***2:カガリと接触*** |
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292 名前: カガリ ◆ZkqUmrtiwA [sage] 投稿日: 03/07/15 01:54 ID:??? 大西洋連邦の領地にお忍びでCDを買いに行った。 ネットならオーブで手に入るのだが、限定盤はなかなかお目にかかれない。 人気のあるアーティストなら尚更だ。以前、ネットオークションで大枚はたいて 手に入れたら、お父様にひどくしかられてしまった。それからはこうして時々、 買い物に訪れている。勿論、お忍びとはえ、キサカが護衛といって来ていた。 正直、うっとおしい。 その上、「変装しろ」と言われ、無理やり流行の服というのを着せられた。 オーブの服とは違って、けばけばしくド派手で好きになれない。 サングラスと高いヒールのサンダルも、ただ歩き難いだけだ。 周囲の人間にも私の苛立ちが分かるのか、大股に歩く私をよけていく。 時々、訳の分からない事を言って私の肩に触れようとする男がいるが、無視 して避け、歩いた。 293 名前: カガリ ◆ZkqUmrtiwA [sage] 投稿日: 03/07/15 01:58 ID:??? ようやくCDショップに着いて、目的の物を必死で探すこと10分。 「あったあ!」と叫び、私が売り切れ間近のそのCDを手にしようとしたその瞬間。 「これこれ」と、横から手が伸びて、そのCDを持って行ってしまった。 背の高い、目つきの悪いその男は、「あ、それ・・・」と言いかけた私を、「ハン」 と鼻で笑って、その最後の1枚をレジへ行ってしまった。 私は呆然と立ちつくす。 絶対、この男はこのCDを買おうとしていたわけじゃない。 私が探していたのを見ていて、面白がって横取りしたんだ・・・。 しかし、ここで揉め事を起こすわけにはいかない。 私は泣きそうになるのぐっとを堪え、くるりと反転して歩いてきた方向へ同じ勢い で歩き出した・・・。 ・・・お父様、ごめんなさい。 また、ネットオークションで買ってしまいそうです。 (BOOK編とゲーム編は未定) 335 名前: シャニ ◆fp5l7xCBjQ [sage] 投稿日: 03/07/15 13:52 ID:??? それは、レストランに行った帰りのことだ。 前から欲しいCDがあったので、アズラエルに頼んでみた。 アズラエルも多少興味があったのか、HMVに寄ってくれることになった。 だが、オルガとクロトは全く興味を示さず、車の中に残るようだ。 やつらは本やゲームばっかりやってて、何がそんなに楽しいのだろうか? 少し不思議には思ったが、気にしないことにする。 俺は店内に入ると、アズラエルと別れて目的のCDを探し始めた。 ・・・無い。いくら探しても俺の欲しいCDが無い。 品揃えの悪い店だ! いや、もしかすると売り切れかもしれんな・・・。 仕方が無いから帰るか。・・・だが、それじゃあ来た意味が無い。 そのとき、前の方にいた、金髪の女が目にはいった。 そいつは目を凝らして、必死に何かを探しているようだ。 欲しいCDが無くてイライラしてた俺は、こいつでストレスを発散することに決めた。 続く 343 名前: シャニ ◆fp5l7xCBjQ [sage] 投稿日: 03/07/15 14:09 ID:??? 「あったあ!」突然金髪女が大声で叫んだ。 目当ての物を見つけたのだろう。 しかし、ガキじゃあるまいし何言ってんだ、コイツ。 女は目の前のCDに手を伸ばした。 スルッ。女が取ろうとしたCDを横から取った。 強化されている俺にはこのくらいは容易いことだ。 「あ、それ・・・」と女が言ったが俺は鼻で笑ってやり、レジに直行した フハハハ、愉快な気分だ。満足した俺は、買ったCDを見てみた。 「白夜 〜True Light〜」これが俺とこの曲の出会いだ。 