――― 織姫×黒崎 著者:ソウル・タブレット様 ―――
いつからだっただろうか
あの人が気になりだしたのは。
目が合えば胸が高鳴る。
声をかけられると心に巻きついたピアノ線が、
グイグイと締め付けてきて、切なくなる。
触れられれば、全身が燃え上がる。
この思い、彼は気づいているのかな
私はこんなにアナタのことを思っているのに
アナタの心の中にはいつも彼女がいる。
今だって、彼は彼女を助けようとしている。
私を見て?
私の心はアナタで一杯だよ。
もし、私が捕まったら、
助けに来てくれるかな。
彼の名前は「一つの物を護り通せるように」ってつけられたんだって。
私は、その「一つの物」にはなれないのかな?
でも、私にはそんなこと言う勇気なんてない。
彼女みたいに、彼となんでも言い合える間柄になりたい。
神様、お願いします。
私の思いが、彼に届きますように・・・・
願ってみたところで叶うはずもない。
叶ったところで、どうなるというわけでもない。
自分から、アタックしなきゃ!
「ねぇ黒崎君、ちょっと・・・いいかな?」
放課後、私は行動を起こした。
予定はこう。
黒崎君を呼び出す
↓
雑談とかでいい感じに
↓
思いを伝える
↓
Happy End !!
こうなれば最高なんだけどなぁ。
問題は、黒崎君が私の気持ちに答えてくれるかどうか。
たぶん――無理だと思う。
だけど・・・伝えなきゃ。
これ以上、我慢なんてできない。
このまま待ってたら、私どうにかなっちゃう。
「あぁ、別にいいけど・・・」
彼は特に疑問も抱いてないようすで、
こころよく誘いを受けてくれた。
「ホント?じゃぁ、こっちこっち!」
いけない、コレじゃ喜んでるのがまるわかりじゃない。
隠そうとはしたけど、どうしても頬が緩んじゃう。
なんだかヘンな顔になりながら、黒崎君を体育館裏まで引っ張ってった。
「で、何のようだ?」
いつものしかめっ面で尋ねる彼。
覚悟を・・・決めなくちゃ!
「あ、あのね・・・きょ、今日はいい天気だよね!」
な、何言ってるの私!
そんなこと言いに来たんじゃないのに。
「・・・そうか?」
そういって彼は空を見上げた。
釣られて私も上を見る。
とても「いい天気」とはいえない曇り空。
沈んだ色の黒雲が、重たく空を押し付けている。
「・・・あ、あはは」
照れ笑いで誤魔化す私。
何やってるんだろう。
今度こそ!
「あの・・・私・・・黒崎くんのことが・・・」
そのとき、空が泣き出したのに気づいた。
それは、私がこれから流す涙を、代わりに流してくれていたのかもしれない。
言葉が喉でつっかえて大渋滞。
今にも全て吐き出してしまいたいのに。
この臆病なこころ、どうすればいいんだろう。
「・・・俺が、何だって?」
途切れた言葉の続きを、黒崎君が問う。
好きだよ――。
こんな簡単な言葉が、何で出てこないの?
思うだけで、相手に伝わればどんなに楽だろう。
自然と俯いてしまう私。
ポツポツと落ちてくる滴が、少しずつ、私を濡らしていく。
黒崎君も濡れていく。
「・・・・・。」
無言の時間。
纏わりつく服が気持ち悪い。
制服が少しずつ透けていく。
「な、なぁ。とりあえず屋根の下に行こうぜ・・・。」
ポツリとそう言うと、黒崎君が私の肩に手をかけた。
冷えはじめた肩に、彼の温もりが伝わってくる。
私は自然と、彼の温もりを求めていた。
彼の腰に手を回し、胸板に顔を埋める。
命の鼓動が頭の奥まで響いてくる。
「い、井上・・・?」
ドギマギしながら黒崎君が言った。
両手に力を込め、強く、彼の温もりを求めた。
「・・・今だけでいいの。黒崎君が、朽木さんを好きってことぐらい――わかってる。」
自分の息が、逞しい胸板にぶつかって、帰ってくる。
「井上・・・俺・・・」
「言わないでっ・・・御願い・・・」
悲しみから逃げたくて、彼の言葉を遮った。
叶わぬ恋だってことぐらいわかってる。
だからこそ、今だけでいいから。
貴方を感じさせて欲しいの。
私を見て欲しい。
御願い――。
顔を上げると、頬を紅潮させたしかめっ面が目に入った。
激しくなる雨に打たれながら、私を見ている。
私の想いを・・・受け入れてよ。
そう念じながら、じっと彼の瞳を見詰める。
黒崎君の瞳の中に、私がいた。
不安そうな顔で、今にも泣き出してしまいそう。
ふっと、黒崎君の顔が降りてきた。
顎を優しく持ち上げられ、後頭部に手を宛がわれる。
これって――
期待で早まる胸の鼓動。
爆発しちゃいそうだよ。
そんなことを考えている間にも、黒崎君の顔は近づいてくる。
キリッとした目鼻立ち。強い意志を秘めた目。
ずっと見てきた筈なのに、なんだかすごく新鮮に感じる。
そういえば・・・コレがファーストキスだ。
意識しだすと止まらない。
どうしよう、今更待ってなんて言えないし。
でもでも、やっぱり恥ずかしい。
私は半ば投げやりに目を閉じた。
唇に、軽く何かが触れ、スグに離れていった。
暖かく水気があった。
一瞬のことだったけど、感触があった。
これが――キス。
まだ心臓がドキドキいってる。
ポーッとしながら余韻に浸る間もなく、再び唇が塞がれた。
