―――   「乱菊前編」虚×乱菊  著者:笹葉様   ―――



十番隊副隊長である松本乱菊は、普段は邸内での仕事に追われている為
外の世界で虚と戦う機会などは殆どない。

だから‥という訳ではないと思う。
まあ、多少の油断はあったのかもしれない。
巨大虚は数も思いの外多かった。

どれも言い訳だ。

乱菊は今、虚によってその身の自由を奪われている。

斬魄刀はこの手を離れ遥か下の地面に突き刺さり、己が両手は、虚の口らしきモノから
無数に伸びている舌に封じられている。湿り気を帯びた縄のようなそれに各々絡め取られ
宙吊りの状態なのだ。更に注意深いというか、念入りというか、ご丁寧に両脚も一括りに
捕われている。もはや勝敗は決定している。


最後の一匹は強かった。否、狡猾だった。
ギリギリまで姿を潜めていて、そして全て倒したと思った瞬間に背後からそいつは現れた。

乱菊は襲い来る両腕は切り落とすのに成功したが、運の悪いことにそいつは舌、肩口、
脚、あらゆる処から触手を伸ばすことの出来る型の虚だったのだ。腕を落としたところで
代わりなど幾らでもある。一瞬の隙に斬魄刀ははじかれ、四肢を捕らえられてしまった。
この忌々しい虚に喰われるのは時間の問題だろう。
こんなところでアタシが死ぬなんて。
執務室に仕事を山積みにしていた事を思い出す。まァ、いいか。隊長が片付けてくれるだろうし。
‥あれ、そういや隊長、今日の予定何って言ってたっけ‥。
死ぬ直前っていうのは割と呑気な事を考えるんだな。乱菊はそんな事を思った。


突然、宙を漂っていた虚の舌の数本が、乱菊めがけて伸びてきた。
殺られる。
そう思った瞬間に耳にはビリビリッ、という布の裂けるような幻聴が響き、空気の触れる冷たい感覚がした。

幻聴でも幻覚でもなかった。
それは、乱菊の身を包む死神の衣が裂かれた音であり、冷たい感覚は露になった乳房に触れた
空気そのものだったからだ。露になった乱菊の見事な両の乳房は白く大きく、衝撃でたぷん、と揺れた。
薄紅色の鮮やかな乳頭も曝け出されている。
「な‥!」
驚く乱菊に声が掛かる。
「女ァ‥」
地を這うような不気味な虚の声。空虚な暗黒の瞳が勝利の笑いと腕を落とされた怒りとで
歪んで光っている。
「よくも我の両腕ヲォォ‥。只では殺さんぞ‥思い知るが良い‥クク‥」
虚は下卑た笑いを上空に吊るし上げた乱菊に向けて放つ。
そして虚の舌は再び動きはじめた。ひとつに縛っていた乱菊の足を両側からそれぞれ捕らえ開き、
今まで脚を捕らえていた舌はそのまま乱菊の腰紐を解きにかかった。

「‥っだんじゃないわよ‥!」
乱菊はそうはさせまいと、膝を曲げ、しなやかな美しい脚で腰まわりの舌をたたき落とそうとする。
が、しっかりと乱菊の足首を捕らえたもう一本の舌が、ぐん、と力を入れ、乱菊の反撃は未遂に終わった。
足に纏わる両の触手は更に伸び、脛と太腿を同時に巻きつけ、各々左右に開いた。必然的に
乱菊の脚は大きくM字型に開かれる。
裂かれた黒い死装束は腰紐を解かれ、乱菊の両足自身によって左右に開かれている。乱菊の乳房は
もう何も守るものはなく、首飾りだけが胸の間で光っている。下半身を守るのは、薄い、白い
腰布一枚だけで開かれた太腿の間にだらり、と下がっているのみである。
乱菊は自分より10丈ほど下にいる虚をキッと睨んだ。
「貴様‥」
殺すならさっさと殺せ。そう叫びたかったが、逆に喜ばせるだけだと思いとどまる。
虚はニヤリと歪ませた口を、クパァァ‥と大きく開き、湿った舌を数本出した。

