これまで観賞してきたあらゆる創作のなかで、「無限のリヴァイアス」というアニメは、僕のなかでかなりの上位に置か
れる。このアニメに影響されたものが僕のなかにはかなりあると思う。そんなものって他の創作にはなかなかない。
そのアニメの中で、主人公の少年・昂治は「俺たちはなにも知らなかった」と言う。「なにも」と。
実際のところ、僕らはなんにも知らない。自然の摂理だって、社会の仕組みだって。生まれたときにはあらかじめ用意
されていた、既存の機構にそのまま食い込むように生活している。その機構ってじっくりと考えるとあまりに強固で、そ のなかでやんややんやと生きるのなんて、なんの意味もないように感じられてきさえする。
井の中の蛙。僕らはそれに気付いてしまった。「なにもしらなかった」ことに気付いてしまった。だから悩まずにはいら
れない。くだらない人生の意味について。本当のしあわせの意味について。考えても仕方ないことに拘泥しなければな らない。
それって実に不毛だ。できることならば気付きたくはなかった。爬虫類のように刹那的に生きることができたらどれだ
けよかっただろう?
無知の知。何も知らないことを知れる人間の賢さって、哀しいまでに中途半端だ。爬虫類と神様の間。そのどっちつ
かずの中で、絶えず悩んでいる。阿呆だ。
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