―――   水色×美諭  著者:3_38様   ―――



ボクの名前は小島水色。15歳。高一。
ボクは今、本気で困っている。
こんなことは初めてだ。たいがいの事は自力で何とか乗り切ってきた。
本気で困ったことなんて無いんだ。

でも今ボクは自分ではどうしようもない事態におちいっている。

好きな人ができたんだ。
その人の名は浅野啓吾。
の理由ないだろう、ここはやおい板じゃないよ。
その人の名は『みさと』さんという。
このボクが初めて本気で好きになった人だ。

彼女の年はだいたいボクの10コくらい上。
外見は、うーん実はあまり好みのタイプとはいえない。
ボクはどっちかといえば綺麗にしているおねえさんが好きなんだけど。
彼女はいつもジャージを履いて、髪は無造作にひとつに束ね。
縁なしメガネをかけて、ほとんど化粧もしていない。
え?どっかのTVドラマの啖呵切る先生に似てるって?
あはは、そうだね。でもメガネを外してもあんなに美人にはならないよ。
でもキミはいい所に気がついた。彼女の仕事は教師なんだ。
越智美諭。
ボクのクラスの担任の国語教師だよ。

きっかけは啓吾との軽い口喧嘩だった。
もちろんボクが悪いのさ。啓吾が悪いことなんて一度だってないからね。
その朝、ボクは機嫌が悪かった。
ボクの母親が生活費も学校へ入れるお金も渡さないまま、何日も連絡が取れないんだからね。
しかたなくボクはつき合っている彼女のところに行ってお金を借りた。
ごめんってボクは彼女に言った。ごめん必ず返すよ。
すると彼女は煙草の煙を吐き出した唇の端をあげてこう答えた。
そうね、水色。じゃあ10年後に返して。
こんなことが一度や二度じゃないんだ。
たぶんボクは10年後、彼女の居所を知らないだろうし。彼女だってそうだろう。
お互いに分かってるんだ。そんなことは。

そんな感じだったから、啓吾がいつものようにモテヒエラルキ-がどうのこうのと絡んできた時に、
ボクは直球で反応を返してしまった。
「そんなにもてないよ。だいたい同い年や年下からもてたことはない」
「それは暗に年上にはもてると言ってるわけだな、ちくしょう!」
「ああ、そうだよ。年上にはもてるよ。だからなんだい」
「その傲慢な物言い!神様、こいつに罰を当ててください!」
啓吾が喚いてボクにヘッドロックをかけてくる。
「しかたないだろう、年上にしかタたないんだから」
「な、何?!」
言っておくけど、ボクが啓吾をからかって楽しんでいると思うのは誤解だよ。
楽しんでいるとしても、ほんのわずかだ。ボクはこの友人が好きなんだから。
「ぐっぞぉぉーー!お前なんか、ボロボロにふられて、その自信をへし折られてしまえばいいんだ!」
「残念だけどその希望には添えないね。年上に関してはボクはパーフェクトだ」
「じゃあ、じゃあ、あれならどうなんだ」
ちょうどその時、廊下の向こうから歩いてくる彼女を啓吾は指さした。
「どうだ水色、あれは無理だろう。ざまあ見ろ」
先生をあれ呼ばわり?そっちの方がびっくりだよ。啓吾。

きっと啓吾には、先生は先生であって、決して女の子には見えないんだろうな。
ボクが『無理です』と言うと啓吾は確信している。
先生はボク達に気がつくと「浅野、小島、授業はじまるぞー」と暢気な声をだす。
教室に入ってゆく先生を見送りながら、ボクは啓吾に言っていた。
「10日でおとすよ」


学校からの帰り道。啓吾は自分が言い出したくせに、やけにそのことにこだわっていた。
「おとすって、水色。それは、その…、先生とキ、キスするとか…、そう言うことか」
「キスで終わったら、板違いだろ? ここをどこだと思ってるんだい?エロエロな展開を期待しててよ」
啓吾は黙ってしまった。
妙に気遣うようにボクをみて、「ま、どうせ無理だけどな」そう言って、この話は終了。
あとは毎度の馬鹿話をしながら帰った。
啓吾の中では終了しても、ボクはこのプロジェクトに以外に乗り気になっていた。
まず、彼女ともっと親しくならなくちゃ。
実はボクは学校の勉強には全然興味が持てないんだけど
部活もやってないし、スポーツもさほど好きじゃないんで暇なんだ。
それでその時間を資格をとる勉強に費やしていた。
今は気象予報士の資格をとろうとしている。なりたいわけじゃないけど、暇なんで。
先生にこの勉強の相談に乗ってもらおう。一石二鳥、いい考えだ。

