―――   副隊長一堂に集めてみました。  著者:4_130様   ―――



> 副隊長の中から選んでください。

 雛森 桃 →松本乱菊  草鹿やちる
 涅 ネム  伊勢七緒  虎徹勇音

隠しキャラをひとり
隊長の中から選んでください。

 砕蜂      市丸ギン   卯ノ花烈  藍染惣右介
 朽木白哉    狗村左陣   京楽春水  東仙 要  
 日番谷冬獅郎  更木剣八   涅マユリ  浮竹十四郎  
 山本元柳斎重國


スタート




十番隊隊舎の執務室で相変わらずの書類の山と格闘していた時だ。
嬉しそうに書類を読んでいる乱菊の様子に、日番谷は首をかしげた。
「なんだ、松本。その書類そんなにおもしれえのか」
「あ、はい。以前お話した副隊長交流会の件、中央から正式決定の通知です」
「ああ、あれか。中央も珍しい事をやるもんだと思ったが決まったのか。で、どこで何をやる?」
「それが…」
乱菊は嬉しそうながら、ちょっと言いよどむ。
「幽仙閣に一泊しての新年会なんです」
「おいおいちょっと待てよ。十三隊の副隊長達がみんな揃って一泊か?」
「そう言うことですね…」
「何考えてんだ、中央の奴等は」日番谷はブツブツ文句を言った。
「……もちろん各隊長の許可の上で、ですけど」
恐る恐る言う松本を、片眉を上げて日番谷は見る。
「行けよ」
「は?」
「行きてぇんだろ。いいぜ」
「本当ですか?ありがとうございます」
とたんにウキウキしだす副官を、日番谷は少しあきれながら眺めた。
「そんなに嬉しいか?」
「ええ、だって皆でお酒が飲めるし…」
「それかよ!」思わず笑って日番谷は言った。
「じゃあ仕事は倍速で片付けていくんだな」

聖霊廷から少し離れた、景色の良い山の上にある幽仙閣。
大きな露天風呂をいくつも抱えた風格のあるこの建物は、雅で落ち着いた姿を見せていた。
磨きこまれた板張りの広々とした玄関に乱菊が到着すると、奥からパタパタと走ってくる音がして
「乱菊さぁ〜〜ん!!」と明るい声が響く。
五番隊副隊長の雛森桃は子犬のように乱菊に駆け寄ってきた。


「あら桃、早いわね。集合時間にはまだ間があるんじゃないの」
「はい、藍染隊長が朝からお休みくれたんです。わたしもうお風呂入っちゃいましたよ」
雛森桃はくるくると乱菊の周りをまわりながら。
「すっごく気持ちいいんです!乱菊さん、後で一緒に入りましょうよ」と誘う。
「いいわねぇ、一緒に入ろ、桃」
そんな話をしている二人の後ろで、トサッっと荷物を置く音がし、
「遠すぎますよ、ここ」と不機嫌そうな声がした。
「あっ七緒さ〜ん!お疲れさまです」
「お疲れさまです、雛森さん、松本さん」
「良かった、来たんだ伊勢。来ないかと思ってたわよ」
伊勢七緒は嬉しさを隠しているような複雑な表情を浮かべて
「私は仕事があるからと言ったんですが、京楽隊長が絶対行かなきゃダメだよと…」
「いい隊長じゃない。じゃ、一緒にお風呂入ろうね」
と誘う乱菊に、七緒はなぜか真っ赤になってぶんぶんと手を振る。
「わ、私は……!」
「乱菊さん七緒さん、こっちこっち来てくださ〜い。ほらここ浴衣、好きな柄の選べるんですよ〜」
雛森が呼んで、ふたりは同時にそっちを向いた。
「そう言えば桃、あんた可愛いの着てるわね」
「たくさん…ありますね…あら、これなんかちょっと…」
さっそく、浴衣選びに夢中になる3人。
そこへどやどやと更に到着する面々は、四番隊副隊長の虎徹勇音と十三番隊三席の虎徹清音の姉妹
そして同じく十三番隊三席小椿仙太郎である。
「本当にいつも妹がお世話になって…」
「いや、とんでもありませんです!お姉さん!!」
「こら、あたしのお姉ちゃんに馴れ馴れしいぞ!大猿ごりら」
「なんだと、豆鼻くそ」
「なにぃ」
「やめなさいっ、清音」

