―――   一護×たつき 著者:28様   ―――



始めてココに来たあいつを覚えている。
オレンジ色の髪をしたちっせーガキ、
上段を入れただけで泣いてしまったときはどうしようかと思った。

なんとなく、その時から気づいていたんだと思う
あたしは、一護が好きなんだって


「たつきちゃん、あのね……」


ヒメの言葉を聞いた時は、ショックじゃ無い……頭に、体に重しが乗った感じだった。
大好きでタイセツな親友、あたしがいないと何もできない親友、
可愛い可愛いヒメ、タイセツなヒメ。

どっちを取るなんて事できなかった、はっきり言う、あたしは、一護が好き。
でも、ヒメも好きなんだ。


「たつき」


あたしの脳に響く一護の声、いつから呼び捨てで呼ばれるようになったかなんては覚えて居ない。
あたしは一護と一緒にいたい、手を繋いでいたい。

でも

あたしはヒメも………………



もし一護と今、手を繋いだらヒメを裏切った事になるのかな

一護とあたし、ふたりだけの帰り道、少し考えた。

「一護」

あいつの名前を呼んだあたし。
自分であいつの名前を呼ぶだけで何か、変な、おかしな気分になる。

暗くなり始めた空を見上げていた一護があたしの方に振り向く。
眉間に皺寄せて、いつも考え事をしているような顔であたしを見る一護

「…何だ?」

その視線は
あたしを疑いもせず信用しきった純粋な視線で
綺麗に夕日に照らされる一護が素敵で

隣に居るあたしが、余計汚く見えた。


ゆっくりとあたしは、一護の手へと自分の右手を伸ばす
触れるその寸前、一護があたしの手を避けるように手を引いた。


ぎりぎりで触れた爪。

聞こえないくらいに小さく、かちっと鳴いた爪同士
あたしの爪は触れられなかった切なさに泣いたのかもしれない

「………………………………何だよ」

引いた自分の手をぶらんと力抜き、睨むような視線で一護があたしを見る。
悪戯をしようとしたとでも思ったのだろうか



「何も。」

きっぱりと、はっきりと、一言答えた
透明な液体があたしの目から頬を伝って落ちて行く。
あたしの表情は、はにかむような、えがお。

「……じゃぁ何で泣いてんだよ」

「何も。」

言い通すあたし。
がしがしと痛いくらいに服の袖で涙を拭き取ると、
ニッコリと笑顔を浮かべ手一護に右手を伸ばした


「手、繋ごっか」

すっとぼけた顔をする一護
泣き顔から笑顔に変えて、子供の時に繋いだでしょ。そんな顔で一護を見る
微妙な停止、曖昧な空間。
軽いのか重いのか分からない、ふんわりとしっとりとした空気

次の瞬間一護はあたしの手を取るように握り、少し早足で帰り道を歩き出した



「家つくまでだかんな。」

「うん。」

少し顔を赤くした一護と、何気ないそぶりでそれについていくように歩くあたし。


あたしは今ヒメを裏切ってる

でもあたしは今一護が好き

ヒメ。ヒメには幸せになって欲しいって思うけど、
暗い人間のエゴ。心底の嫌な感情。あたしも幸せになりたい…


家についたあたしは、一護と繋いでいた手を振って一護の背中を見送り、
自分の部屋のベッドに寝転がると自分の手を抱き締めるように抱え込んだ

「…一護…………………」




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