―――   夜×砕 著者:726様   ―――



全てを捧げる。口で言うのは容易い事だけれど、私の心はそれの為だけに生きているといっても過言ではなかった。
『刑軍、統括軍団長直属護衛軍』
それに配属が決まったとき私の心は喜びに震えた。あの人に近づける。あの人の傍で働ける。
入隊の挨拶に伺う前夜など、興奮で眠れなかったほどだ。それ程までに私はあの人を崇拝していた。

「砕蜂参りました。軍団長閣下」

この一言を発するだけでどれだけの神経を費やしただろうか、顔を上げればすぐ目の前にあの人がいる。
ふと、顔を上げてあの人のを見る。あの人は刑軍の装束を身に纏い座椅子にくつろぎ笑みを浮かべていた。
まるで子供のようなその面立ち、目の前に居る私を見定めようとするわけでもなく言葉を紡いだ。
彼女は閣下と呼ばれるのを嫌った。いや、ただ堅苦しい事が嫌なのだという。自分の事は「夜一さん」とでも呼べば良い。そう彼女は言った。
もちろん呼べるはずがないっ!彼女は私の唯一無二の存在、私は己の立場をわきまえている。

「め…っ、滅相もございません!軍団長閣下にそのような……」

私がそう言いかけた時、彼女は少し寂しげな表情をした。私はなんだか申し訳ない気持ちになった。
でも、こんなチャンスは無い。もし彼女を名前で呼べるならば、憧れであったあの人の名前を口にする事が許されるのであるならば―――――。

「そ、それでは夜一様と……お呼びしても……宜しいでしょうか……」

私の申し出に彼女は拍子抜けしたような顔をした。
何かまずい事を言ったのだろうか。ドキドキしながら彼女の答えをまった。

「まぁ良い。好きに呼べ。儂はおぬしの力を見込んで此処へ呼んだのじゃ、働きに期待しておるぞ、砕蜂」

「は、はい!!」

それからの生活は天にも昇る気分だった。刑軍の仕事は命がけだ。だけれど、あの人を守れる。あの人の力になれると思えばどんなつらい任務でもこなす事が出来た。


そして入隊してから数週間がすぎたある日
「今夜0時に、儂の寝室に来い」

一瞬自分の耳を疑った。刑軍軍団長が自室に部下を呼び寄せるなんて、あまり無い事だ。
刑軍の仕事は慣れてきた。そう思っていただけかもしれない。もしかしたら今日の任務で何か失敗をしてしまったのか?それで今夜お叱りを受けるのかもしれない。そう考えていた。
私は初めて入隊の挨拶をした日のように緊張していた。
コンコン

「夜一様、砕蜂参りました」

時間は深夜0時、刑軍寮の離れにある団長の寝室
すでに辺りは闇につつまれていて、人の気配は無い。
「おう来たか、入れ」
「失礼します」
ドアを開けると、夜一様は布団の上にあぐらをかいて座っていた。
私は部屋の中にはいり、入り口のすぐ傍に正座をした。

「あ、あのっ、本日の任務で私に何か至らぬ所がありましたでしょうか。もし何かしでかしてしまったなら申し訳ありませんでした!」

もし何かしてしまったのであれば、謝るほかに無い。そう考えた私はとにかく謝ってみた。
ところが夜一様からでた言葉は
「何を言っておる?しかもいきなり正座などしおって……いいからこっちへ来い」