その騒ぎに「あらぁ、勇音ちゃん。それに十三番隊の……」と乱菊が声をかけると
「あっっ、お疲れ様でありますっ松本副隊長殿っ。それに五番隊、八番隊副隊長殿っ」
清音が姿勢を正して挨拶をすると、仙太郎も
「わ、我々は浮竹隊長のご温情によりまして特別に参加を許されたわけでありましてっ」
と堅っ苦しい敬礼をする。
「そう良かったわね。よろしくね。それと清音ちゃん、ここでは肩書きは無し、ね。」
「はいっ松本さん」

「やっほ―――!」
とそこへ、さらに騒々しく到着した一行。
「あっ、やちるちゃん」と雛森。
「それに斑目に弓親まで」と乱菊。
「おうよ、松本」「お疲れさまです。皆様」
一角は乱菊の側に来て「お守りだよ、お・も・り」と、ほとほと参ったという顔だ。
「やっほ、ぴよぴよ。それからおっぱいにつんつんめがねにかまちゃんに男女に変な顔」
「ぴよぴよ……、この前はももももって呼んでたよね、やちるちゃん」と雛森。
「ぎゃははは、変な顔ってお前の事だぞ仙太郎」
清音が指を指して仙太郎を笑うと
「てめぇだって男女って呼ばれてるじゃねえか」と言い返す仙太郎。
「かまちゃんって何だろう。かまちゃんて」と悩む勇音。
乱菊と七緒は無言。
散々騒いだ挙句それぞれの部屋に引き上げて、やっと静かになったのであった。


ちなみに部屋割りは次の通り。

ふたり部屋
(松本乱菊・伊勢七緒)(雛森桃・草鹿やちる)
(虎徹勇音・虎徹清音)(吉良イヅル・阿散井恋次)
(射場鉄左衛門・檜佐木修兵)

ひとり部屋
(大前田希千代)

3人部屋
(斑目一角・綾瀬川弓親・小椿仙太郎)

不参加は一番隊と十二番隊。
【ネムを選択した場合、別ストーリーに移行】



夕食まで間があるので、早く着いたものは辺りの散策に出かけたり、部屋でのんびりしたりと自由だが
なんと言ってもここの売りは五つある大きな温泉露天風呂。
二つはそれぞれ男湯と女湯で、後の二つは男湯と女湯が時間ごとに交代になり、最後の一つは混浴である。
五つとも泉質も違い、滝があったり、渓谷の眺めが良かったりと趣向が凝らしてある。
一息つくと乱菊は、雛森そして嫌がる七緒を説得して3人でお風呂に向かった。

「まったく伊勢ったら、何タオル巻いて入ってるのよ」
「タオルは別にいいと思いますけど、七緒さん…めがね…」
「だ、大丈夫よ雛森さん、曇り止めつけてありますから」
「取れ、めがねもタオルも!」
「きゃあ、何するの!松本さん」
「おふたりとも、お湯の中で暴れないでください」
「わ、私は何も、て言うか胸を見せつけるのやめてっ」
「あんたがおとなしくしないからでしょ!」
「めがねが無いと見えないんです!」
「嘘をつけっ伊達でしょ、藍染隊長だって伊達なんだから」
「え、うちの隊長、伊達めがねなんですか」
「え、知らなかったの、桃」
「知りませんでした。…なんで乱菊さんは知ってるんですか?」
「なんでって…、じゃ、藍染隊長のめがねを取った顔見た事は……」
「ないですよ〜〜!!」
雛森が怒って、乱菊は笑い声をあげる。
そう、この時彼女は知るよしも無かった。
この平和な副隊長交流会のなかに、思わぬ落とし穴が待ち受けていようとは。


大広間に豪華な食事が用意され、宴会が始まった。
檜佐木、阿散井、射場、吉良、大前田等も顔を揃え、和気あいあいと盛り上がっている。
「豪勢だなァ、中央の奴等はよくココを使ってんだろ。」と檜佐木修兵。
「俺たちにゃ縁がねぇ所っスよねぇ、ちっ連中いっつもこんな贅沢してんのかよ」
と隣で阿散井恋次も相槌を打つ。
「まぁまぁ檜佐木先輩、阿散井くんも、そう言わないで、折角ですから楽しく飲みましょうよ」
吉良イヅルは二人に酌をし、なだめつつチラッと離れた場所にいる雛森のほうに目をやった。
彼女は横に座っている乱菊や七緒と楽しそうに笑っている。

「…でね、シロちゃんは絶対負けるのが嫌いなんです。
 それでその時も高下駄はいてかけっこして、転んで血がだらだら出てるのに、もう一度勝負だっ!って
自分よりずっと大きい子たち相手なのに」
「ふふっ隊長らしいわねぇ、そんなちっちゃい時から」
「全然変わっていらっしゃらないんですわね。日番谷隊長」
「変わってないですよ。相変わらず口悪いし〜」

