テツが出発した次の日。
「今頃、テッちゃんはりきってるんやろなぁ」
ハイドはテツ楽しそうな姿を思い浮かべて、微笑んでいました。
ハイドが洗濯物を干そうと外に出ると、
森の方から、何かがこちらの方に向かって来るのが見えました。
よく見ると、それは、テツが昨日荷物を積み乗って行った馬でした。
どうやら、荷物も積んだままです。
「ど、どうしたん?!何があったん??」
馬はかなり興奮していました。
よく見ると、馬の足に小さな引っ掻き傷がありました。
ハイドはテツの身に何かあったんだと思い、
急いで出掛ける準備をして、馬に繋がれていた荷物を外すと、
馬にまたがりました。
「急いで、テッちゃんのところに案内してや!」
ハイドがそう言うと、馬は元来た道を走っていきました。
しばらく行くと、狼に襲われた場所まで来ました。
辺りはもう真っ暗です。
この先は馬もテツがどこへ行ったか分かりません。
「この辺なんやな?」
ハイドは馬から降りると辺りを探しだしました。
すると、崖の手前にテツが出て行く時に被ってた帽子を見つけました。
「これ、テッちゃんの・・・もしかして・・」
ハイドは恐る恐る崖の下を見ました。
意外に崖の傾斜は緩く、昨日の雨で滑りやすくなってるものの、
頑張れば降りられそうでした。
「ここで待っててな」
ハイドは意を決すると、馬をその辺の木に繋ぎ、
ゆっくりと崖を降りていきました。
崖の下に着くと、辺りを見回しました。
どうやら、テツの姿はありません。
ハイドは諦めないで、探しはじめました。
すると、少し先にお城が見えました。
「もしかしたら、あそこに居るのかも・・」
ハイドはそう言うと、お城に向かって歩きだしました。
『テツを探しに』