涙に汚れ、暴れまわる身体に鋼線入りの皮ベルトが腹に食い込んでいく。それが更なる苦痛を生むのだ。

 それでも楽なポジションを探すために足を使って腹筋を絞っても、同じように考えた姉妹達に股を広げられ、三人は足の位置を巡って骨肉の争いをするように足をばたつかせるのであった。

 一糸纏わない女性が股を広げ開け閉めする様は卑猥で淫靡だった。その光景は螢一の目を楽しませた。

「踊れ踊れ・・・・」

 足の爪先を伸ばせば左右どちらかの姉妹に引っ張られ足を全開にする。足が伸びれば腹筋と括約筋が緩みさらにベルトが食い込む・・。地獄絵図だった。もはや相手を思いやる暇も無く責め苦は続けられた。

「うぎぃぃぃぃぃ・・・ああ・・・やめて・・・もう入らない・・・」

「苦しい・・・・許して・・・許して・・・」

「あぶぅぶぅぶぅ」

 既にスクルドの意識は飛んで口から泡を吐いていた。下腹部の嵐のような刺激が意識を闇に沈ませないで覚醒させていた。ただ痛みに耐えるだけの意識・・・。

 外聞を捨てて、三人は哀願と悲鳴を繰り返して上げた。

 ピストンは九回目の補給に入っていた・・・。

 腹は臨月の妊婦のように膨れ上がり、一本の革ベルトが腹部の肉に沈んで内容物を逆流させようと締めつけていた。シリンダーの先端である漏斗状のアナルストッパーはみっちりと塞いで開放の時を妨げていた。

 これでも注入は後二回も残っていた。悲惨なのはその事実を知らないのだ。いや知っていても絶望に打ちひしがれたかもしれない。そもそも数の概念が今の彼女達に理解できるだろうか?

 九回目の注入が始まった。

 殺される・・・・・そう思った・・・・いや、いっそ殺して欲しいとも願ったかもしれない。だろう。

 下腹部はパンパンと膨らんで赤黒く変色しはじめた。血管が浮き出てメロンの筋のように三人の腹を彩っていた。革ベルトの下は皮膚が裂けている

 幼いスクルドが妊婦のように膨らました腹はグロテスクで背徳の味がした。それは他の二人の姉達も同じであろう。清楚な女性が肉の塊へと変態していく様は冒瀆ともいえた。それこそが螢一の中にいる者の目的なのだから。

 意識が混濁したなか最後の一回が緩やかに注入された。

 もはや、入ってくる感覚も無く。ただ飛んでいく意識と苦痛によっての覚醒を繰り返し、口から泡をはいて蠢く肉隗と化していた。

 とうとう、ピストンが最後まで押し切られた。シリンダーは腸圧によって今にも弾き飛びそうになっていた。限界を超えた浣腸。三つの肉袋となって赤黒いメロンが支柱の上で並んでいた。足は爪先までピクピクと痙攣してだらしなく垂れて、呼吸すら圧迫する腹で肺をつぶされ満足には出来ないでいた。

 支柱が下に降りて、シリンダーが上昇を始める。

 尻穴に挿入された時の状況が違う。いまや排出の為に括約筋はギチギチに絞まり、内部からの圧力は出口、もっとも圧力の弱いところへ押し入ろうとしていた。もっとも機械にそんな事情など解かるわけも無い。最初と同じようにゆっくりとしたスピードで離れていく。

 ミチッミチッミチッミチッミチッミチミチッミチッ

 肉がもりあがる音。肛門の皮が裏返っているのだ。しっかりと固定されたアナルストッパーは腸ごと引っこ抜くかのように強引に引っ張っているのだ。この激痛に三人の女神は混濁した意識を現実に戻す。

「あぎっ・・・ああぐぅ」

「ひあっ・・・やめっ」

「あ・・・あぅ・・あうぅ」

 もはや意味のある言葉を口にできる体力は残していなかった。手を拘束されているのわからずに、肩を揺すってシリンダーを掴もうとしている。

 ギリ・・・・ギリ・・・・ギリ・・・

 二つの位置が徐々に離れていく。肛門は脱肛してシリンダーの先端を離さない。

 グポンッ!

 渇いた・・・ラムネの瓶が抜けるような音。

 ブリブリブリ! ブブブブブブブブブブブブブッ!! ブリュウゥ!! ブ、ブブ、ジュジュゥゥゥゥビジュブジュブジュジュジュゥブジュ〜〜!! ブリブリブリブリバババリリリリッリッ!! ビチャビチビチビチビチャビチ……!!  ブリュウンブリュウンブババ! ブシュブシュブシュ!! ブリブリブリッッブリブリブリッッ!! ビチビチビチビチブババババババリンリンバババン!!