次の日学校で、ボクはさっそく職員室を訪ねる。美諭先生は自分の机の前に座っていた。
「どうしたぁ、小島」
「教えて欲しいとこがあるんです」
気象予報士の資格試験の参考書をさしだすと、先生はあきれた顔をした。
「お前、こんな事をやっているのか、へえ。科学の田中先生に聞いたほうがいいんじゃないかな」
「法令とかに読めない漢字や意味があるので、お願いします」
どれどれ、と美諭先生は本をのぞき込む。
「ここです」
「ああ、じゃ読むよ」
先生が読み上げてくれている間、ボクは先生の形のいい耳を見ていた。
肌は健康的な色をしていて、張りがあって、化粧はたしかにいらないし、似合わない。
うなじは細くて女らしい。先生を女として観察したことなんてなかったから今まで気がつかなかった。
「あと、どこ?」
「あ、ここです」
ボクの指は先生の手にふれる。身長はボクより5センチ位高いのに、手は小さいんだ。
すぐ、手を引っ込めないで、すこし長く触れていた。先生の体温が伝わってくる。
読み終わると彼女はニコッと笑い参考書を閉じて、ぽん、とボクに返してきた。
「どうも。またよろしくお願いします」
「ああ、そうだ、小島」
帰りかけたボクを先生は引き止める。
「サブ・テキスト代のことなんだけど……」
「昨日支払いました。遅くなってすいません」
「あ、そう、それならいいんだけど……、…大丈夫なの?」
何がですか。いつものボクならそう切り返したのだけど。
「大丈夫です。ありがとうございます」
微笑んでそう言った自分自身にかなり面食らっていた。

夜、ボクはつき合っている彼女に呼び出される。
「水色、ヒマ?」
「暇だよ。酔ってるみたいだね?」
「う〜ん、もうダメ、迎えにきて」
「いいよ」
電車を乗り継いで、指定されたクラブにいってみると、彼女は4・5人の女友達と騒いでいて、かなり出来上がっていた。
友人の中には知った顔もあった。どうも、と挨拶をすると、知らない顔の友人の方がきゃあきゃあといってボクを取り囲む。
「この子が水色くん?かわいいー」
「やだ!いったいどーゆー関係なのよぉ」
「ペットですよ」
「ペットなの!私も飼いたい〜」
頭や身体に伸びてくる手をかいくぐって、ぐったりしている彼女に近づく。
「立てる?」
「立てない」
手を貸して立ち上がらせる。彼女は歩けないわけじゃない。甘えたいだけなんだ。
ボクみたいな子ども相手にそれをやるのは、自分があくまで優位なのだというプライドを保つためだろうか。
彼女にはボクが必要だし、ボクにも彼女が必要だ。
需要と供給。それがボクらを結びつけている。
タクシーに彼女を乗せて行き先を告げようとすると、綺麗に磨きあげた爪の細長い指がボクの手をつかむ。
「帰らないわよねぇ水色。一緒に行くわよねぇ」
「しょうがないなー。今日だけだからね」
もちろん、今日だけなんて事はない。毎度のことさ。
彼女のマンションに帰り着くと、ベッドに倒れ込む彼女の服を脱がせ、身体中に口づけを落としていく。
彼女がどんな状態でも、ボクはちゃんと勃起する。若いからね。

次の日は土曜日で学校は休みだった。
彼女は仕事があるといって、二日酔いの頭をかかえて出かけていった。
音楽を聴いたり、本や写真集を眺めたりして午後までのんびり過ごしていると携帯がなった。
「水色!あんたいったいどういうつもりよ!」
母親からだった。
「先生を寄越すなんて! いやがらせなの?!二度としないで!!」
いつも一方的だ。そして強制的に終わる。どう思う?これって。
でもなに?先生だって?


