皺になりかけていたワンピースを脱がせると、コレットの言うとおりそれをベッドのへッドフットにかけた。
 下着も全部抜き取って、残ったのは金具の外れかけたガーターベルトとストッキング。それも取ろうと思ったが、コレットが今更恥ずかしそうに両腕で体を隠すので止めておいた。
 何より、コレットに触れたいという欲求の方が大きくなっていたのだし。
「コレット」
「う、うん。ロイ……」
 名前が呼ばれる途中で口を塞ぐ。絡ませた舌はやっぱり熱くて、こちらの思考が埋もれそうになるのを防いでくれた。
 唇は次に首筋へと移動させた。俺のプレゼントはあれからずっとここに収まっていて、今後もそのままなのだろう。
 そう思うと胸が熱くなり、ペンダントの鎖を少し退けて首筋を強めに吸った。
「んっ……」
 鎖の位置を元に戻すと、小さな朱い痕が一応隠れた。よく見れば判別できるそれを、いつもの服の襟元から見える位置に付けたのは、ひどいことをした俺の最後の我侭だ。
 あとは服に隠されるところへいくつか朱を残し、脇腹のラインを指で綴りながら体を下へとずらす。
「ぁ、ロイド、あま……り、見ない、で」
 じっと見ていたつもりはなかったのだが、コレットにとってはそうではなかったらしい。隠そうとする手を握ってその場に留め置くと、そっと舌で触れる。
「ひゃっ! ぁん、やぁ……あ、っは、あ」
 既に水気を帯びたそこへ自分の唾液を塗りたくるように、執拗に舐め続ける。
 いつしかコレットの両手が力なく押し返してきていて、でも俺は途中まで気が付けなかった。
 行為に没頭しかけていたというのもあるけれど、コレットの手はぐったりとしていて、圧力というものを感じさせなかった。
 そして何より、それは嫌悪感を伝えるものではなかった。だから、もう止めたりしない。
 内から滲み出る熱を頼りに、舌先をすぼめて奥を探る。
「あ、や、ろい……っ、だめ、ぇっ……」
 駄目と言われても、溢れてくる蜜があまりに多すぎてそこから離れられない。全てを舐め取るのはもう無理で、シーツに零れて痕を残している。
 俺は侵食範囲を広げ、少し上にある膨らみに気付いた。
 じわじわと刺激するうち、今までと比べ最も敏感に返って来る反応につられて――指を割り込ませて擦りあげた。
「やっあ、っひぅ……!」
 弱く痙攣したコレットはくたりと、ベッドに沈み込む。



