―――   ギン×乱菊  著者:119様   ―――



「今夜あたりどうです?」

長い渡り廊下の真ん中で、すれ違いざま声を掛けてきたカレ。
あらら、ずんぶん久しぶりのお誘いね。
「いいわ、何時?」
「いややなあ、何時でもいいに決まってるやないの」
後ろ姿を見送ると、午後の陽射しが一瞬カレの背中に射し、また翳る。

 夜も更けた頃。
カレの自室の前まで、誰にも見られることなく、辿り着く。
扉の内側に身体を滑り込ませるのも、慣れたものね。 
「なんや、遅いなあ。待ちくたびれたやんか」
「勝手なことを言って、何時でもいいって言ったじゃないの、ギンちゃん」
カレは寝台に腰を掛けて、いつも通りの飄々とした風だ。
「もう寝てしまお思ったわ」
「あら、あたしは別に構わないけど?」
「そないな強がりゆうて」
カレはお酒の入ったグラスを差し出す。
「ありがと」
グラスを受け取って近くの椅子に座ると、いただきます、と口を付けた。
「おいしいわ、これ」
「そら良かった」
部屋の中は薄暗く、3・4ヶ所に置かれた明りが居心地いい。
ギンちゃんって結構、こういうセンスいいのよね。

「ええ匂いやな、また香りを変えはった? すると、付きおうとる男も変わりはったんやね」
「ばか言わないで、男次第で香りを変えたりしないわ。あたしはあたしの好きな時に香りを変えるのよ」
「いやァ怒らへんで、可愛なあ、乱ちゃんは」
カレはくっくっと肩を揺らす。
「ムクれてへんで、もっと近うにきーひんの?」
「…いいわ」
カレの傍らに立つと、ふわりと腰に手を回された。
「してくれはらへん?」
頷くと、衣擦れの音をさせながら、帯を解かれてしまう。
すばやいんだから、ほんとにもう。
カレはあたしの髪に指を通して、ゆっくり後ろに撫でつける。
おっきくて暖かい手が首すじに、そして軽く引き寄せられて、ふわっとキス。
ギンちゃんは首すじをゆっくり擦りながら、またふわっていうキス。
首よわいのよね。声が出そうになっちゃう。ギンちゃんが唇を噛んでくる。
「んっ・・んふっ」
ギンちゃんの首に両腕を回して、カレの舌を受け入れる。
ああ、キスうま過ぎるのよ。蕩けそう。


カレが唇を離したので、トロけながらもあたしがギンちゃんの帯を解こうとすると、
「あ、やっぱり、それええわ」と手を抑えてくる。
「え、なんで?」
「久しぶりに乱ちゃんとエッチする思うたら、なんや我慢できんようになった」
そういいながら、カレの手はあたしの胸元に差し入れられ、直におっぱいを撫で擦りはじめる。
悔しいほど心得た手に快感を与えられ、先端が固く尖っちゃう。
大きく胸をはだけられた。
あたしの身体を押さえつけ、動けないようにしてから、カレは胸の谷間に顔を埋めてくる。
「あーええなあ、やらこうて、ほんま堪らんわ」
「子どもみたい」
動けないのが癪に障って、そう言ってやると
「男はみんな、子ども違うの?」
カリッ 乳首を甘噛みされ、身体を駆け抜ける刺激に、思わず大きな声をあげ、背を反らせてしまった。
「あかんあかん、おっきい声は我慢して、」
そう言いながらもカレは、両手を使ってあたしのおっぱいを揉み立て、
絞り上げ、乳首を咥え、弾くように舌で責める。
「んくっ…あ、…んんっ、…ギ、ギンちゃん…」
下腹が疼いて膝が震え、立ってられなくなってしまった。
カレに向かって倒れこんでしまう。
「ああ、難儀やなア、もう堪えとれへんの」


