―――   夜×砕 著者:847様   ―――



「シャオリン(梢綾)、もう休んで良いと言ったのに」
湯気のあがる褐色の身体にタオルをまとって、風呂場から出てきた夜一は
寝室の隅で控えている少女を目に留めると、あきれた声を出した。
「夜一様がお休みになられるまで、お仕えするのが私の役目です」
髪を真っ直ぐに垂らし、まだ幼さの残る顔立ちに生真面目な言葉遣いの少女は、夜一の裸に目のやり場を失い、少し頬を染めている。
それに仕事を離れ二人だけの時には、砕蜂という号ではなく梢綾と親しげに名を呼んでくれる事が嬉しいのだ。
「わかったわかった、言われなくてももう寝る。今日はほんとに疲れた」
大胆にタオルを放り投げると夜一は、大きな天蓋つきの寝台の上に倒れ込む。
「あ!」
投げられたタオルをあわてて受け取って寝台に近づき
「まだ濡れておられます」
と、うつ伏せの上官の背中の雫をそっと拭き取りながら、梢綾は自分の手が微かに震えているのを感じた。
憧れの人の無防備な肢体が目の前にある。
なんて美しいのだろう……
なめらかで光沢のある褐色の肌。引き絞られた背中の筋肉。くびれた腰、小さく盛り上がった尻。
そして足が何よりも梢綾は好きだった。
夜一はすでに半分眠りかけて、睫毛の長い瞼を閉じている。
「夜一様……筋肉の疲れをとる薬をお持ちしております。私に塗らせていただけますか?」
「ん?ああ、そうか…頼む…シャオ…リン…」
欠伸をしながら答える夜一。
梢綾はいったん自分の手の平に乳液状の白い薬剤をとって少し暖めてから夜一の背中にそれを塗り延ばした。
首筋、肩、上腕、背中と手を滑らせながらゆっくり揉んでいくと
「ぅう〜〜ん」
と気持ちの良さそうな声をあげた夜一は、やがてすーすー軽い寝息を立て始めた。

とろりと乳液を垂らしながら更にマッサージを続ける。
薬はしっとりと肌になじみ、すぐにさらりとした感触に変わって気持ちがいい。
胸が高鳴るのを覚えながら、尻に手を当てた。
円を描くようにゆっくりと揉む。
少女の顔は上気し、少し汗ばんでいる。
いきなり夜一の身体が動き、ごろりと寝返りを打って仰向けになったので、
梢綾は息が止まるほどびっくりし、手をひっこめて夜一の顔を見た。
眠っている。すっかり安心しきった顔をして。
「よ、夜一様?」
「すーすー」
全裸で大の字だ。
布団をお掛けして、下がらなければ…
そう思いながら今度は胸から目が離せなくなった。
「ま、前も、お揉みいたしますか?」
消え入りそうな声で聞く。
すーすーすー。それが返事。
白い液体をとろりと褐色の乳房にかける。指先でそっと延ばしていく。
盛り上がった山の頂きまで、そして頂上で小さくクリクリと回した。
「ん……」
一瞬小さな声がして、でもまた安らかな寝息
やめなくては、やめなくては、夜一様が気づいたら―――――
心臓ははげしく打つのに、美しく光る赤い実が欲しくて、それ以外の何もかもが頭から消えた。
そっと唇でついばんだ赤い実。蜂蜜のような肌の匂い。
夜一様!
今だけは私のもの!ここも、あそこも、すべて!

すんなりとした太腿が投げ出されて、足の付け根が露わだ。
起きていようが、寝ていようが、夜一はあまり行儀がよくない。
罪なことにそれが梢綾の思考を奪ってしまった。
本能のままに手を伸ばすと、ぷっくりとした丘の中心の裂け目をひらく。
褐色の肌の間から零れるように鮮やかな色がのぞく
花びらは薄い赤で、中心は鮮烈な赤で、小さな真珠も桃色に輝いていて……
秘部に顔を埋めそっと舌をだして、梢綾は真珠の先端に触れた。
身体が震え、自分のそこが熱くなる。
ぷちゅ
ぴちゃぴちゃ、ちゅちゅちゅっ
梢綾の舌は辺り一面を濡らして、吸って、味わって、踊るように動いた。
夜一様、夜一様!梢綾はもう死んでもかまいません――――