今度は湿り気を帯びている、どころではない。出された舌はネトネトとした透明な液体によって
したたかに濡れすぼっている。乱菊は虚が何をしようとしているのか、瞬時に悟った。
顔を青くし、身体をねじらせ避けようとする。が、剥き出しにされた大きな乳房が、水平に
ぶるんぶるん、と弾むだけだった。四肢を捕らえられて思うように逃げられる筈が無い。
「殺す前に楽しませようというのだ‥そう邪険にするなァ‥」
「‥ふざけんじゃないわよ‥。」
濡れ光った舌が六本。それを目の前に近づけられ、乱菊は恐怖と嫌悪でぐっと息を呑む。
虚の舌は、細い紐状の触手が縺れ合って太い縄を形成しており、ごつごつと歪な形態を
している。
「今まで喰らった死神どもは皆‥悦んでおったぞ‥」
内の一本が乱菊の頬を撫ぜた。ねとり、とした冷たい感触にぞっとする。
「気も狂わんばかりになァァ!」
その言葉と同時に縄状はばらりと解け、無数の細い紐となって乱菊の唇と耳、首筋を
這いずりまわった。
「‥ッ‥‥!」
ピタピタと触れてくるその感触が、唇から中に押し入ろうとするのを乱菊は必死で唇を結び抵抗する。
耳と首筋を這うおぞましさに声を上げたくなるが、押し殺す。

続いて二本目の触手が動いた。大きく開いた乱菊の脚の間、太腿の間でそれは止まり、
ブヂュブヂュ、と音をさせる。先に粘液を放出しているのだ。
先端からドロドロと透明の液体を増加させたまま、乱菊の腰布の上を這い始めた。開かれて
大事な部分を突き出されるような姿勢にされている為、薄布一枚を隔てて乱菊の花弁が直ぐに刺激される。
「んん‥ッ!」
粘液が薄い布を染み、冷たい感触が刺激する。下半身を攻める縄状の触手は既に細かく紐状に分離し、
布の上から恥豆、花弁、膣、菊門をそれぞれ探すように突いてくる。乱菊の白い腰布はそこの部分
だけが半透明となり、薄い毛と赤い果肉を浮き立たせはじめた。
「んくぅ!」
急激だった。まるで触手ひとつひとつに目があるかのように、透かした途端にそれぞれの刺激が始まったのだ。
紐状にバラけた触手の数本が敏感な芽を摘み、一部が編まれて太くなった触手は花弁をシュッ、シュ、と擦り始め、
二つの穴へは細紐が布越しに侵食を開始する。
「んぅ‥ふぅ‥ッ!ぅんん!」
激しい快楽が浸食し、それは乱菊の自尊心へも攻め入る。声を上げそうになるが、それでも乱菊は口を開くのを耐える。
口内への侵入を拒んでいるのも勿論だが、意思を固くしているのだ。こんな虚の前で嬌声などあげてやるものか。

更に二本の縄状の触手が伸びた。
一本が乱菊の右の乳房を捕えた。しゅる、と大きな乳房を包むように円を描き、持ち上げながらきゅ、と
絞りこむ。乱菊の右の乳はぷくん、と浮き出るように形を変えられた。左の乳房も同様に捉えられる。
元々人よりも格段に大きい乱菊の双峰は必要以上にその大きさを誇示され、天に向かって形をムニュムニュと
歪まされる。
「いい身体だァ‥柔らかくて‥この弾力‥。さぞかし美味かろゥなァ‥クク‥」
そのままドーナツ状に触手に揉みしだかれる。上に、下に、上下交互にぶるん、ぶるん、と揺さぶられ、
首筋を責めていた触手が乳房の間を犯しはじめた。分かれていたものが縄状に集まり、ごつごつとした
触手へと変貌を遂げる。それは自ら液体を出し始めてぬめり光り、囚われた乳房の間に滑り込む。
身体の中心、心臓の真上をぬるっと冷たいものが通り、乱菊はヒクン、と震えた。