「あ、あの……では何故お呼びしたのですか……?」

「むぅ?夜更けに女子を寝室に呼ぶ用事といえば一つしかなかろう。砕蜂、おぬしに今宵の伽を命ず。」

「―――――えっ………ええええええ!!!」

夜一様は何を言っているのであろうか、伽って――――――。
私はわけも分からずその場で硬直してしまった。

まともに思考が働かず混乱してしまっている私に、夜一様は妖しい眼光で自分の方へ近寄れと言う。
命令に従わないわけにはいかず夜一様の居る布団へと移動した。

「あ、あの夜一様、伽って―――でも私は女で、その、夜一様も女であって――――。」

「なんじゃ、女子同士でしてはいけないと申すか?ふふふ、愛い奴よ」

「い、いえ、そういう訳ではなく、ただこういった行為は――――」

「おぬし初めてか?」

「ひぅっ!!」
夜一様は私の肩に手をまわして、耳たぶにフッと息を吹きかけてきた。
夜一様のお顔がこんなに近くにある。

「おぬしの事は刑軍に入る前から気に掛けておったのじゃ」

肩にまわした手で私の髪を弄りながら耳元で囁かれた。
「儂がこんなに執着するなんて初めてじゃぞ。光栄に思うが良い」

ぺちょ、という音と共に生暖かい感触が頬に感じる。夜一様に舐められている。
頬を舐めている舌は徐々に唇の方へと近づいていき、夜一様の舌先が私の唇の端っこに触れた。
もう何がなんだか分からない。寝室に呼ばれたと思ったら、夜一様に接吻を迫られている。
いきなりの事で抵抗もできない。私はただそれを受け入れるしか出来なかった。
「んっ、………あっ、んうぅ…………」

唇が舌でこじ開けられ、唇と唇が重なり合う。そのまま舌先で私の口の中を舐められる。
夜一様の口から液体が送り込まれ。それをただ受け入れる。
私は息をすることすら忘れてしまっていた。
「ぷはっ…………はぁはぁ……はぁ……よ、るいちさ…まぁ……」

唇は離れたが、顔の距離は離れていない。お互いの唇から唾液の糸がツゥーと引いた。

そのまま私は布団に押し倒された。
「いい反応じゃ、どれ服を脱がすぞ」

刑軍の装束はそんなにややこしい作りではない。動きやすいように一枚の布を縫い合わせて、帯紐で縛ってあるだけだ。
その帯紐を解くと、すぐに肌が表われてしまう。
「あ、やっ!!」

「だーめじゃ、いいからじっとしておれ」

抵抗するが夜一様にかなうはずも無く、帯紐は解かれてしまう。
簡単な構造の装束はすぐに脱がされてしまい。私は布団の上で全裸にされてしまった。
夜一様は私の上に馬乗りになり、刑軍装束を脱いで行く。すぐさま私の目の前には、夜一様の豊満な乳房が現れた。

「ふふ、可愛い乳房じゃのう」

そういって私の乳房に指を這わせる。
「やぁっ!」

「嫌……か?嫌なら止めてもいいが――――こんなに先端を硬くしておいて嫌もなにも無かろう。体は正直じゃな」

ただそう言って止めようとはしない。私も止めて欲しくは無い。
夜一様に触られるたびに体がジンジンとしてくる。こんな体験は初めてだ。
「気持ち良いじゃろう。もっと気持ちよくしてほしくはないか?」

私はその問いにコクンとだけ頷いた。
夜一様は私の乳房を弄っていた手をはなす。名残惜しかったが、もっと別のことをしてくれるのだと思うとドキドキと鼓動がとまらなかった。
今度はご自身の乳房を腕で抱え込み、そのまま私に覆いかぶさった。

夜一様の乳房と私の乳房が重なりあう。

「うぁっ!」

「ふふ、良いか砕蜂。ほれ、よく見てみい。儂の乳房とおぬしの乳房が重なり合ってとてもいやらしい光景じゃぞ。初めてのくせに乳首をこんなに硬くしおって、まったくいやらしい娘じゃのう」

こ、この人は何を言っているのだろうか。こんなことをしているのは貴女なのに。
反論をしようとするが、思考がまとまらない。快楽で脳みそがとろけているみたいだ。

「夜一様ぁっ―――――夜一さまぁぁっ!!!」

「とても可愛いぞ、砕蜂」

そう言われてもう何も考えられなくなってしまった。



「今夜はこのくらいにしておこうかのう。いきなり飛ばしすぎてもつまらんし、これからはたっぷり可愛がってやるぞ」
布団の上でぐったりしている私に、夜一様は新しい玩具を見つけた子供のような笑みで言った。


「あぁ、そうじゃ――――呼び方のことじゃが何でも良いというのは撤回する……二人きりのときはお姉様と呼ぶのじゃ」


「…………はい―――……おねえさま」






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