「なぁ、ケンちゃん。お花見行きたいっ」
そう言って、ハイドはケンの袖を引っ張る。
今日は、夜に近くの公園でお祭りがある。
「そっかぁ〜。今日、夜お祭りあるもんな」
「そうやねんっ。なっ?行こ〜??」
「うんっ。ええで」
ガヤガヤガヤガヤ・・・・・・・
夜になって、お祭りに来たケンとハイド。
思っていた以上に人が多い。
「うぅ〜・・人多すぎ」
人込みが嫌いなハイドは、少ししかめっ面をした。
「しゃあないやん。お祭りやねんから」
そう言うと、ケンはハイドの手をギュッと握った。
「ケンちゃん??」
ハイドは少し心配そうな顔をする。
「大丈夫。こんな人混みの中やからバレへんてっ」
そう言って、ケンはニコッと笑った。
人前で滅多に手を繋ないだ事がないから、
ハイドは嬉しくなった。
「ほな行くでぇ。離れんようにしかっり握りや。迷子になったあかんで」
ハイドは、ギュッとケンの手を握る。
二人は、手を繋いで人混みに入って行った。
道の両側には、出店がたくさん並んでいる。
焼き鳥。焼きそば。おでん。フランクフルト。チョコバナナ・・・・・
色々楽しみながら、
ドラえもんのお面も買ったりして、
たまにそれらの店に立ち寄って行った。
しばらく歩いて行くと、金魚すくいがあった。
「なぁ、ケンちゃん金魚欲しい」
「よっしゃ。任しときぃ」
そう言うと、おっちゃんに300円渡した。
「言っとくけど、俺めっちゃ得意やで」
ケンは張り切って、腕まくりをした。
奮闘した結果。
ケンは、計2匹の金魚を捕った。
「ほら。金魚やでっ」
「わぁ〜。ありがとう!!でも、上手なわりには少ないなぁ〜」
ハイドは、金魚を受け取りながら言った。
「これでも頑張ったんやでぇ〜」
ケンは、頬っぺたを膨らまして拗ねてみせる。
「あはは。ゴメンゴメン、嘘やってぇ。めっちゃ嬉しいでw」
二人は、また人混みに入っていった。
すると、金魚が潰れないようにと、気をとられていたハイドは、
うっかりケンの手を離してしまった。
繋ぎ直す間もなく、人はハイドとケンの間にどんどん入り込み、
お互いの姿が見えなくなってしまった。
ハイドは、何とか人込みから脱出すると、
あまり人の居ないところに来た。
「・・・ケンちゃん・・・」
一人ぼっちで心細くなったハイドは、
その場にしゃがみこんでしまった。
「なぁ、金魚。ケンちゃんドコに居るん?」
金魚に話しかけるが、その金魚も、
人混みに揉まれたせいか、グッタリしていた。
何分経っても、ずっと一人ぼっちのハイドは、
段々悲しくなってきて、
涙を一粒こぼした。
「・・ケンちゃん」
居るはずのない待ち人の名前を呟いた。
「なぁ〜に?」
ビックリして、声のした方をハイドが振り返る。
そこには、会いたくて会いたくて堪らなかったケンの姿。
ケンは、ずっと探し回ってくれていたのか、
ハァ、ハァと息が上がっていた。
「ケンちゃんっ」
そう言うと、ハイドはケンに抱き付いた。
「なんやぁ、ハイドは泣き虫やなぁ」
そう言うと、ハイドの頭を撫でた。
「泣き虫やないもんっ」
そう言うと、ギュッとケンの服を掴んだ。
「手離しちゃ駄目って言うたやろ」
「・・・ごめんなさい」
「ええよ」
ケンがそう言うと、ハイドは顔を上げた。
「・・・ちゃうくて。コレ」
そう言うと、ハイドはケンの目の前に金魚を出した。
そこには、グッタリした金魚。
「ありゃりゃ〜」
「ごめんな。せっかくケンちゃんが捕ってくれたのに」
そう言うと、ハイドはシュンとする。
「ええって」
そう言いながら、ケンはハイドの頭をポンポンと叩く。
二人はその後、可哀相だからと、金魚を元の店に返してやった。
そして、ハイドは金魚の代わりに、
フワフワした甘いわた飴をケンに買ってもらい、
可憐に咲き誇った桜を一緒に見た。
あとがき。
ん〜。ラブラブな感じにしたかったんだけど、
失敗っ(泣)
今年は桜咲くの早いですねぇ〜。