―――   うりゅ→姫 著者:28様   ―――



最近、少し気になる女性が居る。
と言うと変な目で見られそうだが、本当だ。

同じクラスで、明るくて天然で、同じ部活のあの人


井上織姫


栗色の髪の毛がとても綺麗で風が吹けばさらさら靡いている。
屋上からそれを眺めれば、誰でもきっと夢中になるだろう。
今現在僕はそれに夢中だ。

そんなに仲良くも無い僕等、ただ同じクラスで同じ部活と言うだけ。
でも

「あ。」

屋上を見上げる井上さん。
相変わらず大きなお弁当を持ってこっちをにこにこと見上げてくる

「石田くーん!」

手を振らないで。
ほら、周りの女子が君を変な目で見てるだろう。


「織姫、あんたあいつと知り合いだっけ?」

「ううん、部活が一緒なの、それと…」

それと、何だろう。
友達?違う。何だろう、わかんないけど、覚えてるんだ

「あんた一護一筋じゃ無かったっけ?」

「や、やだな!石田くんはそんなのじゃ無いよ!」

そう、私は黒崎君が好き。


彼女は黒崎一護が好きらしい

今ではもう、それはかなりの噂。
黒崎はそれに気づかないのか、転校生と毎日イチャイチャ。
腹が立つ…
自分ではよくわからないが、これは恋と言う感情なのだろうか
まさか僕が。

でも、井上さんを見てると……


ちりちりと体中に来る嫌悪感。
ああ…虚か。

屋上から下を見下ろすと井上さん達が楽しそうに笑っている

屋上の真中に達、彼女達に見えないように弓を発する。
途端、虚は消えて無くなる

僕が守ったんだ

黒崎一護では無く、僕が守ったんだ
この町内の皆を 井上さんを

黒崎じゃ無い。僕だ。


………分からない
彼女の言葉が、自分の考えが

もし僕が今日、彼女に思いを告げたとしたらどうなるだろうか

受けとめてはくれないだろう

僕を受けとめてはくれないだろう


屋上の扉を開け、また校内へと入る
生徒達の喋り声がとても耳に響く

教室へ行きたい。
早く部活の時間になって欲しい。


何度も何度も憎らしく思った死神
黒崎一護



彼になりたい
心底そう思った。



井上織姫、僕は貴方が大好きです。



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