接吻



部活の帰り道、仁王の携帯が鳴った。


「婆ちゃん、いきなりどうしたと?」


いつもと違う優しい口調。

俺は、ぼんやりと横顔を眺めながら、その声が発せられる口唇を見つめた。


口付けを交えたい。


そんな衝動にかられ、何を考えているのだと頭を激しく振った。

その時、電話で話している仁王は、何してんだ?という表情をした。


「だけん、当分そっちには行けんって。部活で忙しかって云いよるやろ…」


ハァ…と深い溜め息と共に、大きな吐息が仁王の口から吐き出されていた。

頭をポリポリと掻きながら、仁王はまた口をゆっくりと開いた。


「後、部活帰りを見計らって電話かけてくるのいい加減止めて欲しいっちゃけど…」


仁王が目線を俺に向けている。まじまじと見つめられて、俺は目の遣り処に困った。


「…一緒に帰りよる奴が構って貰えんで、イジけるけんね」


仁王は口元をニヤリと微笑ませ、携帯の電源ボタンを押した。


「真田、淋しかったやろ〜?」


「…戯け……」


「正直じゃなかね〜真田は。ま、そこが好いとるけど…」


先程まで優しい口調で話していた口唇が、己の口唇に触れてきた。


「…キスしたかったっちゃろ?目でそう真田訴えよったよ」



その仁王の行動が、己の理性をブチ捲けた。



「なっ、オイッ!」



俺は仁王の腕を引いて路地に入り、仁王を壁に追い詰めた。

仁王の口唇をゆっくりと人差し指で撫でていった。

そして、口元のホクロの上に紅い印を落とし、次は首元へ証を付けた。


「…ッんっ…ふッ…」


二箇所に刻印し、最後に最高の瞬間を味わった。

脳内で舌舐めずりする程に欲しかった仁王の口唇。

あんなにも優しい声を発した口は、今はとろけそうな甘い美声を洩らしていた。


「俺はお前が欲しい」


俺の直球の言葉に仁王は、云うのが遅かよ真田と苦笑していた。


「…でも、許しちゃる。今日は真田の誕生日やけん」


そしてまた、仁王から俺に対して口づけがなされた。



「誕生日おめでと、真田」



終。




初書きサナニオです。仁王受けで一番好きなの多分サナニオです。
真田誕生日で初めて真切書こう思ったんですが、サナニオが何か書きたくて。
ま…この後二人はどうなるんでしょうねぇ…やっぱりヤっちゃうのかなぁ〜?(他人事かよ!)
とにかく真田弦一郎副部長お誕生日おめでとう御座います!って事で。ゲンゲン好きだぞー!ラヴッ!!
感想なんか頂けますと、めっちゃ嬉しいですvv 20040521陵灯呂

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