12才の細胞に流れ込んだまま、まだ抜ききれない








臆病な自分と、








素直になれない自分が、









大嫌いだ。















小さな恋のメロディ

そろそろ校舎の中庭も秋めいてきた。 大好きなプールも今日で終わり。秋という新しい季節が近づいてきた証拠だ。 しかし…今更なんだけど、自分の中学って何でプールが男女合同なんだろう…? 相当嫌なんだよね。準備体操するとき目の前に男子がいると意識しちゃうし。 男子も男子で鼻の下を長くしちゃってる馬鹿もいれば、無関心そうに黙々と準備体操する人もいるし。 人間観察としては面白いんだけど…好きな人が目の前にいるとなると別なんだよね。 「はぁ〜っ…」 深い溜め息を付いては、イライラする。 このイライラする気持ちの行くあてを常に探している。 行くあてなんてありもしないのに。 今日くらいは…今日くらいはさ…どうにかしようよ、自分。 「赤也く〜ん、お誕生日おめでと〜!!ハイッ、コレ!プレゼント〜」 プールから上がって来て、濡れた髪の毛をタオルでゴシゴシと拭き取っている。 何時もの髪の毛が少しぺたんとなって可愛らしい感じになっている。 それも今日で見納めかと思うと淋しい気持ちがある。でも、男女合同プールは嫌だ。 「どーも、アリガトね〜」 ニコニコと笑う、アレは確実に愛想笑いだ。 本当、人当たりが良いっていうか…この笑顔は武器だ。 そんなことを思いつつそのやり取りを観ていたら、目が合ってしまった。 自分は目を見開いて、急に目をそらした。拙い、どうしよう…。 ――キーンコーンカーンコーン…キーンコーンカーンコーン… ほ、助かった…。 これから授業で良かった〜!と思うのは初めてかもしれない。 それ位、今日は変な自分なんだろう。とにかく、今日はさっさと帰ろう…そうしよう! 来年もあるさ!だってまだ…中二なんだし。まだ卒業じゃないから…。 ■ ■ ■ 「うぁ〜…沢山落ちてるねぇ〜今日も…」 授業も終わり、掃除の時間。 今週の掃除場所はよりにもよって中庭である。 見ている分には紅葉の秋が近づいて来ていて綺麗な葉っぱも、落ちてしまえば所詮枯れ葉。 出席番号順に男女混合で振り分けられる掃除当番、その中には彼もいた。 「じゃ、何時ものゴミ捨てじゃんけ〜ん!」 今日は負けられない…早く帰らなきゃ。 この正常でない自分の状態と心を抑えないと拙い。 大体、ここにいること自体でもう自分は訳分からない状態なんだ。 「ハーイ、じゃ〜今日は切原くんとぉ〜…」 ああああ…自分の馬鹿〜っ!何でよりにもよって今日負けるんだよー! 何時もは負けないのに…!じゃんけん強い子で有名なくらいなのに!何でだよ〜! …何時もと違うってことか。そうか、そうだよね…凹む。 「………」 無言でゴミ捨て場まで落ち葉のゴミを持って行く。 袋の右端は彼が、左端は自分が持っている。隣に並んで歩いている状態だ。 途轍もなく気まずく、重々しい空気が流れているのが自分でも良く分かった。 「…コレでよし、と…」 ゴミ捨て場にやっと着いて自分はホッとしていた。 この重苦しい空間から開放されるからだ。後は、枯れ葉捨てれば家に帰るだけ…! そんな安心しきっている時、彼が徐に口を開いた。 「そーいや、プールの後俺の事見てたっしょ?」 隣にいた彼がこっちを見た。 ヤバイ!と思いつつ私は又ゴミ袋に手を掛けて袋をきつく結び直していた。 聞こえていないふりをワザとした。やばい…早く帰らなきゃ…。 「何、無視してんの?いー度胸してんじゃん…」 ガシッと手を握られて自分は硬直した。 枯れ葉の入ったゴミ袋は地面に叩き付けられ、更に手を握られた。 「…は、離してよ…!!」 テニスで鍛え上げられた彼の右手、到底私の力で敵うわけがない。 