 黄金色の汚物が一直線に天井に向かって弾けた。すぐさま同色の液体と細かな軟物が放物線を上げて飛び散った。腹皮を破裂寸前まで高まっていた圧力が壮絶な勢いを生んだのだ。

 クリスタルドームの内部を三本の黄金色の噴水が噴出した。内部では破裂音がまだ続いている。どろどろに溶けている内容物は天井を染め上げると重力にしたがって女神達の全身を汚す。排出物が狭いドームの全てを黄金色に染めていくのだ。コーヒーメーカーがガラスの中でコーヒーを躍らせるように。

 クソまみれに全身を汚している中で、三人の女神は恍惚の表情を浮かべ開放感に浸っていた。下腹部の圧迫感が一瞬で開放に変わる様は例え天上に住まう女神といえども抑制することなどできない。

 まさに浣腸責めによって気が狂う寸前に極上の開放感を味わったのだ。その前にクソまみれになっている現実など、それこそ現実感が無かった。三人は成すがまま、排出を続けながら失神してしまった。

 排出は自重が食い込んだ革ベルト圧力でまだ続けられている。およそ三十秒間の幻想的、そうある意味とても幻想的な噴水ショーの幕は降りた。

 尻穴はぶくぶくと泡をたててグパグパと淫らに蠢いていた。時々思い出したように褐色の汁が吹き上がっている。

 天上からはポタポタとクソ汁が雨のように女神達の身体を汚している。

「ああぅ・・・ああ」

「ひはっ・・・・ひぃ・・・」

「あっ・・・ああっ」

 三人とも白目を剥いて恍惚の表情を浮かべている。だらしなく開いた口には自らの茶褐色汁が入っていくのであった。

「これが地獄の日付変更を知らせる時報・・・。どうだい地獄流っていうのは楽しいだろう。女神のそんな白痴のような顔が見られるのはここだけだろう。毎日、時を刻んで遅れ美しい女神様・・・もっとも後どのくらい自意識を持っていられるか知らんがね」

 螢一の姿をした別者は部屋を後にした。もはや、この部屋に誰かくることは当分ないだろう。

 ここは地獄だ。これでは終われない。ここは地獄だからだ。

 

 

 鋼鉄の首枷から伸びる鎖の先は、ドームの地下でドラムに巻き取られている。支柱の上下で自動的に回転して鎖の長さを調節しているのだ。地下にあるのは機械だけではない。『そいつら』は哺乳類の汚物のニオイに敏感に反応する。汚物がエサだからだ。

 ドームの中は女神達が排出したクソで一杯になっている。奴等の活動は活発になる。

 鎖が伸びる地下の入口から、真っ黒なピンポン玉が這い出てきた。その数は見る見ると増加し床面に広がって女神達の排出物を体内に取り込み始めた。ゴキブリのような黒い光沢をもった体皮。触ってみればブヨブヨとナメクジように柔らかい触感。体からは蜘蛛のように八本の足が触手ように伸びている。色の悪い目や耳すら持っていない。ただ哺乳類に寄生してクソを食らうだけの生き物。

 八本の足は触手のように不気味に動いて飛び散ったクソを拾って口に運ぶ。その間、クソ汁をススリながらクソを求めて歩くのだ。

 比較的、意識があったウルドの意識が戻った。様々な薬物に触れている彼女は精神対抗が一番強かった。

「うっ・・・・いやぁ」

 目が覚めると同時に飛び込んだのだドーム中に散乱して蠢く蟲達だった。ウルドも知らない蟲。もっとも彼女は植物性の薬物専門で動物の種類は詳しくない。動物性の材料は手に入れるときは既に加工してある場合が多いからだ。

 ようするに女性は総じて蟲が嫌いであるということだ。

 銀髪の美女は目を見開いて絶叫した。彼女にしては珍しく悲鳴に近い声。

「いやぁ・・・こないで・・・触らないで・・・あっちに行ってよ」

 蟲に言葉が通じるはずも無い。蟲達はウルドの悲鳴に答えないで食事を続ける。

 姉の悲鳴と動きで二人の意識が戻り始めた。そうなれば強烈な臭気で目が覚めないわけにはいかない。逆さ吊りになって意識を失っていたのだ。頭に血がのぼって眩暈がした。

「ひっ!!」

「うっそ!  何これイヤ〜もうイヤよこんなのこと終わりにしてよ! お姉さま助けて助けてぇ〜」

 ベルダンディは眼下に不気味な蟲が蠢いているのに気づいた。直に何をしているのかわかった。食事をしているのだ。スクルドは現実を受け入れることは出来なかった。ただすがるように姉の助けを連呼した。

「スクルド・・・もう・・・あんたって娘は・・・」

 ウルドも自分の鼓動が早くなっているのがわかった。それこそ浣腸責めに受けたショックよりも下にいる蟲の動きの方が気になった。

 ベルダンディは恐怖で声もでない。

 誰もここから逃げられない。

「スクルド・・・・スクルド・・・お願い、あたしの声を聞いて、落ち着いてスクルド」

 ウルドは銀髪を震わせて絶叫する。

「助けて・・・助けて・・・おねえさま・・・助けて・・・助けて・・・おねえさま・・・助けて・・・助けて・・・おねえさま」

 壊れたレコーダーのように同じフレーズを繰り返す。

「スクルド!!」

 意思を込めた力強い言葉。

「ベルダンディ! あんたも呆けてないで!」

 ウルドが叫んでも二人の妹は返事もしないでそれぞれの思考に没頭したままだ。

 蟲はいよいよドームの床やクリスタル部分のクソを食べ尽くしてしまった。いよいよ支柱に登って女神達の全身にこびりついた物を戴こうと蟲を登ってきた。

「ああっ〜あわあわ〜」

 蟲達は卵を牝の腸内植え付ける生態を持っていた。だから、最後まで彼女達の傍に寄らなかったのだ。ピンポン玉くらいの蟲達の中にソフトボールぐらいの蟲がいた。これが群れのボスで牝である。群れはボスを中心にそれぞれの女神に向かって移動を開始した。