夜一の身体の奥から不意に女の匂いがして、愛液があふれでてきた。
寝息はいつの間にか止んでいた。
「シャオリン……」
戸惑った声が聞こえ、梢綾は弾かれたように動きをとめた。
ゆっくり顔をあげると、すっかり目を覚ましてこちらを見ている夜一と目が合う。
身体が凍りついたように動かない。
「ぉ…、お叱りは…覚悟のうえです……」
夜一は、真っ赤になって震えている少女をみて、小さくため息をついた。

「叱る気はない」
身体を起こし、ぼりぼりと頭を掻き、困惑した表情で目を逸らした。
梢綾が言葉も出せず、ただ茫然としていると
夜一はまたちいさくため息をつき
「梢綾、あそこにある箱を持ってきてくれぬか」と言い出した。
「は、はい」
寝台から降りて箱を取ってくる梢綾。
黒い蒔絵のついた美しい箱だ。夜一は開けてみよと命令する。
飾り紐を解いて箱のふたを持ち上げると、良い香りが漂い、中には赤い絹で包まれた黒光りするものが入っていた。
「夜一様…これは?」
「黒檀という木で出来ている。四楓院家に伝わる天賜兵装…の一つ、なのかな?これも」
「何に使うものなのですか」
「何って、見て解からぬのか? まあ、まだ初心じゃからのう、ほれ」
夜一はそれを箱から取り出して、直に梢綾の手の上に置いた。
しっとりとして滑らかな手触り、じっと見つめていた梢綾がぁっと小さな声をあげ顔を赤くする。
「遅いのぉ」フフッと夜一は笑い、
「ひと目で解かりそうなものじゃ、こんなに良い形に作ってあるのに」
からかうように梢綾の顔を眺め、
「男性器を模した物じゃな、四楓院家にもこんな物が伝わっておるのじゃ、儂も何故か気にいって手元に置いておいたしな。だから梢綾、ぬしのした事を気にすることはない」
夜一は梢綾のあごを指でくいっと持ち上げ、顔をあげさせた。
「それに気持ち良かったぞ」
悪戯っぽく光る美しい上官の瞳に魅入られて、少女はくらくらと目が回りそうになった。

「つけた…ことが…」
「ん?」
「……つけた事が御ありなのですか…」
「これをか? 一度もないが?」
「つ、付けてみてくださいっ」
うつむいて真っ赤になりながら梢綾は必死で言い。両手で握っていた物を夜一に差し出した。
「……」
びっくりした顔で梢綾を見返しながら、夜一は張りかたを受け取って立ち上がった。
「かまわんぞ、試してみるのも一興じゃ」
と股間にそれを当て、止め具を後ろにまわして固定する。
梢綾はすこしさがって、うっとりと夜一の全身を眺めた。
夜一はふざけて腰に手を当て、股間にそそり立つ立派な男を突き出して見せた。
「どうじゃ、ほれ」にやりと笑って梢綾に片目を瞑った。
やはり、思った通り―――――
「素晴らしい……あなたは完璧です。夜一様……」
しなやかな猫科の獣を思わせる強靭な肉体。伸びやかな四肢、理想的な形で盛り上がる乳房
そして下半身にはまるで夜一の一部であるかのように一体となって、勇ましい姿を見せている男根が…
女であり、男でもあるその姿。
「きれいです…とても」
吸い込まれるように近づくと梢綾は目を閉じて夜一の唇に自分の唇を押し当てた。
「梢綾……」
震えながら口づけて来る可愛い部下の様子に、目を見開いて、それでも口づけを受け入れる夜一。
「ぅ……?」
「夜一様?」
「梢綾、大変じゃ。コレはやはりただの張りかたではないぞ」
「え?」
「感じるのじゃビンビンと。先端に血が集まってくる。腰が重くなってくる。触ってみろ」