俺はアズラエルと合流し、車に戻った。 車内の様子が少し変わってるような気がしたが、俺は気にせず今買ったCDを聞いた。 白夜か・・・良い曲だ。 その日の俺は疲れていたが、良い気分だった。 157 名前: カガリ ◆ZkqUmrtiwA [sage] 投稿日: 03/07/21 16:39 ID:??? 遅くなったが、投下するよ。 でも、オルガしばらくいないんだな・・・。 大西洋連邦の領地にお忍びで行くのは、久しぶりだった。 少し前にCDを買いに行った時は散々だった。目的のCDは買えない し、泣きそうになっているのをキサカに見られて怒られてしまうし。 勿論、今回もキサカが一緒だ。 しかし、私が目的のものを購入するため紀伊国屋に向かおうとすると 何故か、「吉野家で待っているから、一人で行ってきなさい」と言われ た。私はそんなキサカの背を不思議な気持ちで見送って、再び歩き 出した。 今回の目的は、「ドラゴンボール完全版」を16巻まで買うことだった。 出始めた時から欲しかったが、とうとうベジータが出てきて、もう我慢 が出来なくなった。ベジータは悪い奴だが、愛嬌のあるおでこと言動 が笑える面白い奴で、私のお気に入りのキャラクターだった。 私は1巻からベジータの表紙の16巻までを抱え、レジに並んだ。 レジでは背の高い金髪の男が何やら難しい本の注文をしているらし く、店員が何人か右往左往していた。 「・・・重いっ」 私は本の重みに耐え切れず、その男に割り込むような形でレジ台に 抱えていた本を置いた。男は露骨に嫌な顔をして、私を見下ろす。 「悪い、ちょっと・・・」重くて、と言おうとした時、男が「おおっと」とわざ とらしく言って、私が持ってきた本の山に寄りかかる。 「お、おい!」私は慌ててそれを止めようとしたが間に合わず、本は崩 れて床に散らばった。 「何するんだよ!」と私が叫ぶと、その男は私の言葉がまるで聞えない かのようにあさっての方向を見ている。一部始終を見ていた店員たちが 戸惑っていたようだったが、私に目には入らなかった。 158 名前: カガリ ◆ZkqUmrtiwA [sage] 投稿日: 03/07/21 16:43 ID:??? 「お前・・・拾えよ!」と私は言って男の腕を掴んだが、すぐに振り払わ れてしまった。後ろに並んでいたらしい年配の男性が、「こらこら、兄弟 喧嘩はいかんな」などという暴言を吐いたので、私はますます頭に血が 上った。「私はこんな奴とは無関係だ!」そう叫ぶと、今度はその後ろの 女性が「おやまあ、女の子?」などと言い出す。 ああ・・・もういやだ・・・。 「へぇ・・・」女という言葉にその男は反応し、まるで私を値踏みするように 下から上まで眺めてから、また目を逸らす。 それを見て、腹が立って悔しくて・・・涙が出てきた。こんなふうな屈辱を 受けても、我慢しなければならない。オーブが中立とはいえ、ここは敵 地も同然なのだから・・・。 その時だった。どうしたんだ、という声がした。キサカだった。 あまりに私が遅いので、様子を見に来たらしい。瞳いっぱいに涙を溜め ている私を見て、目を丸くしている。 私は「キサカ・・・」と、この現状を説明しようとしたが、キサカはそれを 遮って「分かりましたから、向こうで待っていて下さい」と、外に置いて あるベンチを指差して言った。 去り際、キサカが「すまなかったな」とあの男に言っているのが聞えた。 振り返って「私は悪くない!」と言いたかったけれど、それは堪えた。 その後どうなったか、私は知らない。キサカはドラゴンボール完全版16 巻を持ってやってくると、「早く行こう」と私を促し、そのまま大西洋連邦の 領地から出たのだった。 「ありがとう、キサカ・・・」船の中で私が礼を言うと、キサカは何も答えず、 その代わりに深い溜息をついたのだった。 