力が抜けてしな垂れかかるあたしを、彼はくるりと半回転させ、
次には肩から着物が滑り落とされる。
そのまま後ろ向きに寝台の上に抱え上げられ
はだかで彼の足の間に座らせられた。
両手で肩を掴まれ、その手は二の腕を滑り降りてゆき、
手の甲にギンの手が重ねられ、長い指が
あたしの指の間に差し込まれて、うなじに彼の息がかかる…。
優しい愛撫に、身をゆだねていると、いきなり乳首が強く摘まれる。
首に掛けているチェーンをギンは歯で抜き取り、
乱暴に首すじを噛んでくる。乳首は指で捏ね回されていた。
「あ! ああっ」
「大っきい声は、あかんゆうたやろ」
左手であたしの胸を弄りながら、右手は太腿を撫でおろし、
膝裏に差し込まれると、今度は足を開かされてしまう。
指があたしのあそこに触れてきた。
「もう池になっとるで、ほら自分で触ってみい」
ギンは、あたしの手を掴んで引き寄せ、あたしの指を持って
辺りを触らせる。
「いやっ、…ぁあ…ん」
思いがけない快感にジンジン痺れてくる。

「…もう…いやよ」
「なにがいやなん?」
「もう! じらさないで…」
「ん? なに? 焦らしとらへんで」
「もうー。指を……挿れてよ」
「どこに?」
「……ギン」
「ああ、すんませんな、ここ?」
クチュッ…
水音をさせて、ギンの節高い指が、あたしの中に埋まった。
ちゅぷっ ちゅぷっ ちゅぷっ
抜き差しを繰り返し、感じるポイントを攻めたてられる。
「こないに濡れながらも、きつう絞めてくる…淫らな身体や」
「あっ、…んっ…んッ…、ああ…ん…」
力が入らない…、声が止まらない…。
ギンの手が背中に回され、ゆっくり後ろに倒される。
首がかくんと仰け反って、髪が寝台の上に広がる。
「綺麗や…」
乳首を強く吸われ、下腹に重く衝撃が走る。
濡れた指は、零れる露をクリに塗りつけ、円を描くように踊る。
「あっ あ――っ……」
かすれ声をあげ、背を反らし、イってしまった。
ふるえるあたしをギンは支えていてくれる。
あたしは彼の胸に甘えた。

ハァハァしてる息が収まるころ、ようやく気付いた。
「ギン、あんたまだ脱いでないじゃないの」
あたしは両手で彼を押し倒す。乱暴な手つきで着ている物を
脱がせながら、男の身体に手を這わせた。
「お返しをするわ…」
「なんや怖いなぁ」
ギンは面白がってる。あたしは彼の首元に顔を埋めた。
尖らせた舌で耳朶をなぞり、耳の穴に舌を差し込むと
くすぐったそうに首をすくめている。
顎にキスし、喉にキスし、あちこちを啄ばみながら降りてゆく。
乳首は少し時間を掛けて舐る。
ギンの手が、あたしの脇腹をつうぅと滑って、悪戯を始めた。
「だめ、こっちの番よ」
身を捩って逃れつつ、身体を下にずらしていくと
ギンの硬くなって勃ち上がった男根が、あたしの胸にふれる。
「ねえ、ギンちゃんの…ギンギンになってるわよ」
小首をかしげて、ギンの顔を見る。
「なにしょーもない事ゆうてんね。かなんな〜」
「ふふ、意外と逞しいのよね、ギンちゃんの」
「いややなあ、意外と・なんて…キズつくやん」
あたしは彼の男根を両手で挿み、先端にそっと口づけた。
それからを胸の谷間に押し付けて、前後に身体を動かす。
そうしながら鈴口や張った傘の周囲を、チロチロと舌を出して舐める。
さすがにギンも身体を強ばらせ、小さな呻き声をあげた。