「先生、ボクの母親に会ったんですか」
けだるい月曜日の朝、ボクは美諭先生を捉まえて訊いた。
「職場に電話をかけて会いに行った。迷惑そうだったけどな」
職場…、ボクも電話番号は知っていたけど、中学1年の時電話して、猛烈に怒り狂われた経験から二度とかけないと誓っていた。
「授業料やその他の費用。一括して先に払うっていってたから、もう心配ない」
複雑な思いだった。
「そうですか。ありがとうございます。でも先生がそこまでやるとは思わなかったな。けっこう放任主義だと思ってたから」
「親や教師が子どもの面倒をみるのは当たり前のことさ」
ボクの皮肉は通じないんだろうか。先生に腹が立った。
ボクはニッコリと笑って言った。
「じゃあ面倒をみてください。コンビニ弁当は飽きました。先生の手作り料理、食べてみたいな」
先生はいつもと変わらないのんびりした顔で、ボクを見た。
「んーー、たいしてうまくもないけどな。遅くても構わないなら食べにおいで、なんなら浅野や他の連中も誘って」
すこしばかり、あっけにとられて、それから笑えてきた。
「ほんとに行きますよ」
放課後、帰ろうとするボクに先生は住所と電話番号を書いたメモを渡してくれた。

啓吾が知りたがっているもてるコツなんてものはないんだけどね。
でも、ボクが女の人とつきあううえで心がけているのは、時間を置かないってことだ。
押せると思ったときは押す。あとは少々ずるいこと。
いい人なんて思われたら終わり、ぐらいに思ってちょうどいいよ。
だからボクはその日のうちに行動を起こした。
19時頃電話をかけて、行ってもいいですか?と聞くと先生はちょっとあわててた。
「あ、今日か。うん、まあ、いいや。何人で来る?」
「心配しないで、ボク一人ですから」
1時間後、ボクは飲み物やらお菓子やらを入れた袋を下げて先生のアパートの居間にいた。
考えてみると、一人暮らしかどうかの確認もしてなかった。
でも、そんな事はどうでもいいんだ。これは仲良くなる為のプロジェクトだから。
別に押し倒そうってわけじゃない。体格的にも無理だしね。
狭い部屋はいつもの先生の感じより、ちょっと女らしかった。小物とか、カーテンの柄とか。
「きれいにしてますねー。やっぱりボクの部屋とは大違いだ」
「ひとりだからー、散らかさないようにしてればそんなに掃除もいらないし」
夕食はカレーだった。
「カレーは好きだったかな」
「好きですよ。自分でもよく作ります」
「今日はちょっと準備する時間がなかったから」
と先生は言い訳をする。
「じゃあ明日は期待していいんですね。嬉しいな!いただきまーす」
有無を言わせずボクは明日の約束を取り付け、カレーを口に入れた。
先生と二人で食べるカレーは、いままで食べたどのカレーより美味しかった。

その日から、ボクは毎日先生の作った夕食をご馳走になった。
少しずつ、夕食の後長居する時間をふやし、先生といろんな話をした。
先生の学生の時の話とか、旅行の話とか、好きなテレビ番組とかいろいろ。ボクのことも話した。
「先生、彼氏はいるの?」って訊いたのは4日目だ。
「いないっ」
美諭先生は豪快に笑ってみせた。
「なんで、好きな人いないの?」
「うーん、前はいたけどね、ふられた。ははっ」
「美諭先生をふるなんて、その男のひとはバカだね」
「女らしくないからね、わたしは。男同士の友情みたいになっちまう」
「目が付いていないんだよ。その人」
あははっ、っと、また先生は笑い
「いい子だね、小島は」
そう言いながらボクの頭をくちゃくちゃっと撫でた。
子ども扱いしたね?先生。何て先生は分かりやすくて、面白いんだろう。
学校で生徒を子ども扱いするところなんて見たことない。
やりたいようにやらせてくれるし、美諭先生と生徒の関係は立場の違いはあっても対等だ。
先生はボクらにそんな風に感じさせてくれる教師だ。
でも、今、先生はボクを子ども扱いした。
この変数はどう作用するんだろう、ねえ、みさとさん?


