「おーい千石〜」

授業も終わり、HRが終わって教室を出たら呼び止められた。

「あ、南。どーしたの?」

普段、南は一番に部室に行って準備とかしてる筈なのにどうしたんだろ?と不思議に思った。

「伴爺が職員室寄ってから部活行けって」

「…え!?オレ、最近何かやらかしたっけ…?」

「知らねーよ。んじゃ、俺は先行ってるぞ」

無事に役目も果たしたので、足早に南は部室の方へ駆けて行った。

「何だよー付いて来てくんないのかよー南ぃ〜」

そんな事をぶつくさと云いながら、オレは職員室へ向かった。

















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「では、部屋割りは入って直ぐの所に張り出してあるので、各自確認する様に」

「ハイッ!!」


『え?オレがJr.選抜合宿に参加できるの!?』

『そうですよ、千石くん。青学の手塚くんが辞退した関係で君に話しが来たんですよ』


あの日伴爺からは怒られる所か、吃驚する事を云われたんだ。
自分がまさかアノJr.選抜の合宿に参加するなんで思いもしていなかったから。
しかし、我ながらオレってラッキーだよなぁ…と思った。

「えーっとオレの部屋は、っと…」

部屋割り表には、聞いたことのある名前で埋め尽くされていて少々憂鬱な気分になった。
このメンツをみていると、どう考えても自分は場違いな人間にしか思えない。

「同室は、氷帝の跡部くん…ね」

大きなスポーツバッグを肩に掛け、オレは部屋を目指した。
ドアを開け、部屋に入るともう跡部くんはベッドの上にバッグを乗せ、着替える準備をしていた。

「あ、山吹中の…」

「千石だろ?これからの二日間、宜しく頼むぜ」

バッグ内からラケットを出し、跡部くんはテキパキと着替えていく。
そんな跡部くんを横目に見ながら、自分もバッグをベッド上に乗せ、ジャージを取り出し着替えた。


――名前、知ってくれてんだぁ〜


自分もなかなか捨てたもんじゃないのかな?と少し上機嫌になっている自分を自覚した。


×××


練習一日目が終了し、ご飯もお風呂も済ませて、オレは部屋に戻った。
そうしたら、跡部くんが部屋内にある椅子に腰掛けて何かしている様だった。

「な〜にしてんの〜跡部くーん?」

跡部くんの後ろに立ち、後ろから覗き込むように話しかけた。

「わっ!テメェ驚かすんじゃねーよ!」

「あ、コレって最新機種の携帯電話じゃんか!まだ高いのに、さっすが跡部くんだねぇ〜」

「まっ、まぁな。どうしてもって云うなら触らせてやっても良いぜ?」

跡部くんは得意気に携帯電話をオレの方へ向けた。

「マジで!?跡部くんってやっさし〜い!」

オレは跡部くんから携帯電話を受け取り、すぐに内蔵されているゲームに夢中なった。

「…いーよねぇ〜アプリ付きって。オレのなんてメールしか送れないんだよねー」

ゲームをしながら、千石はぶつくさと自分の携帯電話の愚痴を漏らした。

「…ふん、庶民にはそれでまだ良いって事じゃねーか?」

「あ、ひっどいなぁ〜跡部くん。ま、でも携帯触らしてくれてありがとね」

ニコッとオレが笑ってそう云うと、跡部くんは…あぁ。と一言照れくさそうに云ってくれた。


――次の日


「さっきの破滅への輪舞曲、全然手加減無しだったでしょ?」

「あたりめーだ、何で俺様がテメェに手加減しなきゃなんねーんだ」

オレと跡部くんは、同室との事もあって打ち合いや軽い練習試合など一緒に行動していた。
実は、見た感じ取っ付き難そうで同室でどうしようかと思ったりしたんだよね。
でも、部屋に入って自己紹介しようとしたら、ちゃんとオレの名前知ってくれてたし。
昨日の夜も何だかんだ云っても携帯電話長い間触らしてくれたし。
やっぱり、人は外見とかで判断しちゃいけないな〜って今回の件で実感っていうか反省。

「ねぇねぇ、跡部くん」

「何だ、千石?」

「オレ、跡部くんのこと好きになっちゃうかもしんない」

「…は?」

「興味あるんだぁ〜こう、外見と中身がギャップがある人って…ね?」

「…ね?ってテメェ頭でもオカシイんじゃねーか?救急車、呼んでやろうか?」

眉間に皺を寄せながら、跡部くんは話を流した。


――ピーーーーーーッ!


そしてそこで、全体集合がかかった。

「あーあ、残念…」

もう少し困ってるって顔見てたかったのになーちぇっ…と心の中で舌打ちしながら、跡部くんと一緒に合宿所へ戻った。


×××


「それでは、終わりの挨拶を立海大付属の真田くんに……」

短いようで長かった合宿。一泊二日。それが、終わろうとしている。
来た当初はちょっと憂鬱な気分になったりもしたけど、今は新たな発見が出来て寧ろ生き生きしている。

解散!との号令がかかり、オレは帰る方向へ歩き出した。
そこに、見るからに凄まじい高そうな車がオレの前を横切っていった。
それは、勿論跡部くんの前に停まり、中から出てきた支配人みたいな人が跡部くんのバッグを持っていた。

「あっとべく〜ん!」

オレは車の中に乗り込もうとする跡部くんに、ひらひらと手を振りながら声をかけた。

「…スポーツバッグの外ポケット、見ろよ……」

ぼそぼそと何とか聞き取れそうな声で、跡部くんは告げると車の中に入ってしまった。
車もすぐに出発してしまい、取り敢えず云われた事を渋々実行してみた。

「…これって……」

外ポケットには、一枚のメモ用紙が入っていた。

『メールは出来んだろ?』

そう一言書かれて、携帯番号とメールアドレスが記してあった。

「…ふーん、やってくれんじゃん跡部くん」

すぐに紙に記されているメールアドレスへ、オレはメールをした。



跡部くんにだったら、こんな陳腐な言葉も何度でも云ってあげるよ。



“だいすき”



end



麦さんが春にサイトを改装して、お祝いにセンベ書いてあげる!と約束して何ヶ月経ったんだろうか(最悪)
大変遅くなりましたが、貰ってやって下さいなー麦さん!駄文ですんまそん。
で、キーワードとして『携帯電話とJr.選抜』って事だったので、こんな内容になった訳なのですが…如何でしたでしょうか?
久々に受け跡部を書いたんですけど…何か受けっぽく…ない(滝汗)ご、ゴメンなさい!ベカミの跡部が抜け切れてないよ…(ダメじゃん)
さて、もう一作品センベをキリリクで書くので、今度はちゃんと受けっぽく出来れば…良いな…(コラ)
因みに、初めのナンゴクは自分の趣味(オイ)でも、南好きな麦さんへの密かなプレゼントでもある☆ 20040611陵灯呂

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