「なぁ、テツあれ取って〜」
そう言って、ケンちゃんが俺と話ながら、
手だけテッちゃんの方に伸ばす。
「ハイハイ。全く近くにあんねんから自分で取りいや」
って、言いながら灰皿を渡す。
それはちゃんとケンちゃんが望んでいたモノ。
不思議やと思わん?
やって、テッちゃんはケンちゃんが「アレ」って言うただけで
分かってまうんやで?
・・・ん〜、偶々やったんかな??
「テツぅ〜喉渇いたぁ」
「ハイハイ。何か買うて来るよ。みんなも何か飲みたいのない?」
そう言って、テツがハイドとユッキーに聞いてきた。
「お茶ぁ〜」
「OK。ハイドはお茶な。ユッキーはコーラでええよな。」
「うん、いいよ〜」
ユキヒロが軽く返事する。
「あっ、テッちゃん!俺も一緒行くっ。一人で持つの大変やろ?」
そう言って、ハイドが席を立つ。
「ありがとぉ。あっ、そや。ケンちゃんはアレでええやんな?」
「うん」
出た!!また「アレ」や。
やっぱさっきのは偶々やなかったんや!!
「なぁ、テッちゃん。なんで『アレ』で分かるん?」
「ん?『アレ』って??」
テツが自動販売機のボタンを押しながら不思議そうな顔をした。
「やから、ケンちゃんが『アレ取って』って言うただけで、
テッちゃん、ケンちゃんが何欲しいか分かっちゃうし、
今だって、ケンちゃんが飲みたいもんケンちゃんに聞かんでも分かっとるやん?」
「うん。そやね」
「やから、何で二人は『アレ』だけで分かってまうん?」
ハイドが真剣に聞いてくるので、
テツは思わず笑ってしまった。
「あははっ。何でやろうね。
たぶん、幼馴染やからちゃう?それに、恋人同士やし」
そう言って、テツは少し照れ笑いをした。
「ん〜・・でも、俺とユッキーも恋人同士やけど、
ユッキーの欲しいもん分からんで・・?」
「そっかぁ〜。でも、ユッキーはハイドの欲しいもん
ちゃんと分かっとると思うで」
みんなの飲みもの買って、テツとハイドは部屋に戻ってきた。
「買ってきたでぇ〜。はいケンちゃん」
「お、コレコレ。サンキュ」
そう言って、ケンがテツからコーヒーを受け取った。
「はいユッキー」
「ありがと。ハイド君」
そう言って、ユキヒロがハイドからコーラを受け取った。
ええなぁ。
テッちゃんとケンちゃん。
何か、羨ましいなぁ〜。
ほんまにユッキーも『アレ』だけで分かってくれんかな。
・・・試してみようかな。
「な、なぁ、ユッキーあんな。えっとな・・アレ・・ちょうだい?」
そう言って、ハイドが悪そる悪そるユキヒロに聞いてみる。
『やっぱ分からんかなぁ・・』って思った瞬間。
---ちゅっ。
「・・・え?」
(何で分かったん??)
ハイドが驚いた顔でユキヒロを見た。
「分かるよ。ハイド君の考えてる事ぐらい」
そう言って、ユキヒロはハイドの頭を撫でる。
ハイドは、何だかとっても幸せな気分になった。
「えへへ〜wユッキィ大好き」
「うん。知ってるよ」
「///ユッキーは何でもお見通しやねぇ」
あとがき。
書き始めは、ケンテチにしようと思ってたのに、
いつの間にかユキハイに;;
友達同士でも『アレ』だけで通じる時ありますよね??