名前と同じになんて可憐なんだ、雛森君………

「おい、イヅル」
いきなり恋次に呼ばれて、イヅルはあわてて振り返る。
「ぐずぐずしてねえで、ガッといけ、ガッと」
「な、何のことですか? 阿散井君」
「とぼけんなよ。雛森だよ。チャンスじゃねえか」
「僕はっ、そんなことっ…」
赤くなって口ごもるイヅルに、恋次はやれやれ…とため息をついた。


乱菊が勇音にお酌をしつつ話し込んでいると
席を外していた一角と弓親が宴会場に戻ってきて、乱菊を手招きする。
「なあに、斑目」
「わるいな乱菊、俺んとこの副隊長見なかったか」
「やちるちゃん?そう言えば見ていないわ。いないの?」
「散歩に行って来るって飛び出してったっきり、帰ってこねえんだよ」
「迷子になってないかと心配なんです」
と弓親もため息を吐いて首をふる。
「そうか、わかった。あたしも探すの手伝うわ」
「いや、そんなつもりじゃねえ。いいから飲んでてくれよ。俺たちだけで大丈夫だから」
「そお?じゃ女湯の中だけでも捜してあげる。逆上せてるのかも知れないしねぇ」
「そうだなぁ、じゃあ頼む。すまねえな」
「いいって」
手をひらひらと振って乱菊は宴会場を出、露天風呂に向かった。


内湯や露天風呂を一通りのぞいてみたが、やちるの姿は見当たらない。
ついでに庭も探してみようと、ひとり庭園の中に足を踏み入れ、歩き回っていると。
「おや、十番隊の松本さん、おひとりですかァ」
と、後ろからざらついた大声が乱菊を呼びとめた。
振り向かなくても誰だか分かり、密かに眉をひそめる。大前田希千代二番隊副隊長。
乱菊はこの男が苦手なのだが、何気無いふりを装ってゆっくり後ろを振り向いた。
「これは大前田副隊長、宴会場にいらしたのでは?」
「すこし、酒を冷まそうと思ってねぇ、ちょうどいいや、どうです一緒に散歩でも」
「いえ…」
「話しときたいこともあるんでねえ。おたくの隊長さんとうちの隊長の事で」
「え、隊長がなにか?」


乱菊が大前田の話に耳を止めたのは、普段から二番隊と十番隊の仲が気になっていたからだ。
貴族出身の砕蜂や大前田は、流魂街出の日番谷や乱菊への侮蔑を隠そうともしないし
日番谷も、二番隊のやりかたに日頃から反発していた。
二人の隊長は隊首会で会っても、口をきくどころか目も合わせない状態なのだ。
乱菊もさすがにこのままではまずいとも思い始めていた。
「砕隊長との間になにかあったのですか?」
「そうでさぁ、ことの発端はこいつでね」
大前田はにやぁと口の端を歪めると、懐から取り出したものを乱菊の前にぶら下げた。
長めの銀鎖のついた懐中時計である。
「これが何か?」
「よく見てくださいよ。見覚えありませんかぁ」
疑問に思いながらも乱菊は、目の前で小さくゆれる懐中時計の紋章に目を凝らした。
「よおぉく、見てくださいよ。よぉぉく」
どこかで見たことがあったかしら…この紋章は…
時計の刻むカチカチという音が急に大きくなったように感じられる。
「揺れるので、よく…見えないわ…」
「時計は揺れてませんぜ。揺れてるのはあんたの方」
「あたし…?」
「ぐらぐら揺れてますぜ。大揺れだ」
ぼんやりと時計を見つめながら、乱菊の上半身が大きく揺れはじめている。
「酔ったんじゃねえですかい、酔ったんですよ。眠くありませんか」
「揺れてるわ……酔ったのね……なんだか眠い…」
「ひどく眠そうですぜ。瞼が重くて…ほら、もう、開けてられない」
「開けてられないわ……」
乱菊は目を閉じた。
「ぐっすりおねんねしなさいよ、十番隊の副官さん」
ゆっくりと崩れ落ちるように膝から力が抜けた。
大前田はその乱菊の身体を軽々と肩に担ぎ上げ、懐に懐中時計をしまう。
「さてと、ここは落ち着かないから俺の部屋に行って話の続きをしましょうぜ……じっくりとねえ」
歪んだ笑みを浮かべると、足音を忍ばせて大前田は庭園の小道を戻っていった。
完全に意識を無くした乱菊を肩に乗せたまま。






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