―――   京楽×七緒  著者:3_223様   ―――



「あ、」

隊長が不意に声を上げた。

「御覧、雪だよ」

ああ、きっと、障子戸の隙間に向けられた隊長の目には、しんしんと降り積もる牡丹雪が見えているのでしょう。

けど。

「このっ、ぁ‥状況で‥‥どうやって、ン、見ろ、とおっしゃるのですか‥っ」

今の私に、それを御覧とは、酷な話。
私よりも体格も力も上の隊長に押し倒されて、それに、胎内を苛む熱に意識を持って行かれない様にするのが精一杯なんです。

「んー、其所を何とか」
「何とか、じゃ、ありませっ‥‥ア!」

こんな時でも、隊長は動きを止めてはくれなくて、時折、奥の奥を狙った様に突き上げる。

「あは、良い声だね」

もっと聞かせてよ、と低い声で囁かれるだけで、頭がどうにかなってしまいそう。
決して口に出して言う事はないけれど。

「‥‥‥莫迦ッ」
「そうだねぇ、だって七緒ちゃん相手だもの」

くすくすと笑う隊長にしてやられた気がして悔しくて、私はせめてもの反抗とばかりに視線を逸らし、きゅっ、と唇を噛み締めた。

「でもそれはそうと、この雪は七緒ちゃんに見てもらいたいなぁ」

ううん、と頭上で唸り声がした後、ぐるり、と視界が回転した。

「‥‥‥ひっ!?」

隊長の熱をより深くまで咥え込まされる。
私の肩に添えられていた手は両の膝裏に、背中には隊長の厚い胸板が当たり。
そして障子戸の隙間から見えるのは一面の銀世界。

「綺麗、でしょ?」

隊長はそう満足げに言うと、私の項をべろりと舐め上げて、緩やかだった動きを激しいものへと変えていった。

「はっ‥‥ぁ、うンっ」

ぐちゅりぐちゅりと滑った音が次第に大きくなっていく。
こうなってしまうと、もう漏れ出る声を止める事は出来ない。

「あっ‥は、ふぅっン、ゃ、たいちょっ‥!」
「どうしたの?」
「‥もっ‥‥だめぇ‥っ!」
「‥‥うん、僕ももう限界」

そう声が聞こえたかと思うと一番奥を強く抉られて、私は情けない悲鳴を上げながら、視界に写る白銀に意識が蕩けていった。

***

「七緒ちゃん、大丈夫?」
「これが大丈夫に見えますかっ‥‥!」

声を張り上げても掠れた声しか出ない。
翌朝、私は見事に風邪を引いてしまった。
障子戸を開けたままの室内に裸でいれば当然の話だけれど、

「何で七緒ちゃんだけ引いちゃったんだろうねぇ」

何で隊長はぴんぴんしているのでしょう。

「‥何とかは風邪を引かないと言いますでしょう?」
「ぅわっ、酷いなぁ七緒ちゃん」

言っている事とは裏腹に、隊長の表情はへらっ、と緩んだ。

「ま、今日はゆっくり休みなさい。最近、休暇も取ってないでしょ?」

溜まった仕事は僕がやっておくからさ。
そう言って隊長は、私の頭に手を置いた。

その仕事を溜めたのはどなたですか。
その言葉は喉の奥に飲み込んで、私は布団に潜り込むと、未だ降り続ける雪へと視線を移した。


おわり






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