「っぅあ……!」
 繋がったサユリは背中を逸らして衝撃を受け止めた。
 ひどい熱と窮屈さを伴ったそこは、単純明快な本能的感覚を、こちらの意志とは無関係に引きずり出してくれる。
 辛そうに呼吸を繰り返すサユリを前にしてそれは歓迎できるはずもなく、俺は歯を食いしばって耐えなければならなかった。
最奥まで辿り着いてから、まだ動いてもいない。
「サユ、リ」
「んっ……だい、じょうぶ……だから、カタナ……」
 サユリの頬を撫でてから、慎重にゆっくりと動き始める。苦しそうな息遣いは相変わらずだったが、声色は次第に甘さをまとわりつかせていく。
 それと共にクリアだったはずの思考もゆるく霞み、一つの結論を導き出した。
 ――時間をかけて慣れさせるくらいなら、さっさと苦痛を快楽へ変えてやればいい。
 俺は少しだけ開き直ってサユリを揺さぶりだした。
「あ、あっ、んぅ、あ……ふぁっ!!」
 細い腰を掴んで固定してぐじゅりと突き込む。サユリは何度も仰け反って、金髪を大きく揺らした。
 ふと、その目元を涙が濡らしているのに気付く。俺は華奢な腕を引っ張ると上体を起こさせた。
「ぇっ、あ……っひあ!」
 繋がり方が少しズレたせいでサユリが悲鳴をあげる。
 反射的により深く交わった態勢から逃れようとするのを強引に引き寄せて、濡れたまなじりに唇を這わせた。頬を伝った痕を舌でなぞり顎まで到達する。
 サユリの吐息が顔に当たり、そのまま唇を塞いだ。
「ん、んふ、ぁ、んく……」
 ぷは、と接合部を一つに戻し、俺は動きを激しくし始めた。サユリの反応も艶めかしさを増す。
「はぁっ、あ、はぁぁっ……!」
 サユリはどこもかしこも熱かった。
 薄桃に染まった肌も、拙くも自ら舌を絡ませてきた咥内も、ぎちぎちと音がしそうなほど締め付けてくるその中も。
「ぁはっ、あ、あう、ん……っあ」
 熱に浮かされた甘い声は俺の聴覚を支配し、思考の一切を止めにかかる。
 その小さな体が発する熱は、俺の全てを溶かそうとしている。おぼろげな限界を感じる中、俺はそんな錯覚を覚えた。
「あっ、やっ、カタ……ナぁっ!」
 先ほどから掴まれている肩にわずかに爪が食い込んだ。そこに痛みはなく代わりに快感が助長される。思わず強めに突き込むと、小さな手に力がこもった。
「く……」
 そうして無限ループさながらに追い立てられて、耐え切れないほどの快感が脳髄に響いた。
 同時に、腕の中の熱い体が大きく痙攣する。
「っ……タナ、カタナぁっ、や、ぁあああっ!」

 サユリの泣き叫ぶ顔を最後に、全てを解放した俺の視界が真っ白に染まった。





◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇






 ――ふと、気配を感じて目を開ける。

「おはよう、カタナ」

 聞き慣れた声。少し幼いのは気のせいか……いや。

「……ああ」

 愛らしい顔が、無愛想な猫とともにこちらを覗き込んでいる。ふふ、と嬉しそうに微笑むその顔は、夢の中で好きかと聞いてきたそれと重なった。
 そうだ、あれは夢だ。

「わらってたよ、ねながら」

 見られていたのか。
 いつもならソファに近寄ってきただけで気がついたものだが……確かに長い夢だった。

 体を仰向けにして無意識にサユリから視線を逸らしながら、俺は答える。

「夢を見た。……何年かぶりで」



 ――それはまるで、夢のような、夢。






 というわけで夢オチ@13話でした!(ざっぱーん)(何)

 毎度毎度サユリたんを喋らすのにどこまで漢字を使っていいかが悩みどころだったりするのですが(結局オールひらがながデフォ気味に……)
 今回はニイやんのご都合バンザイな「ずいぶんと大人になってた」夢なのでサユリたんも成長しちょるじゃろ、よって普通に漢字を使ってみました。……何か違和感が(笑)


 これは2003年の冬コミでひっそりコピ本で販売していたものですが、コピ本には激しく萌えな挿絵がついておりました。
 が、挿絵師さんの意向によりあれはもう日の目を見ない模様です。
 有難くも買っていただいた方は是非ほくほくしてください(笑)

(2004/06/12 up)

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