梢綾がおずおずと手を伸ばして触ると、熱い。そしてトクンと脈さえ感じて
「きゃっ」
「熱いじゃろ?自分の身体のようにしか感じられん。しかも小奴、おぬしを欲しがっておる」
「えっ?」
「おぬしに反応しておるのじゃ…、まずい、早く外さなくては」
後ろの止め具を外そうとした夜一の手を梢綾が抑えた。必死で自分を見上げてくる少女の潤んだ瞳。
「いや……」
「梢綾」
「外さないで、このままでいてください」
「じゃがこのままでは…」
「私を……奪ってください夜一様、お…お願い…」
「………」
夜一は艶のある長い少女の黒髪を撫ぜた。
「男を知らぬのじゃろう?」
「男など、一生知らなくてかまいません。私には夜一様さえいればっ」
「梢綾、我慢するのも苦しくなっている。本当に良いのか、本当に」
梢綾は指で夜一の唇をふさいだ。
「私を夜一様のものにして…」
夜一の目が細く眇められ、梢綾はぎゅっと抱き締められたかと思うと、寝台の上に組み敷かれていた。
上から見下ろしながら梢綾の衣服を性急に脱がしてゆく夜一。
帯をほどくと、胸元に手をかけて押し開けた。
白く華奢な身体が夜一の目にさらされ、梢綾は興奮で息をはずませている。
「可愛いのう、梢綾」
「おっぱいが小さくて恥ずかしい…です」
「たわけ、そこが良いのに」
夜一は笑って小さなふくらみに口をつける。
「あっ、ああ〜」
舌で乳首をなぶられ、首を仰け反らせて喘がされ、
そのまま身体中を這い回る手と唇に、あっ、あっ、と悲鳴のような声をあげさせられ、やがて全裸にされた。

二人とも、うっすらと汗をかき、息を荒くしている。
夜一は切羽詰っていた。
「悪い、もう待てない、痛いほどなのじゃ。おぬしの中に入れさせてくれ」
「はい、はやくひとつになりたい…夜一様」
まだ幼ささえ感じられるような少女の、すんなりした足を持ち上げ、可愛らしい秘部をあらわし、
狭い入り口に男根を当てがって、ためらった。
白い肌の上に、黒々とした男のモノが…大きすぎる…
酷いのではないか?
柔かい襞を指でくつろげると、充分すぎるほど潤ったそこが、きらきら光りながら夜一を誘った。ずきんと脈をうって痺れが身体の中心を駆け上がって行く。
男というものは、好きな女を抱く時にこんな風に感じるものなのか。すごいのお…
おぬしの身体を貫きたい。もう堪らん、梢綾。
「痛むぞ」
「は、はい。平気です」
梢綾はぎゅっと目を瞑ってその瞬間に備えた。黒髪が寝台の上に広がって、白い喉がこくんと動いた。
身体を重ね、強く強く抱きしめ、夜一は先端を押し入れていく。
ぴくんとはねる細い身体。快感が夜一の身体も震えさせた。
きつい抵抗を感じながら進めていき、薄い処女膜を破って更に奥へ届いた。
「ぁぁ……はぁっ…」
苦痛に喘ぐ、声。必死で背中にしがみ付いてくる細い腕。
どうしようもない、止めようがない。
たがいの身体を掻き抱き、乳房と乳房がこすれ合い、足と足が絡まり、汗が弾け飛ぶ。
腰を激しく動かし快感を貪ると、梢綾も腰を押し付けてくる。
「あああ、あっ、んっんんっ、はっ、はぁぁん」
梢綾の小さな胸を掌に収め、両乳首を同時に指で摘まみながら、
きつく締め付けてくる熱い潤みの中心を突きまくる。

「ああ、とろけます…き…もち、いいッ」
「くっ…梢綾」
「ひとつに…ひとつになって…はぁ…夜一様と私が、ぁあ……」
「そうじゃ、ぅ…あ、来る。来るぞ。儂はもう、くぅぅ」
「んっ、んっ、ああ、はぁ、はぁ…ん、あぁぁぁぁっーー!」
仰け反る梢綾と一緒に夜一も達した。
びくんびくんと膨れ上がる男根の先端から、何かが弾けて飛び散って
エネルギーの帯が夜一と梢綾の身体を貫いてつま先と頭の天辺から抜けていった。
梢綾の腕が力なく敷布の上に落ち、涙がひとしずく零れ落ちる。
荒く息をついていた夜一は、身体を起こして瞼に口づけ、ふたりは微笑みを交し合った。

それから―――――
梢綾にとっては夢のような日々
憧れの人と昼も夜も一緒に過ごし、心も身体も満たされて幸せな日々
あの運命の時が来るまで



主を失った部屋に梢綾はひとり立ちすくみ、きりりと奥歯を噛み締める。
残されたものはたった一つ。黒く艶やかに光るそれを胸の前で握りしめた。
こころに空いた穴を埋める方法は他に見つからなかった。
「私はあなたになる。そしてあなたを超えてみせる」

その後
護廷二番隊の隊長となった砕蜂が、隊員の少女達に夜伽をさせているらしいという噂が聞こえてきたが
その真相は定かではない。







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