「気持ちいい?」
「ああ、ええよ」
「もっと気持ち良くなって…」
亀頭を口に含み、呑み込んでゆく。根元まで咥えてあげたいけど
ちょっと無理。もう喉の奥に当たっている。
そのまま、すぼめた唇でゆっくりスライドさせる。
精一杯ふかく奥に入れ、吸い込みながらゆっくり引き抜いていく。
熱く滑らかで、どんどん張り詰めてゆく、ギンの男根。
唾液が口の中に満ちて、ぬらぬらと絡みつく。
ギンは肘を突いて半身を起こし、あたしの髪を撫でてくる。
裏すじを尖らせた舌で辿ったり、棹の横を唇で挟んだり
根元を輪にした指で軽く締めながら、ぺろぺろと舐めまわしたり
いやらしい音を立てながら、なんだか熱中してしまった。
あたしの頭に置かれたギンの手に、力が込められる。
「乱ちゃん…、めちゃめちゃ挿れたい…」
このままイかせてあげたいと思っていたんだけど…
あたしの唇は名残惜しげに糸をひいて、彼から離れた。
手首を引っ張られ、ギンの望んでいることがわかる。
膝立ちで彼の身体を跨いだ。
ギンのモノに手を添えて、濡れ滴っている膣口にあてがい
自ら腰を沈めていく。せつない声が洩れる。
はちきれんばかりに膨らんだ男根にキュンキュンと疼きながら
迎え入れるあたしの熱い内部。
根元までしっかり収めると、思わずため息が出てしまった。
「いいわ…すごく…」
我慢できなくて、あたしはギンの上で動き始めた。

腰を上下させ、あたしを貫く熱い肉の棒から貪るように快感を受け取る。
「あっ…んっ、、ん…ッ、…んはっ……あっ」
おっぱいが動きにあわせてぷるんぷるん揺れる。
ギンは下からその様子を眺めたまま、
自分は動かずに、あたしのしたい様にさせてくれる。
ごめん、なんだかあんたを犯しているみたい。でも気持ちいい…
膣の奥にずんずん当たるんだ。
すごいよ。
粘膜が絡みつき、膣壁が両側からギンを締め上げている。
時には前後に、時には回すように、淫らなあたしの腰は
もうあたしの意志を離れて、ギンを貪りつづける。
身体の中心から歓びが、胸にも、背中にも広がっていき
こめかみはどくんどくんと脈打つ血潮で、ぼーっとしてくる。
訳のわからない高まりに翻弄され、悲鳴をあげようとした、その瞬間
ギンが身体を起こし、あたしの口を手で塞いだ。
そのギンの動きに更に強く突き上げられ、あたしは深く激しくイった。
ガクガクと痙攣する身体を、抱きとめてくれる彼。
だけど耳元にこう囁かれる。
「ずいぶん勝手しくさってん、もう許さへん」
「はぁはぁ。。。ま、待って…ご、ごめん」
「いーや、もう遅い」

貫いたまま、ギンはあたしを押し倒す。
抵抗するあたしの手をまとめて頭の上で押さえつけ、
もう片方の手で乱暴に胸を揉みしだく
そうしながら、あたしが動いた時より、数段速いスピードと強さで
ガンガンと突いてくる。
イったばかりのあたしの身体なのに、
どうしようもなくまた高みへ押し上げられる。
「きゃぁ…はっ…あああぁ、、ん…んっ」
口をキスで塞がれた。声を封じておいて、ギンは激しく突き上げる。
子宮の入り口を何度も抉られて、身体に力が入らない。
「だめ…ギン…イク…イっちゃう」
「かまへん、イけッ!」
首を仰け反らして、あたしが達するのと同時に、
膣の最奥に熱い精液の迸りを受けた。
あたしのナカはそれを飲み込むかのように、何度も収縮を繰り返した。

ギンの身体が、急に重くなる。
あたしは彼の背中に手を回して抱きしめる。 
「あたしを感じさせてくれるのはギンだけよ…
  でも惚れてるって言ったら、あんたはきっと逃げる…」
愛しさに、胸を塞がれながら、あたしは心の中でそう呟いた。  
  
―了―






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