両乳房を抱えている触手が互いに身を寄せ合い、乱菊の乳房に挟ませる。しゅ、しゅ、と中央の触手は
動きを速め、ヌメヌメとしたものをひたすらに乱菊にこすり付ける。
「オォオ‥いいぞ‥女ァ。お前の乳は最高だなァ!」
ぬるぬるとした感触が滑りよく、谷間を何度も上下に行き来する。両の乳房に狭くされた道を無理矢理押し広げ
突き通し、また戻る。胸の間に異物が擦られる感触を肌で、胸で感じ取る。
その間も下の触手は乱菊の開かれた太腿の中心を責める。
「‥ッんぅ‥ひぅ‥!」
白かった腰布はもう最初から透けていたかのように、布の全てが半透明と成っていた。
中央の紅さがなまめかしくヒクヒクとしている。
乱菊は荒い息を立てながらも、しっかりと意識を失わないように口の中をかみ締めた。鉄の味が滲む。
「お前も刺激がもっと欲しいかァ?」
「誰がッ‥んぅ‥!」
虚は十分に感触を楽しんでから、ついに乱菊の二つの頂点を襲った。
触れられる前からその頂きは通常よりも大きく成長しており、乳輪もふくらみをもっていた。その中心は
見るからに硬そうに勃起して、ヒクヒクして刺激を待っていた。
そしてそれは来た。乱菊の反応は雷に打たれたかのように大きく弾ける。

縄状だった残りの二つの触手は、一気に紐状に散って乱菊の乳首に吸い付いた。
そう、吸い付いたという言葉が最も似合う状態だった。紅の突起の一番敏感な側部をすべて包み込み、
その細い繊毛のようなものがシュルシュルと動き出して乳首にこすりつきながら回転する。
回転でなぶりながら上へ下へと乳首を挟み引っ張り、先端を照りついた粘液で弄る。陰茎をしごくかのように
乱菊の乳首を無数の触手が擦り、ひねり、べとべとに濡らしてなぶる。分かれた触手がまた集まって太くなり
乳首を白い胸に押し込む。大きな胸の中でグリグリと抵抗を楽しむかのようにして、また二つに分かれて
乳首を挟み、吸い上げ、弾き、弾き返す。
乱菊はついに堪え切れずに声をあげた。
「あっ、あっ‥あぁああ‥ッはぁ!」
我慢していた声は防波堤でもあったのだろう。声と共に乱菊の花弁からブシュ、と
愛液が決壊を起こして零れ落ちた。ボタボタと熱いそれが虚に降り注ぐ。
「クハハハ‥心地良い‥心地良い雨だぞォ女ァ!」
「あッ、あっああ‥んむぅ‥!」
乱菊の胸の谷間を犯していた虚の舌が、乱菊の舌に絡みつき、口を犯す。
舌の裏を這い、奥へ侵入する。
「その声が聞けなくなるのは勿体無いが‥」
舌など噛まれては困るからな‥そう言って虚がひひひと一際声高に笑った。

「そうだなァ‥挿れたまま口まで貫いてやろうか」
女の死神を串にして喰らうのは、さぞかし美味かろォ‥。
そう言って舌を幾つか集束させる。ベッタリした液体をそれぞれが吐きながら
融合していき、それは、ひとつの巨きな男根を象ったものとなった。
但し、その先端は鋭く尖っている。
「どうだァ‥我のはァ‥どんな男でも味わったことのないものだぞ‥ククク。」
「んん‥むぅ‥!」
最後に殺さないで‥と叫んでみるかァ?さすれば一瞬の絶頂は味わせてやるぞ。
乱菊の耳にじんじんと虚の声が響く。
犯されていた唇から、ぬろっと、触手が抜かれた。
「さあ、言えェ!『アァン!殺さないでェ!でもグチャグチャに突いてェェ!』」
ゲラゲラと虚が狂喜の声をあげる。
げほッ、と液体を吐き出し、ほくろの上を唾液と粘液の混ざったものが垂れていく。
息を漸く吸った乱菊は、虚を見下して答えた。

「‥下手糞。とっとと終わらせてよ。」

虚の怒号の雄叫びが響いた。大きく鋭いその舌が怒りに震え、乱菊を突き刺そうと猛スピードで昇り来る。
乱菊は瞳をぎゅっと瞑った。

ドシュッ‥と肉を貫く、鋭く、しかし鈍い音がした。
全身が一瞬硬直する。

だが、痛みは無い。
ごぼっ、という音がどこからか聞こえる。
恐る恐る瞳を開く。
そこには上から挿れられ、下まで貫かれている虚の姿があった。

「な‥」
刃が引き抜かれ、虚からどす黒い液体がしとどに溢れる。
虚も乱菊も、何が起きたのか判らなかった。
一瞬の硬直は虚の触手のものだったのだと、ふと気付いた時。
乱菊の目の前、空から影が落ちてきた。
それは
黒い死装束、白銀の髪。
「射殺せ」

神鎗―――。

今度は脇から。虚は再び貫かれ、串刺された。







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