日焼け
くっきりと残る夏休みの結晶。 このTシャツ焼けのせいで、タンクトップが着られない。 海に行けばこの存在が気になって。お風呂に入る時もヒリヒリして。 だからってこんなクソ暑い8月に深司みたいにジャージ上下なんて着れるかって。 何でアイツは何食わぬ顔でジャージ上下着てんだよ…見てるこっちが暑苦しいっての。 「俺…癌になりたくないもん」 そんなの何時の話だよ。こんな暑いってのに…はぁあ〜…とにかく暑い。 □ □ □ 夏休みも後一週間を切った。今日は俺の誕生日。 何時もの様に朝起きて、学校迄歌を口ずさみながら歩いて行って。 蝉の鳴き声とそろそろ秋の色を魅せている青空を見ながらテニスの練習して。 何時もの様に深司は暑苦しいジャージ上下着て、橘さんと杏ちゃんが差し入れの麦茶を持ってきてくれて。 みんなで休憩にはその麦茶を飲んで、他愛のない話しをするんだ。 「…あーーーーーーっ!英語なんて嫌いだーっ!!!!」 部活終了後、夏休みの宿題を部室で一週間前からしている。 宿題を始めた初日、夏休みの宿題が全く手つかずで溜め込んでいた俺はみんなに爆笑された。 「神尾、英語なら俺がみてやる。見せてみろ」 まぁ、そんな感じで家に帰っても絶対宿題をしない俺にとっては良い薬である。 去年は散々だったもんな…絵日記さえも三日坊主で数学とかも…嗚呼、悲惨すぎで思い出したくねぇ…!! あーでも、誕生日が夏休み後半ってのはマジで酷な話しだ。何時もそれは常々思っていることである。 親にプレゼント〜と駄々を捏ねれば、宿題はもう終わったの?という返答しか100%返ってこない。 どーせみんなも俺の誕生日なんて憶えてねぇだろうな〜橘さーん!俺も英語で誕生日位知ってます…からっ! 「…神尾?ちゃんと俺の話聞いてるか!?」 ぼーっとしていた俺に橘さんからの渇が入る。スミマセン!と謝り、俺は再び英単語を黙々と書き出した。 クーラーなんかない部室、窓全開でついさっきグラスに注がれた冷たい麦茶も温くなってしまっている。 そんな暑い中でみんなは黙々と宿題をやり続ける。暑さの余りに必要最小限の会話はなくなってしまった。 そして、数時間後。 「…お、終わったーーーーっ!!!!」 俺は嬉しさのあまりに叫んだ。夏休み中に宿題が終わるなんて初めての出来事だ。 ふと外を見てみれば、もう青空は夕焼け色に染まろうとしていた。 「…ったく…アキラ遅いよ……」 深司がブツブツと呟き出したので、深司の方に目をやる。そして、俺は吃驚した。 深司は宿題なんてもうやっていなかったのだ。それは、深司だけでなく他のみんなも同じであった。 「コラ深司!今日くらいは許してやっても良いだろ?」 今まで俺にずっと英語を教えてくれていた橘さんが深司を宥める。…ってか、今橘さん今日くらいって云った…か…? 「よぉ〜しっ!みんな準備するぞー!」 「はーい!!」 俺は茫然と座る中、各自のロッカーから駄菓子やジュース何かが出てきた。 今まで勉強机だったテーブルはランチョンマットがひかれ、お菓子が沢山無造作に置かれていて…。 グラスには麦茶じゃなくてジュースが注がれて。杏ちゃんのお手製クッキーまで出てきちゃって。 「アキラ、お誕生日おめでと〜!!!!」 髪の上にカラーテープが舞い降りたと共に、俺の瞳からは涙が溢れてきた。 嬉しくて堪らなくて。わんわん声を上げて泣いてしまった。久しぶりにこんなに泣いた気がする…。 「泣いちゃ駄目だよアキラ君、今日誕生日なんだからさ!ほら、食べて食べて!!」 杏ちゃんが俺に数々のお菓子を差し出す。 とっても温かい…俺を祝おうとずっと暑い中みんな待っていてくれた。それだけで俺は胸がいっぱいだ…。 「みんな、有難う…」 ぐしぐしと鼻水を啜りながら、俺はみんなにお礼を云った。 「…勿論、俺の時は倍返しね……」 そんな深司のぼやきも今日はとってもくすぐったく感じた。 □ □ □ くっきりと残る日焼け。 この日焼けが消えてしまう頃にはこの出来事なんてみんな忘れてしまうだろう。 でも、また俺がこのくっきりと残る日焼けを刻む頃…俺は又この気持ちを思い出し、みんなもまた思い出してくれるだろう。 もうすぐ夏休みが終わる頃、8月26日という日の事を。 おわり。 神尾アキラ君、お誕生日おめでと〜うございま〜す♪ 本当、とってもとっても遅くなってしまいました(号泣)書くとき後ろに人いたら集中出来ねーっての!(怒) 良く考えてみたら久々に誕生日祝ったって感じのSSが書けた気がする。本当、祝う気あんのか!?っての多すぎやから…自分(反省) 色々とネタ出てたんですけど、結局は不動峰みんなでお祝いで落ち着きました。やっぱり峰は仲良しってイメージ強いからね。 ベカミでも同名のでネタ出来たんですけどね〜気が向いたら更新したいと思います。 しかし、この部活後の勉強会ってのマジでうち中学の時あったんですよ。家帰っても宿題しないだろ!?と顧問が云っていたのでね。 なかなか進むモノですよ。そのお陰で中学の時はそんなに宿題堪ってヒーッ!ってな感じにはならなかったなぁ。 神尾は絶対宿題ためこんじゃいそうだなーと思ったので、今回それを敢えてネタにしました。全部写しそうだもんね(笑) しかし、ほんのり神杏とかイブカミな絡みが書けて嬉しかったですね〜神尾は跡部以外ではあんまり書く機会ないですからね。 とにかく、神尾おめでとう!宿題夏休み中に終わって良かったね!頑張ったね!(咽び泣き) さて、これ読んでる人で『宿題やべーよ!』と思っている人は何人位いるのでしょうね…?頑張って下さい!! 20030830戒堂訛音