日常茶飯事→ロイ・マスタング
▼日常茶飯事


  「ロイ・マスタング。」
  「なんですか?」
  「今日、お前宛に何が来たと思う?」
  「花束ですか?それとも指輪ですか?」
  「刃物だ、カス。」

  この男は大嫌いだ。
  絶対的に女の敵だ。

  「そんなの、日常茶飯事じゃないですか。」

  ハボックの言葉に私はロイ・マスタング宛ての刃物を突きつけた。

  「私が死にそうになったのに・・日常茶飯事だと・・?」

  ハボックは青褪めて煙草を落とした。

  「とにかく。これ以上、女をひっかけるな。被害が及ぶ。」
  「嫉妬ですか?」
  「貴様、喉を切り裂いてやろうか?」

  こんな男のどこが良いのか。
  私には一切理解不可能だった。

  「少将。」
  「最後に一言か?聞いてやろう。」
  「愛しています。」
 
  ぶちっ

  そんな音がした。
  手に持っている刃物をそこら辺に投げ、
  腰にある刀を手に取る。

  「貴様のそのような態度が気に入らん。」
  「本気です。」
  「たわけ・・苦しんで死ね。」

  火が私の刀を溶かした。
  特注だったというのに。

  「女性にそのような言葉は似合いませんよ。」
  「錬金術・・・・か。」

  私は拳をロイ・マスタングの顔に思い切りぶつけた。

  「この度は、救われたと思え。次は無い。」
  「少将の気を引くためにああやって女性と付き合っているんです。」
  「嘘は聞き厭きた。」
  「本気ですよ。」
  「・・・刀の料金はお前宛に請求してやるからな。」
  「どうぞ。」
  「特注だ。お前の給料3ヶ月はないと思え。」

  私は鞘をロイ・マスタングに投げた。
  そして、ドアを勢い良く閉めた。


  「大佐、大丈夫ですか?」
  「ああ、平気さ。でも、今日こそ殺されるかと思ったよ。」
  「なら、止めたらいいんじゃないんですか?」
  「言っただろ?気を引くためだと。」

  ロイは笑いながら鞘を手に取った。

  「さて・・・鋼のに頼もうかな・・・。」
  「大佐、少しも懲りていないのですね。」
  「恋愛に駆引きや犠牲はつきものだよ。」

  そして、どこかの部下達のボヤキが言った。
  
  「・・・大佐が女から恨まれるのも日常茶飯事だけど、少将が来るのも日常茶飯事だよな。」
  「あぁ、少将も大佐と居る時が一番楽しそうだしな。」
  「くっつくのも早いかな・・。」
  「え゛!?」
  「お前少将狙ってたわけ!?」
  「ぐっ・・・・。」


  2人がくっつくのも、遅くは無さそうだ。






  

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