「来るな!  来るんじゃない!!」

「いや・・・来ないで・・来ないで下さい」

「来ないで、来ないで」

 背中から全身に広がるように蟲達は女神の肉体に群がった。服の間から入って直接肌の上を這いまわらせる感触に気が狂いそうになった。

「ううっ!!」

 少しでも体を反らして抵抗を試みながら悲鳴を上げた。それでも既に全身が蟲で覆われている今では効果は薄い。服の下では乳房に群がった蟲がウルドの抵抗を楽しむかのように甘噛みしている。

「ああうっ」

 ウルドの口から場違いな甘い牝の声が聞こえる。それは下等な蟲ごときに感じさせられた屈辱の声だった。大きく開かれた股間にも蟲達は容赦なく、群がってきた。蟲達は牝が暴れないように強力な催淫作用のある体液の分泌を始めた。女芯がひくついたのを自覚した。

 女神が感じることなの無い肉の悦び。身体が疼く。視線が股間に集中して何も考えられなくなった。

「あふぅ〜ああん」

 淫乱なヨガリ牝声に隣にいたベルダンディとスクルドは思わず赤面した。それほど天上では縁の無い歓喜の声だった。ソフトボールの身体から親指ほどの触手が伸びてウルドの肉突起を弄り始めた。

 快楽中枢を刺激された肉欲をダイレクトに貪りつくそうとしているのだ。

 銀髪の美女の理性は振り絞って抵抗する。

「ふあん・・あんああん」

 息を殺しても声はどうしても漏れてしまう。蟲は反応の鈍いウルドに更に愛撫のような刺激を加える。触手の先端に更にざらついた剛毛のような繊毛が生えて肉突起に吸い付き引掻き、掻き毟った。

「おう・・・あんああぁ・・ひう・・・あん」

 ついにウルドの肉の裂け目から淫液が漏れた。それを感じた蟲はウルドの二つの穴に触手を挿入させた。もちろん肉突起への愛撫は続けられる。初めて異物を前の穴に入れることにとろけそうな快楽を感じていた。

 滑りの良くなった穴はリズムカルに出し入れを繰り返して女の穴を弄っている。蟲は楽しいと感じているわけではない。こうすれば牝が喜ぶと本能で知っているのだ。

「はん、はん、んふ、ははん」

 ウルドの呼吸に合わせて蟲の触手は奥へ奥へと突き進んでいく。直接子宮をえぐってやろうとゆうのだ。既にウルドの股間は淫液と腸汁でベトベトに汚れていた。二つの穴を交互に深く刺し貫かれる快楽に酔っていた。

 ソフトボールは寄生するためにウルドの肛門を目指して動き出した。充分にほぐれた肉穴の中に入るために蟲は身を窄ませて入っていく。

 じゅぷぷぷぷぷぷぷ。

 卑猥な肉音を立てながらウルドの尻穴の中に牝は入り込んでしまった。

「ああうん・・あう・・あう・・ああん」

 蟲が強引に肉を広げて強引に押し広げて腸の奥へと進んでいく。

 このウルドの声を聞いて二人の妹の秘部はうっすらと濡れていた。蟲達の群れには序列があって上位の群れが寄生に成功するまで下位の群れは待っているのだ。これは失敗した時。上位の群れが下位の群れを襲うためだ。その為。下位の群れは上位の群れが落ち着くまで静観している。

 蟲の強引な動きにウルドは悶絶して喘いでいた。

 蟲はウルドの胎内を気に入ったらしい。動きを止めた。

「はぁ・・はぁ・・・」

 ウルドの吐く息は既に淫らなものと変わっていた。

 群れの牡達は牝が寄生した固体を精神誠意労わる。牡の体液は強力な傷薬でウルドの傷を治していく。そして汚れた身体を丁寧に掃除する。

 ここに一匹の牝奴隷が誕生した。

 これからは螢一が求めれば胎内の牝がウルドを刺激して肉欲を過敏にする。そして、責めを受けても牡が治療してしまう。恐ろしいのは即死以外なら千切れ飛んだ四肢すら繋げてしまうのだ。牝の宿主を殺さないことは牡の本能だった。

 魔界の奴隷製法に三女神は施されてしまったのだ。

 胎内の牝蟲に淫虐を刺激され、過酷な責めは牡蟲が治す。いずれ心から奴隷になるだろう。

 ウルドは自分の運命を悟って妹達に勝ち誇った顔を見せた。

 

 肉欲の宴は始まったばかりだ・・・。


解説

 DDDに投稿したものをそのまま流用。誤字少し直した。

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