――― 藍雛 著者:3_126様 ―――
「た‥‥隊、ちょ‥」
さっきまでは、胸が一杯だった。
死んだ筈の藍染隊長が生きていた、ただそれだけで、今までの辛く苦しい事なんて全部消し飛んだ。
久しぶりに会った隊長はやっぱり優しくて、涙が止まらなかった。
それなのに。
「ああ‥‥やっぱり予想通りだね。ちょっとした意外性も期待してはいたんだけど」
そう言った藍染隊長の手から、黒い布がはらりと舞い散る。
それと同時に、あたしの肩から死覇装の、残りの切れ端が音も無く床に落ちた。
「もう少し経てばきっと上物なんだろうけど、この際そうも言ってはいられないからね。それにこれでも十分悪くない」
「嫌やわぁ藍染はん、ホンマに趣味の悪い事で」
「自分の部下を尽く手籠めにしている君には言われたくないよ、市丸」
「仕方無いですやん、そうでもせんと溜まるモン溜まってしまいますやろ」
けらけら、と狐の笑みが遠くに聞こえた。
「ああ、分かっているだろうけど、君は手を出さないでおくれよ」
「えぇーっ、上の口ぐらいえぇですやん、ボクかて一寸はえぇ目見たいですわァ」
「代わりに松本君を一晩貸してくれるのなら、考えるけれどね」
「‥‥アハ、それなら遠慮しときます。乱菊の乳に挟ますんはボクのんだけで十分やわ」
そうやって会話を交わしている間にも藍染隊長の手は止まらず動いて、気付いた時には腰帯すらも取り払われていた。
かたかた震える膝は収まらなくて、腕はだらん、と垂れ下がったまま言う事を聞かない。
「‥‥‥ひっ」
「‥さて雛森君、放っておいて済まなかったね」
藍染隊長はあたしの前にゆっくりと片膝をついて、いつもとは逆の位置からあたしを見つめる。
その顔はいつもの笑顔だけど、その奥にあるのは何か違う。
――――怖い!
「‥‥ああぁあっ!?」
恐ろしくて身を引こうとした瞬間、下半身が裂けるような痛みに襲われた。
今まで虚との戦いの中でも味わった事の無いような、強い強い痛み。
「‥‥ん、やっぱり処女だったようだね」
両足の間に突き刺された隊長の指を、生温い物が伝ってあたしの内腿を滑り落ちる。
「や‥‥やぁ‥痛、ぃ‥」
そのまま中を確かめる隊長の指が蠢いて、あたしは痛みに耐え切れなくなって隊長の肩を掴んだ。
「‥た、いちょぉ‥‥やめて‥」
さっきまでの羞恥はどこかへ行ってしまって、肉が引き攣れる痛みにあたしは隊長に必死に訴える。
―――っぷ、
その訴えが通じたのか、暫くしてあたしの中から何かが抜ける感じがした。
そうして目の前の隊長は立ち上がって、顔は見えないけど、きっと普段の隊長に戻ったんだと、そう、思った。
「藍染隊ちょ‥‥‥!!?」
一瞬、息が出来なかった。
差し込まれた指よりもずっと太くて固い物が、胎内に突き入れられている。
「‥‥っう、ぁ」
そのまま隊長は無言で、両足を肩にかけるようにしてあたしを抱え上げた。
唇どころか声帯までがわなわなと震えて、自由に言葉を紡ぐ事ができない。
「あぅっ、あ、ひぃあっ」
ぽたぽたと滴り落ちる血液を潤滑剤にして、隊長があたしを激しく揺さぶる。
耳朶にかかる隊長の息は少し荒くて、あたしはその感覚だけを頼りに意識を繋ぎ止めていた。
体の奥はどんどん熱くなって、それに比例して意識はどんどん朦朧としていって、頭の中がぐちゃぐちゃになっていく。
そのせいだったのかも知れない。
視界の端で何かがきらりと光ったのに、あたしは気付かなかった。
「さよなら、雛森君」
ドスッ
「‥‥‥ぁ‥?」
鈍い音がすぐ近くから聞こえた。
それと同時に、下半身にどろっとした物が溢れるのが、やけに生々しく感じられた。
「いやぁ、藍染はんも顔に似合わず随分とえぐい事しはるなァ‥‥それ、鳥姦と同じやないの」
ゆっくりと床が近付いてくる。
時間が酷く引き伸ばされた感じがして、隊長の手に握られた真っ赤な刀から飛ぶ血飛沫も、一つ一つしっかりと見えた。
「たい、ちょぅ‥」
何とはなしに伸ばした手の先には、藍染隊長の冷たい表情が見えて、すぐに辺りは真っ暗になってしまった。
その中でも触覚だけは何故だかまだ残っていて、遅くなっていく鼓動に合わせて溢れる血液の流れを感じながら、今度こそ本当に意識が遠のいていった。
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