 荒い呼吸を繰り返すコレットを無性に抱きしめたくなって、半身を起こさせてそっと抱き寄せた。
「ぁ……」
 頭をぽんぽんと叩く。さらさらの金髪に手を通してゆるく梳いていく。腰とお尻の中ほどを撫でる。
 ぴくんと反応する顔を間近で見ていると頭に血が上って、でも必死で押し留めた。
「……ロイド」
 潤んだ上目遣いを受け止めて、俺は頷いた。
 ちゃんと言葉で確認をしなかったのは、そうしなくても意味がわかったのと何より、俺に余裕がなかったからだ。
 俺はコレットの細い腰に両手をあてると、よいしょと上に持ち上げ、足の上へと乗せる。
「えっ、ロイド、あの……」
「このまま、できるか?」
 例え「天然メイデン」であろうとも、状況と短い言葉の中から意味を察したらしい。
 コレットは顔を真っ赤にしてちいさく頷いた。
「う……うん。やって、みる……」
 コレットの手が俺の両肩にかかる。俺の太ももの上を移動しぎりぎりまで近づいて、やがて意を決したように体を持ち上げた。俺は腰に置きっぱなしの手で誘導する。
「っ……」
 ゆっくりとコレットの体が沈んでいく。ぬるりと熱いものに包まれて俺は歯を食いしばった。
「はぁっ、あ、あっ……や、これ、以上は……ぁっ」
 コレットがいやいやをするように首を振った。
 俺はやや上方にあるコレットの頭を引き寄せる。
 ぽろぽろ零れる涙を唇でついばみ頭を撫でてから、さり気なく細い両肩に手を置いて、俺は大きく突き上げた。
 コレットの体がもう一段階沈む。
「ひぁあっ……!」
 金髪が宙に舞う。勢いを殺せない俺はそれほど間隔を置かずコレットを揺さぶった。
 動けば動くほどに熱くなる。熱さから逃げようとしているのか、求めようとしているのかもわからない。
 ただ目の前にコレットが居て、普段からは想像もつかない艶めかしい表情も声も俺だけが知っていて、途切れ途切れに俺の名前を呼んでくれて、俺を求めてくれているのが伝わってきて。
 それだけで達しそうになりながら、コレットの体に手を這わす。
「っぁ、ひぅ、っあ……っは、ぁっ!」
 汗ばんだ白い肌は桃色だった。中でもひときわ濃い桃色を口に含むと、コレットの体が後ろに逸れようとする。
 強引に引き寄せてやると逆に、俺の頭にしがみついてきた。
 動けない俺は、目の前の桃色をこれでもかと舐った。小刻みの痙攣がそれに応え、行き着く先を暗示する。
 俺もコレットも、そのすぐ側まで来ていた。もう、後は一歩を踏み出すだけで。
「はぅ、あ……や、も、ロイド、ろい……――っ!!」
 先に踏み入れたコレットに続いて、俺も真っ白なそこに辿り着いた。



 目の下に残った涙の痕を、そっと唇で押さえる。
 俺の腕を枕にしたコレットは、ちいさな寝息をたてていた。この分だと朝には痺れているかもしれないが、この温もりを感じられるなら安いものだ。
(……それにしても)
 今日は際どい発言ばかりを聞かされた。
 コレットに自覚はないのだろうけど、あの服といい何といい、いつものコレットとはちょっと違っていた気がする。『普段とは違う雰囲気作り』とやらが功を成したということか。
(ってうわ思い出しちまったあああもう!)
 隣のコレットに振動が伝わらないよう、ちいさく頭を振った。
 しかし色々な情景とか甘い声とか衝撃の発言とかは消えることなく、ぐるぐると脳内を回り続けて。
 ……しばらくはコレットの顔をまともに見れないかもしれない。

 ともあれ、当初決めようとしていた明日の予定もようやく決まった。
 それに備えて寝ておかなくては。
 明日は久しぶりに、仕舞ったままのレアバードを使うことになるだろう。

(首洗って待ってろよ、ゼロス)





*****





 余談になるけれど。

 翌日、ミズホの里で捕獲したゼロスには、俺と、それとなく事情を察したしいなで壮大な仕置きを施すこととなった。
 その最中、離れて見ていたコレットが俺の名前を呼んだ。しいなに断ってからコレットの側へ戻る。
「はぁ、はぁ……どうした、コレット」
「……私も、やった方がいいのかな?」
 少し戸惑った風に聞いてくるコレットに、俺はきっぱりと言った。
「しなくていい。ていうか、しばらくゼロスには近づくな、絶対に。どうしてもって時は、俺も一緒に行く」
 一瞬ぽかんとした表情になったコレットは、
「うん。……ロイドが言うなら、そうするね」
 と、ほんのり頬を染めて、頷いてくれた。






 ロイコレでエロを書け→どう書けと→メイドとかでもいいよ→ちょっ、そんなロイコレでイロモノでいいのか(笑)→いいよ→わかった

 世間から半年ぐらい遅れて(GC版を)クリアした当時、そんなやりとりがあって書いたような気がします。
 イロモノでOKと言われたにしろ、色々やりすぎた気がしないでもない。って今更すぎですが。うん本当すいません……。

(2008/06/21 up)

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