月
宿題に一区切りがついたので、窓越しに見えるぽかりと浮かぶ月を眺めた。
頬に肘をつき、机上を一秒刻み位の間隔で何気に人差し指で自然とリズムを取り始めた。
嗚呼、またこの癖だ。と頭の中でうんざりとする自分がいる。しかしながら、その時を刻む事をやめようとはしない。
大抵この癖が出る時は、そうこの癖が出る時はアイツの事を考えているトキ。だからこそ苛立ちが倍増する。
「おめでとう」の言葉一つを期待してしまう。
しかし、どうせ素直になれない。素直になったらなったで可笑しな話なのだ。
言い訳じみた理由を一つ二つ思い浮かべては、自己暗示をする。単なる慰めだと解っていても。
難しく、
難解に、
困難に。
どうしてこんなにも考えてしまうのだろうか。
ただ一言、
ただ一声、
ただ一時。
自分自身が正直に喜んでその事実を受け入れれば良いだけなのに。
窓を少しあけてみた。風が部屋の中に勢い良く流れ、少しひんやりした風を全身に感じた。
風で舞い上がった髪の毛をかき上げながら夜空を再び眺める。今日は一発で北斗七星を見つける事が出来た。
そして、春の大曲線を辿り春の大三角へと目線を移らせる。その中で一際輝く様に思えるしし座。
結局星座でもこの有様だ。いい加減今日は寝た方が良いと自己完結し、深いため息をついた。
アイツを思い浮かべながら眠りにつく。
キラキラと輝くしし座。
大口を開けて豪快に笑うアイツ。
その二つが同時に重なり頬が緩む。今日は久々に熟睡出来そうだ。
明日はしし座の星座に免じて素直になってみよう。と、また自分で自分に暗示をかけた。
END
5月は海堂誕生日月なので更新も頑張りたいと思います。
で、早速海堂視点の桃海です。一応、誕生日前日という設定にしています。
なので、誕生日当日分を11日に更新出来たらなぁ…と思っています。なので、今回は前編って事で。
今度は桃城も勿論出てきますよ〜。 20070504陵灯呂