< 策士な貴方 -後編 >
「明日仕事なら、言ってくれればよかったのに…」
「んー。」
それならば今日アスランの家に行かなくても、別の日にすることも出来たのだ。
ムウさんの休暇が取れたときにでもゆっくりと。
でも、僕がアスランの家に行くのをすごく楽しみにしていたから、
きっと言い出せなかったのだろうなと、曖昧な返事を返すムウさんに申し訳なかった。
それに予定よりも大分遅くにアスランの家をでてきたから、
このままで行くと家に着くのは夜中の3時頃だろう。
少し帰るのが遅くなるけど、途中休憩をしようと言ったムウさんに僕は首を立てに振った。
楽しかったとはいえ、流石に僕でも疲労感が否めない。
行きも運転をしたムウさんはもっと疲れているだろう。
サービスエリアで軽くでも休憩なり睡眠を取れれば、残疲労が少なくなるかもしれない。
そう思って、立ち寄ったはずだった。
それなのに。
* * * *
「”こんなところだからこそ”って…なん、なんですかッ!?・・・ぁんっ・・」
「真夜中のサービスエリア…って言ったら決まってるだろ?」
「ァっ・・・何言って・・!!」
「まだわかんないのか?ほらあの車見てみろよ。」
そういってムウさんは斜め右に止まっているメタルブルーの車を指差した。
「…?」
夜だからはっきりとは見えないけれど、所々に立つ電灯の明かりで、その車内に人がいるのが見える。
うごめく影に、その2人が単に話をしているのではないということがわかってしまい思わず声を出してしまった。
「あ・・・」
重なる影の動きにあわせて、車もすこし揺れているような気がする。
まさか…そんな…・・・。
「な、キラ?」
「っ…でも・・」
「それにさ、あんなシアワセそうなお嬢チャン達を見たらさ。」
だから、キラ。と、暗闇でもわかるムウさんの端正な顔が近づいてくる。
唇が触れ、お互いの口内を行き来し、唾液を交換しあう。
僕だって…あの仲むつまじいアスラン達を見て思ったのだ。
僕たちだって、彼らに負けないくらいシアワセなのだということを見せ付けてやりたい。
戦争で失ったものは大きく、決して戻ることはないのだけれど、
今はそれ以上に幸せなものを得たのだと。
「アァ…っ・・・」
「いつもより感じてるんじゃないのか?キラ?」
「そん、なコト・・っ・・」
「だってもうこんなに濡れてるぜ?」
「っ!!」
言われなくても、自分の状況はわかっていた。
まだ胸しか触られていないのに、僕のソコは既に先走りで濡れている。
「縛られて感じちゃった?」
イジワルなムウさんを睨み返すも、「そんな目をして煽るなよ」と容易くかわされてしまう。
さっきまで穿いていたスラックスはいまやもう右の足元で固まっている。
ネクタイで縛られ自由の利かない両手。
オーブ国家敷地内に行くのだからと、今日は正装で出かけたのがアダとなった。
何時人に見られるかもわからない場所で、
車内という狭い空間で、縛られて。
次々と与えられる快感に身を捩ることすら満足に出来ない。
なんとか腕さえ自由になればと動かしては見たものの、
かなりきつく縛ってあるのか、解ける様子は全く無い。
それでも僕はネクタイを外そうと身体を動かす。
「アっ!・・む、ムウさんっ・・ぁッ・・・ア・・」
身体を動かしたのだけれど、それがちょうどムウさんに胸を突き出すような格好になってしまって。
ムウさんの長い髪が僕に触れ更に感じてしまう。
「このままだと挿れただけでイッちゃうな、キラ。」
そういってムウさんはダッシュボードからごそごそと何かを取り出した。
「?」
それは…小さな四角いもの。
どうして、そんなものがそんなところにっ。
その小さな袋を口でくわえ、片手でぴりと開けるその姿に、僕は不覚ながらも体が熱くなってしまう。
ムウさんは、僕のその淫らなソコにちゅとキスをすると器用に薄膜を被せた。
これでいつでもイっていいぞ、といやらしく僕の耳元へ囁きこまれ、僕の熱は上がる一方だ。
熱くて、疼いて。
でも自分ではどうすることもできなくて。
いつの間に入り込んだのか、僕の中を探るムウさんの指をきゅっと締め付けてしまう。
それを合図と取ったのか、ムウさんは僕の中から指を引き抜いた。
「あ・・・」
突然の喪失感に思わず声を上げてしまって、ムウさんがクスリと笑う。
「今すぐやるから。・・キラが着けてくれる?」
コレ、といって彼は小さな袋を僕の目の前にちらつかせた。
「っ・・!!」
それは恥ずかしくて、僕は思わず目をそらす。
そんな僕の態度に、ムウさんはそっか、と言って自分自身で着け始めた。
そのムウさんの少し寂しさを含んだ声に罪悪感を感じながらも、僕はこのむず痒さから逃れたくて
彼の名を呼ぶ。
「ムウさんっ・・・」
ギシギシと座席がゆれる。
さっき僕が見たように、きっとこの車も揺れているんだろうなと頭の奥底で思いながらも、
僕は動いてしまう腰を止められないでいた。
「キラ・・・っ・・」
「あ、あっ、あ。。ン・・・ムウ、さんっ・・あ・ア・・」
二人の熱が、狭い車内にこもっている。
すこし切なげなムウさんの息遣いが、いつもよりも近くに聴こえる気がして、
それが更に僕を刺激する。
もっと貴方に触れたくて。
でも縛られた腕ではそうすることが許されない。
「っ・・ム、ウさんっ・・・ァ・・手ッ・・ア・あっ・」
解いて、とまでは口にすることが出来なかったけれど、僕の意は伝わり
ネクタイが解かれた。
「跡、ついちゃったな・・ゴメン・・」
すこし赤くなってしまったその跡にムウさんはキスをした。
謝らないで。
もっと僕を縛っていて。
決してもう二度と貴方から離れないように。
僕も貴方を離しませんから。
長い髪のかかるムウさんの首にすがりつき、僕は更に腰を動かした。
貴方のリズムをこの身体に刻み込んで。
* * * *
結局家に着いたときには、空も白む頃だった。
でもムウさんは夜勤だから、一眠りできる。
と、そこまで思った時ふと頭に3日前のことが浮かんだ。
…そういえば確か今日は日勤だと言っていたはず。
それを夜勤に移動し、僕には黙っていた。
夜勤ならば、アスランの家に泊まっても充分間に合うが、
日勤ならば必ずその日のうちに家に帰らねばならないのだから、
夜遅くに車を走らせることは予想がつく。
しかも車にあんなものを用意しておいて。
こうなることは、既に彼の中では計画されていたのだ。
「やられた…」
策にはめられた、と隣に眠るムウさんを睨んだが、
その彼は既に寝息を立てていた。
悔しかったけれど、アスランとカガリの幸せぶりに免じて、
今日のところは許してあげよう。
そして僕もまた彼の胸に顔を埋め眠りについた。
end
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あきのさんちで開かれたフラキラチャットでの宿題、いかがでしたでしょうか?
お題が「車内」ということで。
…無理だよーっ(>д<;)ゝゝ
コレでご勘弁をm(_ _)m
ネオ様(長髪)にしようか、ムウさん(短髪)にしようか悩んだのですが、
実は今日デステニー第1話を見まして、その予告編でネオ様なムウさんがっ(≧∀≦)
一気に燃え上がり、即行長髪バージョンに致しました。長髪嫌いな方すみません。
…でも私も長髪は好きじゃないのですが、ムウさんならv
2004.10.17
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