彼はニヤリを笑って、一言、嫌だねと云った。 早く帰るどころか捉まってしまった…よりにもよって切原赤也に。 「…ど、どうしたら離してくれるの…?」 力強く握られた手を見つめながら私は云った。 握られる時間が長くなれば長くなるほど私の心臓の高鳴りは早くなる。 顔があげられるような状態ではない。多分、赤面していて半泣き状態であろう。 「んーと…お誕生日おめでとうって云ってくれたら…かな?」 ニコニコと微笑む彼。 明らかに何かを企んでいる笑顔。 でも、云わないと離してくれない。この心音は聞かせられない…。 「お、お誕生日…おめでとう…切原君……」 下を俯き、ぼそぼそと云われた通りにおめでとうの言葉を述べた。 恥ずかしい…早くここから逃げ出したい。でも、逃げられないんだ…。 そうしたら、彼はグイッと手を引いた。私の頭は彼の胸にぶつかってしまった。 「…喧嘩、打ってんの…?」 そう云うと彼は手を握っている逆の手で私の顎を持ち上げた。 顔を握られて、私は振るえていた。もう、完璧に逃げられない…捕獲されてしまった。 「…ん…ッ!?」 彼の顔が私の顔の目の前に来た。 顎を持たれていた手の力が弱まる。手を握られていた手は腰に回された。 私は彼に抱きしめられて、キスをされていた。 「………」 口を離されても抱かれたまま。 唇に彼のぬくもりが残っている。これは現実である。 あまりにも突然すぎて頭の中がパニック状態で言葉が出てこない。 やっと出てきた言葉は、ど…どうして…?だった。 「…アンタ鈍すぎ、ってか…バーカ」 そう云うと彼は私の手を握って歩きだした。 足がまともに動かない私をずるずると引き摺る形となっている。 「もう待ちくたびれたんだよ、本当人祝う気あんの?」 何…それって…自分の気持ちもうバレバレだったってことなの…!? ぎゃー!そんな…あ、穴があったら入りたい…恥ずかしすぎる…あわわわ。 「…ご、ごめんなさい……」 何故か口がそう自然と動いていた。 別に自分悪いことしてないのに!何謝ってんの!?と思った。 けど、何か謝りたかったんだ。…本当はお礼が云いたかったんだけどね。 「…今日、一緒に…帰ろっか……」 うじうじしてた自分を捨て去ってくれた彼。 臆病な自分、さようなら。 素直な自分、こんにちわ。 握り返した自分の手のぬくもり。 握り返してきた彼の手のぬくもり。 忘れないから。 end 切原赤也クン、お誕生日オメデトウ御座いますvv 初のノーマルカップリングな訳なんですが…名前は敢えて出しておりません。 自分の名前にしようかと悩みましたが、あまりにも恥ずかしすぎで読み返せなくなりそうなんでやめました。 赤也が自分の名前呼ぶとか…大変だってばよ!ぎゃ!…そーいうことです。 展開があまりにも無理やりすぎだ…本当はもっと長くしたかったんやけど〜又連載になるので…ね(滝汗) 主人公がずーっと赤也が好きで好きでたまらない。赤也は勘が良いので気づいてる。 そんで、赤也もその内に主人公に惚れる。そして、誕生日!何か云いたそうな顔の主人公。 でも、云えない…いじいじ。そこに、赤也爆発。キスして抱き締める!そして、晴れて両想い☆ あーやっぱり…連載しようかな…どうしようかな…赤也がどうして惚れるとか書きたいな…。 ノーマルは書いてて結構楽しかった!自分の中学時代とか思い出しつつの執筆でした。懐かしい…! とにかく、コレは気が向いたら連載するかも…赤也は多分ノーマルカップリングしか書きません。今の所。 自分の頭の中に浮かんでくるネタが男絡みじゃないんで…。そんなの誰が読むんだよ…。 ってか、後書き長すぎ!赤也好きすぎ?(笑)20030925 戒堂訛音

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