出来事は金曜日の夕方に起こった。
いやそれはもっと前から起こっていたんだ。
ボクはこのことを、どこかで予想していたと思う。
でも、実際に起こると、それはかなりの衝撃でもって僕をおそった。
学校から帰ってボクは、自宅のマンションに一歩足を踏み入れ、その場でぽかーんとした。
見慣れない風景が広がっていた。最初に目に飛び込んできたのはリビングの窓ガラス越しに外に広がる風景だった。
つまり玄関から窓までにあるすべての物が消えていた。
ソファーもテーブルもテレビもカーテンも一切合財だ。
敷き詰められたベージュのカーペットを踏んでボクは中に入り、口を開けたまま周りを見渡した。
キッチンにも見事に何もない。
母親の部屋を開けると、空ろな四角い空間が広がっていた。
嫌な予感がして、自分の部屋を開けてみた。
ボクの使っているベッドも、ふとんも、机も、本棚もCDコンポも無くなっていた。
部屋の中央にダンボール箱が積み上げられていて、ボクの私物や服はどうやらその中らしい。
箱の上に銀行の袋が置いてあって、中を確かめると10万円入っている。
手切れ金のようだとボクは思った。せめて封筒にいれてほしいよ。
インターホンで管理人室に電話した。部屋の賃貸契約は明後日までだという。母親の行き先は不明だった。
緊急事態だから職場にも連絡した。あの人は仕事も辞めていた。
「シュールだなぁ」
あまりに徹底的なやりくちに可笑しくなる。
男と逃げてボクを捨てたんだね。ついに完全に。おめでとう。
ボクは笑うのを止められなかった。

その晩、ボクが先生のアパートのインターホンを鳴らしたのは23時近かった。
一度目で返事がないので、二度三度と続けざまに押した。
ガチャっとドアが開かれる。先生は湯上りだった。
「どうした小島、今日は遅かったんだねえ」
ボクは笑おうとしたんだけど、今度は上手く行かなかった。
「学校……やめることになるかもしれません」
そう言った途端に涙が落ちた。
「母がいなくなった」
それ以上は言葉が出なかった。
「よし、よし」と先生がボクの背中を叩く。固まりのように熱いものが胸をせり上がってきて嗚咽した。
「入れ。ま、とにかく入れ。腹は減ってないか?」
抱きかかえられるようにして居間に入った。質問にボクは首を横に振る。
「いなくなったって、行き先は? 携帯は通じないのか? 職場は?」
ボクは全部に首を振った。
「そうか、水色、おまえ風呂入れ」
「え?」
「風呂にはいれば落ち着くし、いい考えも浮かぶさ」
先生は着替えとバスタオルを持たせて、ボクを強制的に風呂場に押し込んでしまった。
そういえば、まだ制服のままだ。服を脱ぎながら力が抜けていくのを感じた。
確かにお風呂はいい精神安定剤だ。
先生のTシャツとジャージを借りて居間に戻る頃には、泣きたい気持ちは飛び去っていた。
先生はボクの前にハーゲンダッツの500ml入りのアイスクリームをそのまま置いて、大きなスプーンを
手渡してくれた。
泣いてる子どもをなだめるやり方かな?
ボクは機嫌よく、あっという間に半分を平らげてしまった。

今日起こったことをぽつりぽつり先生に話すと、真剣な表情で聞いていてくれた。
「学校をやめる事は、前にも考えたことがあるんです。ボクは早く働きたい。高校を出なくても生きていく方法はあるはずだ」
「そうだね、小島ならやっていけると思うよ。だけど、そんなにあせる必要もない。ゆっくり考えればいい、納得いく道を探せばいい。」
先生の声は優しく、耳に心地よかった。
「明日は一緒に動こう。いろいろやることがあるよ。早起きしなくちゃなー」
先生は立ち上がって、居間の真ん中を片付け始めた。
「ほら、自分のふとんくらい自分で敷けー」
戸惑いながらボクは先生が押入れから出してくれるふとんを居間の中央に敷きはじめた。
押入れのある居間の隣の部屋には、もう先生のふとんが敷かれていた。
いつも先生はここで寝ているんだなぁとか、そう言えば玄関の戸を開けてくれた先生はメガネかけてなかったなぁとか、髪下ろしてるとかわいいじゃんとか、ウエスト細いな、お尻小さいなとか
とっても先生には聞かせられないことばかり考えながら
歯ブラシも借りて歯を磨き、ふとんにもぐりこんだ。
「おやすみなさい」
「おやすみー」
先生は居間の明りを消して自分の部屋に入り、襖を閉めた。

