「なに、これ」
表現方法
「黒ごませんべい」
「見たらわかります。じゃなくて、」
ダンボールに山積みにされたせんべいの山。
山。
「別に俺が好きって言ったわけじゃないよ?ぐっさんが、さぁ」
ああ。
そういや、あの人堺さんのモノマネをする時、やたらにせんべいを連発してたっけ。
『黒ごませんべいおいし!』とか…。
「ファンの子とか色んな人からもいっぱいもらっちゃって」
いや、そりゃもらえて良かったねって感じだけど。
だからって。
「ってゆーか堺さん。ここ俺んちなわけじゃん」
そう。
いくら俺の家に彼が入り浸っているからって、こんなもん置かれちゃ部屋のインテリアが崩れるんだけど。
ファッションにうるさい俺は、当然自分の部屋のデザインにだってこだわっているつもりだ。
こんなお洒落の欠片も無いダンボールをリビングのど真ん中に置かれるなんて。
堺さんじゃなきゃ、置いた奴をダンボールもろとも即家から閉め出してやるところだ。
彼は、見つけるのに苦労した黒のイタリア製のソファに一人でくつろぎながら、仕事から帰ってきた俺を
優雅に迎えてくれた。
堺さんが待っててくれるのは嬉しい。
けど黒ごませんべいは俺を待たなくていい。
ちゃんと、持って帰ってもらうよう断ろう。
と、口を開きかけたら。
「オダギリ君ちと違って俺の部屋狭いから入りきらなくて。しばらく置かしてもらってもいい?」
言わなければ。
言わなければ。
「…いいけど」
駄目だった。
見上げるように首を傾げて頼む彼に、誰が嫌と言えようか。
「良かった〜。持って帰れとか言われたらどうしようかと思った」
嬉しそうに表情を緩めてふにゃりと笑う。
「俺の部屋、これ以外のもらった黒ごませんべいが置いてあるんだけど、もう足の踏み場も無いんだよね。
あと残ってる場所って言ったらベッドくらいなもんだよ。オダギリ君ちに置いてもらえなかったら、俺寝る場所
無くなるとこだったわー」
そして、一生懸命俺に説明してくれる口許が可愛い。
薄く形のいい唇がいろんな言葉を演出して、見ていて飽きない。
彼が出す声音といい、口調といい全部が可愛い。
堺さんが黒ごませんべいについて延々と語っている内容を聞いていると言うよりは、堺さんの口から
発する声音を聞いていると言っていい。
だから俺にとって彼がしゃべる内容なら別に黒ごませんべいでも黒ごまプリンでもどっちでも言い訳だ。
もともと堺さんはどうでもいいことを理論的に細かい事まで考えてしまう傾向があるらしく、
言ってみれば少々理屈っぽい。
まあそんなとこも可愛いし、好きと言えば好きだけど。
逆に俺はあんまり自分の考えたことをしゃべるのは好きじゃない。
いや、苦手な方かもしれない。
表現することは好きだけど、むしろ感覚で、言葉以外の方法で表したいから。
帽子も取らないで微妙な距離から堺さんと向き合ったまま動かないので、向こうもさすがに
変に思って喋るのを止めた。
「オダギリ君?」
どうしたんだ、と彼の顔に出る。
動かなかった体をようやく解いて、無意識のまま堺さんに近付く。
「わっ…!」
俺のお気に入り。
大の男が二人で乗っても余裕のあるでかいソファー。
座っていた雅人さんを押し倒す。
そのまま顔中にキスの雨を降らす。
「ひァッ!ちょ、ッ!オ、ダギリ君…!」
彼の服の中に手を突っ込みながら可愛い唇にもキスをしてやる。
「ンんッ、ふぅ…」
「雅人さんの唇、ごまの味する」
そう云ってくつくつと笑いながら、彼の下唇をペロリと舐めた。
「さ、っき食べてた…んだ、から、ァん、当たりま、え…だろ、!」
涙目になって俺の下で喘がされている。
ビンカンハダで、人一倍快楽に弱い。
可愛い
可愛い
俺の、雅人さん。
今の自分が表現したいこと。
雅人さんとシたい。
だからそれをいつも行動で示す。
それがオダギリ流だ。
END
意味わかんないー!
オダジョがどんなひとなのか、emaは知りません!
なので想像です(当たり前)
エロに入ると堺さん→雅人さんに変わります(裏設定より)