abnormal affection
そしていよいよ、クリスマス。 教会ではキャンドル礼拝が行われていた。 この時は信者でない人も来る。 特にカップルがダントツに多い。 俺は跡部の隣でロウソクを跡部に渡す仕事をしていた。 跡部がロウソクに火を灯し、カップルに手渡す。 カップルは感動した面持ちで笑顔で去る。 ふと、 ロウソクの火越しに見える跡部を見つめた。 鼻筋が通った顔。 長い首、細長い指。 下に目を落とせば 長い足が見受けらる。 全てが愛しい。 貴方全てに壊れてます。 『泣かないで〜こんな夜なのに〜一人きり〜膝を抱えて〜 街を歩きつつCSの子ども達とキャロリング。 子ども達がどうしても歌いたいと言ったこの曲を歌いながら… 俺は先頭を行く跡部を見つめた。 ─待っていて〜駆け付けてくから〜午前0時の〜鐘が〜鳴る前に〜 0時迄に果たして行けるやろか… 今丁度20時を回った… 不可能に近い。 しかし、 行かなければ… ──君は〜誰よりも〜大切な〜人だから〜どんなに〜歳月が〜流れても〜笑って いて欲しい〜』 愛する貴方の為にも… 「はぁ…はぁ……」 案の定CSの子ども達に捕まり、 只今の時刻23時。 俺は、 クリスマス色な街を 駆け抜けた。 26日になったら… 意味無いんだ… 25日じゃないと…… ━━ガチャッ!! 「…はぁあ〜着いたぁ……」 何年振りだろうか… この教会には、 沢山の想いが… 詰まっている。 「もう…居ないよな……」 俺が説教台に腰掛けると、 一本のロウソクが灯してあった。 そして、 それを手に取ろうとした瞬間… 「…遅いじゃねーか!!俺様を待たせるなんて、相変わらず良い度胸してやがるなテメェは…」 神尾は声のした方に勢い良く振り向いた。 何時も 聞き慣れた声。 何時も 俺の頬をつねる指。 何時も 笑顔の耐えない顔。 俺の愛しい… 愛しい…… 「…あと…べ……」 俺は驚きの余り、 それ以上声が出ないでいた。 「…お前、やっぱり…本当に気付いてなかったんだな……」 跡部は苦笑しつつ話を続けた。 「…俺が引っ越した後、榊先生から何も聞かなかったのか?」 「あぁ…榊先生ならあの後直ぐ海外で弦楽器が普及してない国で、普及させるボランティアってのに行って未だ帰って来て無いけど…それが何なんだよ?」 「…何だって!?」 跡部は眼をカッと見開いた。 「…それなら、今説明する…俺の親…離婚したんだ」 「…ふ〜ん…えぇっ!?」 神尾が驚きの声を上げた。 「だから…引っ越しもしたし、名字も母親の旧姓跡部に変わったんだ」 「何…何だよ…ソレ……」 神尾は腰が抜けて床に座り込んでしまった。 「…俺もまさか…思ったんだぜ……」 跡部は床に座り込んだ神尾の手を引いた。 そして、 抱き締めた。 「…神尾…やっと此処で再会出来た……」 互いに抱かれ合う力が強くなる。 二人は、 再び出逢った… この思い出の場で。 「…そーいやテメェ…お前最近俺の事避けてねーか!?」 「否…そんな事…無いと思うぜ〜唯……」 「唯、何だって云うんだよ…アーン?」 「…顔が…跡部マジマジ見ると赤面するんだよッ!…仕方ねぇだろ!好き過ぎて…直視出来ねーんだよ!!」 「…バカミオ…そんな事は早く云いやがれ……」 幸せすぎて… 幸福すぎて…… 君の笑顔が とても嬉しくて… 「オイ、コレ二人で持つぞ」 その跡部の言葉に神尾は首を傾げた。 一本のロウソクが二人の手に導かれる。 「ロウソクを共に持った二人は…」 「永遠(とこしえ)に結ばれる…だろ?」 「…何だ〜跡部も知ってたのかよぉ〜」 「…テメェはアホか!俺は神父だ!それ位常識で知っているのが当たり前だろうが!!」 ロウソクの炎がゆらゆらと揺れる。 そして、 消え去った。 「あーあ…跡部がバカミオとかアホとか云うから、消えちゃったじゃねーか…」 神尾が淋しそうな声で言う。 「…アーン?ロウソクの炎が消えたのとその事は全然関係ねぇだろうが…しかし、ロウソク消えた位で騒いでんじゃねーよ」 「だって…だってぇ〜跡部との記念のロウソクじゃねぇ〜かぁ〜」 神尾は頬を膨らませつつ言った。 「…記念何か…これから作れば良いだろうが…」 照れながら、神尾からわざと目線を外して跡部はそう云うと、 「…あ、跡部〜ッ!!」 神尾が跡部に抱きついた。 「…いっぱい…いっぱい…記念作ろ……」 そして、 “カーン─カーン” 午前0時の鐘が 鳴ると共に二人は、 口付けを交わした。 「…でも、今考えてみれば勿体なかったかもなぁ〜」 「…ん?何が勿体なかったんだよ?」 神尾が上目遣いで跡部を見つめた。 「…否な〜ロウソクのロウを垂らした…マゾヒスト神尾を観て見たかったかなぁ〜とか思ってみたり……」 ━━バシッ!! 「…痛ッ!神尾お前何すんだよ!!」 「…こんの…アホベが〜ッ!」 「…本当は嬉しいんだろぉ〜?アーン?」 「…煩い!アホベは黙ってろッ!!」 貴方のそのふざけた口調。 「…そんな口答えばっかしてたら、今度本当にやってやるぜ〜」 貴方のその歪んだ愛情。 「…勝手にしやがれ……」 貴方の全てについて行きます。 貴方は俺の永遠(とこしえ)の最愛の人。 「…もう…離れないから…絶対……」 これからも歪んだ愛情で 俺の躯を… 俺のココロを… 満たして下さい。 *fin* 遂にこのシリーズが完結です。年内に完結出来て満足だ…(諏訪部ヴォイス読みで宜しくお願いします) いや、しかし…こんなにも長くかかるとは思っていなかったのです。色々と原文のある話しだったので、台詞回しとか大変だったりしたんですけど…楽しかったです! 途中の跡部がとても神尾の事愛しているんだと心情の所があるじゃないですか。あの部分が最も自分がお気に入りとする所です。不器用な人好きです。 この二人にはこれからも幸せでいて欲しいですね。本当、色々な人出てきたなぁ…今後もこんないっぱいキャラ出るの書きたいなvvと思ってます。 CP整理をすると、ベカミと跡忍とイブカミと忍岳って感じですかね?後、出てきたのは杏ちゃんとか橘さんとか榊(43)とかね(笑)本当、キャラ出捲りやんな(苦笑) 前の後書きにももしかしたら触れているかもしれませんが、最後なので改めて。この原文は実はメルマガ小説で全145話。約半年配信しました。丁度、二年前ですね。 CPはラルクで…ベカミはケンテツ、跡忍はケンハイ、イブカミはユキテツ、忍岳はサクハイでラルク知ってる人なら吃驚な(吃驚なのか?)オールキャラ小説でした。 原文の方が多分…無理がないところ多いと思うんだよね…読んでみたいな!って奇特な方は訛音までご一報下さいvv(いないだろ)読めるURLを送信させて戴きます! そんな感じでこのなが〜い連載にお付き合いいただいて本当に有難う御座いました!今後は中途半端なSSを消化しよ…忍岳←日吉とか桃海とか…ね? 20031231戒堂訛音