Irritating Romance


手を繋ぎたい。



そう、衝動的に思ってどれだけの月日が流れただろうか?
とても大きなゴツゴツしたアイツの手。背中を思いっきり叩かれると途轍もなく痛いアイツの手。
俺とは対照的なあの掌に憧れを持っている。こんな事口が裂けても言えない事実だが。

そして今現在、自分の掌にはアイツに渡したい物が握られている訳で。

次々と目の前で繰り広げられる己が実行したい出来事。
満面の笑みを浮かべながら、あの掌で後輩の頭をわしゃわしゃ撫でている。
開けたままだったロッカーの扉を閉じ、握っていた物を再びバッグに収める。
隣にいた同学年の部員に声を掛けて部室を後にする。

また俺は次の一歩を進める事なく、今日という特別な日を終わらせる。

通学カバンを握る手がギュっと力強くなる。
嗚呼、でもこんなもんじゃないだろうなアイツの腕力は。
本気で握れば骨も軋むだろうな…とラケットを凛々しく握り締めるアイツを想像した。

「…おいッ!」

不意に声を掛けられ、振り返る。その瞬間グッと手をひかれた。
俺の掌に桃城の掌のぬくもりが感じられる。



手が繋がれている。



「海堂、テメェわざとやってんだろ…」


どんどん握る手の力が強くなる。


「何か俺に言う事あんだろーが…」


あまりの力強さに眩暈がする。


「オイコラ、何とか言ってみろや」


握り締められた手をグイッと顔の前にやられる。


「………」


思考回路がついてこない。


「…だんまりかよ…ホントいい加減に…ッ!?」


ならば、

言葉に出せないかわりに、

今まで焦がれたこの行為で示させてくれ。


「…馬鹿野郎……」


強引に繋がれた手を、己から指を絡める様に繋ぎなおした。

そして、俺たちは特に会話をする事もなく互いの掌のぬくもりを感じながら帰路についた。

結局、カバンの中には渡せず仕舞いのプレゼントが残ったまま。



END
「じれったいロマンス」という日本語タイトルにしようか思ったけど英語にしました。
きっかけの曲があるんですが、エロティックな曲なんで全然内容とはかけ離れてます…。
桃海には、じれったいって言葉がとても似合うと言うかそのまんまだなーと私は思います。
だから、海堂はプレゼントは渡せてないし!因みにリストバンドだったりします。
念願のおてて繋いで〜で舞い上がっちゃっててそれ所やないんです!
こういう焦れまくってる時の桃海が一番好きですね。ゴメンよ桃城、誕生日なのに。
サイト開設から6年目。そして、桃城お誕生日おめでとう! 20080723 陵灯呂

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