時計の秒針が微かな音を立てている。
カーテン越しに外の街路灯の光が、部屋の中を薄明るくしている。
身体はとっても疲れていて眠たいのだけど、頭のどっかが冴えてボクを眠らせなかった。
30分位うつらうつらしていると、襖をそっと開けてパジャマ姿の先生が出てきた。
忘れたことでもあったのか、浴室の方へ行って何かやっている。すぐ戻ってきた。
部屋に入ろうとしてこちらを見て、様子をうかがっている。ボクは寝たふりをしていた。
近づいて来て覗き込んで髪にふれた先生の指を、ボクは手を出してやわらかく握りしめた。
「うっ、わっ、おどろいた。起きていたのか」
「お腹が空きました」
「え?あ、そうか、カップ麺とかあったかな」
「そんなもんじゃ足りませんよ。晩飯食べてないから」
ボクは先生を引っ張って、ふとんの上に仰向けに倒してしまった。
「すごく空いてるんです」
上になって先生の唇をすばやく奪った。心臓はめちゃめちゃに打ち鳴らされていた。

興奮のあまり手が震える。パジャマのボタンを外そうとしてもうまくいかないので、ボクはパジャマの上着を裾から捲り上げて、先生の胸を剥き出しにした。
すごくきれいな胸だった。ボクはいきなり頂点に吸い付く。こんな乱暴なやり方をしたのは産まれて初めてだ。
頭の中心がしびれてジンジン鳴っている。いろんな音が遠くなる。
乳首に軽く歯を立てながら、パジャマのズボンに手を入れ、薄い下着の上から三角の中心を擦った。
乳雲を舌で掃くようにしてビロードの感触を感じ、ボクの口の中で乳首が固く立ち上がるのを感じ、下着の中心が濡れてくるのを指の腹で感じる。
下着の上からクリトリスを擦りつづける。先生は声を殺して荒い息をつく。耐え切れないように何度も何度も喉をのけぞらせる。
邪魔なパジャマのズボンを引き降ろし足首からぬいて、開かせた足の間に膝立ちになった。
ジャージを脱いで覆い被さり、ブリーフのなかの高まりを下着越しに先生に押し付けた。
それだけでいきそうになる。
下着のすき間から指を入れて、潤んでいる花びらを開く。
熱い入り口を見つけてすこし強引だとはわかっていたけど指を2本埋め込んだ。
先生が長い長い息を吐く。深いところで指をうごかすと、おもしろいように腰が踊った。
もうだめだった。限界だった。ボクの下着の前も、先走りで濡れていた。
「先生……、先生のなかにはいりたい! でもゴムがないんだ…」
ボクは肩で息をしながら待っていた。
先生がコンドームを持っている可能性もある。持っていなくても、外だしでいいって言ってくれないかなんて、むしのいいことまで考えた。
でも先生も汗ばんだ胸を上下させながら、何も言わなかった。
続けられない。
それを受け入れるのはとても苦しかった。
「水色…、一緒に眠ろう……」
美諭先生のやさしい声が、ボクの身体を撫でていく。
並んで横たわると腕を伸ばしてボクの頭を抱きしめた。
石鹸の匂いと、汗の匂いが、甘くボクを包み込む。夢みたいにボクは幸せな気持ちになり、目を閉じた。

包丁のリズムカルな音で、目を覚ました。
「あー、起きたー?顔洗ったらふとん片付けて。すぐごはんだよ」
台所から先生がいつもの威勢のいい声で呼びかける。
洗面から戻るとふとんは隣の部屋に乱雑に放り投げられてあり、居間の真ん中のテーブルの上には、温かい朝食が並んでた。

ボクと先生は食べ終わるとすぐに動き始めた。
結論から言うと、ダンボールに書いてあった引越業者の線から母親の居所はあきらかになり、親戚も巻き込んで、きちんと約束を取り交わすことができた。
ボクが高校を卒業するまで教育費と生活費の責任を持つという事だ。
二度とあの人と同じ家に住むことはないだろうけどね。
ボクは単身者用のマンションに引越し、アルバイトも始めた。
卒業した後、どうやって生きていくかの計画も練り始めた。
先生のことも含めてね。

あの時最後までいかなくてよかったと思ってる。
卒業したらボクは先生をみさとさんと呼ぼう。
それまでは、あくまで先生と生徒だ。
そう思ってる。
そう思ってはいるんだけどねー。
困るんだよ。がまんできるかどうか
ほんと怪しいもんなんだ。

そう言えば、騒ぎが一段落した頃、啓吾に言ったんだ。
先生はおとせなかったよってね。
彼の口から出たのは『ざまあみろ』じゃなかった。
あのなんだか宗教画の天使みたいな笑い方で
『そりゃよかった』だってさ。




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