177 名前: カガリ ◆ZkqUmrtiwA [sage] 投稿日: 03/07/23 23:34 ID:??? オルガまだだし、オチが物足りないので書き足し。 (カガリにとっちゃ、散々な日常だなこりゃ) 「な・・・なんだよ」口を尖らせて言うと、やっとキサカが口を開いた。 「そんなマンガなどではなくて、もう少しまともな本を読んで欲しいも のだ」 そんな事を言われてしまい、私はキサカにドラゴンボールの素晴らし さを説きたいところだったが、マンガには違いないので押し黙る。 「彼のような本を読んでくれとまでは言わないが・・・」 「彼?彼って・・・」 どうやらキサカは先刻の揉め事の後、あの陰険男が本を探していると 知って手伝ってやっていたらしい。キサカの説明で店員はその本の事 がやっと分かったらしく、程なく見つかったのだそうだ。あの男にも感謝 され、何度も礼を言われたとの事だった。 ・・・はっきり言って面白くない。 何だか私が悪者みたいじゃないか! 不機嫌そうな私を見て、キサカは「No Longer Human」と、その本の題を 口にしたらしかった。 「・・・なんだよ、それは!」 北大西洋連邦の言葉なんて知らない。 「知らないなら調べなさい」と、キサカが小型PCを取り出して渡してくる。 私はしぶしぶそれを受け取って開き、「のーろんがーひゅーまん」と言う と、それは音声入力されて解析された。 178 名前: カガリ ◆ZkqUmrtiwA [sage] 投稿日: 03/07/23 23:41 ID:??? 『No Longer Human』 『人間失格』 まさに・・・ 「あの男の事じゃないか!」 今日の出来事がリアルによみがえって来て私は怒りを再燃させた・・・が。 「カガリ」と、キサカの冷たい視線が突き刺さってくる。 その後オーブに着くまでの間、キサカの長ーいお説教が続いたのだった。 217 名前: オルガ ◆Xxb7bOruGA [sage] 投稿日: 03/07/24 20:29 ID:??? 俺はとある本屋へと出かけた。 太宰治の人間失格を買うためだ。自分で探すのも面倒なので店員に探させた。 が、見つからない。 「お前らここの店員だろうが。本の場所ぐらい把握しておけ!」 すると、向こうから少年が歩いてきた。赤い表紙の本を10冊、いや15冊ほど持っていた。 よく見ると漫画である。 (餓鬼かよ、こんなに漫画買って。) 重いのだろうか、こっちになだれ込むように漫画を置いた。些か苛立っていたので、 「おおっと」 と言いつつ、漫画の山に寄りかかる。少年は顔を真っ赤にした。 「何するんだよ!」 無視だ。心の中では嘲笑っていた。 「お前・・・拾えよ!」 少年が俺の腕をつかんだ。(うぜぇえな。)俺はその手を振り払った。 「こらこら、兄弟喧嘩はいかんな」 兄弟!?よくみるとその少年も金髪だった。髪の色だけで判断するのはやめてほしいな。 「私はこんな奴とは無関係だ!」 いちいちうるせぇえ餓鬼だ。女みたいにキイキイ喚いて。 「おやまあ、女の子?」 なんとなくその一言はすんなり飲み込めた。 「へぇ・・・」 その女を上から下までなめまわすように見た。どこかで見たことあるようだった。顔はいまいちだ。 うる目になっている。ますます愉快だ。そうしていると、その女の保護者らしい、 父親にしては若すぎる男が来た。するとこっちにやってきて、 「すまなかったな」 割としっかりとした男だ。 「いや、いいんだ。それよりそこの盆暗に俺の探してる本についていってやってくれないか?」 教養のありそうな男だったのでたのんだ。すると、その本はすんなりと見つかった。 「ありがとう、助かった。本当にありがとうな」 そういうと彼は例の女のほうへと歩いていった。何か言いたそうな目だった。艦に帰って買ってきたばかりの本を読んだ。 『恥の多い生涯を送って来ました。』 あの女のことだな。 BACK<<HOME>>NEXT |