今度は強く、しっかりとしてた。
「――っ!」
びっくりして目を開けたら、真剣な顔の黒崎君がいた。
黒崎君の息づかいが聞こえる。
なんだか変な気分。
頭がポーッとして、体がゾクゾクしてくる。
そこから先は頭が真っ白になっちゃって、よく覚えてない。
「濡れないところに行こう」
ってことになったんだっけ。
で、今は体育倉庫。
この状況って――
外が雨のせいもあるのかな。
体育倉庫の中は、薄暗くて、埃っぽくて変な匂いだった。
目が慣れてくると、乱雑におかれたいろんな用具の輪郭がボンヤリと見えてきた。
跳び箱に、大縄、平均台に、高飛びのバー。
床に敷かれたマットに寝そべってみる。
ちょっと固いけど、緊張しっぱなしだった体から少し力がぬけた。
「井上・・・・」
一息ついてた私に、扉を閉めながら黒崎君が声をかけた。
ガコォン――
重苦しい鉄の音が響いて、中は完全に真っ暗になる。
急に何も見えなくなって、不安が私を包み込む。
「く、黒崎君・・・・どこ?」
「ここだ・・・・」
「わ、わかんないよぉ・・・」
一人でオドオドしながら、手を前に突き出して彼の姿を探す。
両手をフラフラ動かしてみるけど、やっぱり見つからない。
「ここだよ・・・」
もう一度彼の声が聞こえたと思ったら、後ろから逞しい手が私を抱きしめてくれた。
背中と胸が密着して、彼の鼓動が伝わってくる。
耳には彼の吐息がかかる。
「黒崎君・・・・」
ここで私はたつきちゃんの言葉を思い出した。
『乳でも揉ませりゃ、向こうから襲ってくるって!』
よーし・・・物は試し、だよね。
私は肩にかかる彼の掌をそっと掴み、自分の胸へとあてがった。
一瞬彼の手がビクッとこわばったけど、スグに私の胸を弄り始めた。
「いいのか?――」
「うん・・・黒崎君とだもん。」
少し間が開いて、また彼の手が動き始めた。
「きゃっ・・・・」
首筋に生暖かいモノが触れた。
それはチロチロと私の肌をくすぐっていく。
背筋をゾクゾクとした感覚を私を包む。
「く、くすぐったいよぉ・・・・」
彼の舌から逃れようと身をくねらせたけど、彼の腕がガッチリと私を抱き寄せてくる。
おまけにさっきまで胸を弄っていた手が、服の中に入ってきた。
おへそから撫でまわすように、指が身体を這い回る。
直にブラに到達すると、ちょっと乱暴に上着ごと捲り上げた。
ホントは寒いはずなのに、不思議と体は温かかった。
体中が熱い。全身の血が沸騰しそう。
後ろで、バサッと服が床に落ちる音がした。
「井上・・・・」
耳元で彼が囁く。聞きなれた自分の名前が、黒崎君に呼ばれただけでとても愛しく思えてくる。
「黒崎・・・君・・・」
後ろにある彼の顔を見ようと体を捩る。
視界の端にしかめっ面が入ったと思った瞬間、口を塞がれた。
唇を割り開き、彼の舌が進入してくる。
最初は少しゾクゾクしてたけど、スグに慣れた。
気づけば、自ら彼の口に舌を滑り込ませている私がいた。
恥ずかしかったけど――嬉しくもあった。
彼と繋がっている。そう思えたから。
私がそんなことを考えている間にも、彼の手は止まらなかった。
こね回すように胸を掴んでは離し、指で先端を転がしてくる。
もう充分に火照ってた身体が更に燃え上がる。
「あ・・・ん・・・そ、そこは・・・っ!」
胸を弄られてばかりで感覚が乳房に集中してるその時に、
いつの間にか黒崎君の手はスカートのホックを外し、ショーツの下へと潜り込んでいた。
思わず唇を離して、声を出しちゃった。
でも黒崎君の手はそんなの気にも止めないで、どんどん進んでく。
恥毛の茂みを抜けて、彼の手がソコにたどり着いた時、
私は初めて自分が濡れているんだと気づいた。
「ふぁ、ぁ ん・・・き、汚いよ・・・」
指の動きに合わせて、クチュクチュと水音が立つ。
静かな体育倉庫の中でその音が反響して、妙にイヤらしく聞こえた。
「や、ヤだ・・・音・・・んくぅ・・・あ、ふぁ・・」
足が震えて支えていられない。膝が笑ってる。
スッと力が抜けたと思ったら、私は黒崎君を引き込むような形でマットに倒れこんでた。
「井上・・・俺・・・もう・・・」
呟くようにそう言って、黒崎くんはズボンのファスナーを降ろす。
すると、枷が外れたみたいに彼のモノが勢いよく飛び出した。
暗くてよくは見えなかったけど、小さい頃お風呂で見たお兄ちゃんのソレとは全然違ってた。
苦しそうにドクドクと脈打つのが見て取れた。
――不意に、私は千鶴ちゃんが言ってたことを思い出した。
『私が男だったらなぁ・・・アンタの胸でパイズリとか出来r』
此処でたつきちゃんのツッコミ(もとい突き)が入ったんだっけ。
私の胸が役に立つなら・・・。
気づけば私は黒崎君のモノを自分の胸で挟み込んでた。
両側から優しく押さえつけるように乳房をスライドさせる。
そのうち、黒崎君が自分から動き始めていた。
彼の腰の動きが、直に全身に伝わってくる。
動きが早まったと感じたとき、目の前の肉棒から熱い液が吐き出された。
「んっ・・・!コレが・・・黒崎君の・・・」
「わ、悪い井上!!か、顔に・・・」
顔に飛び散った白濁を指で掬い取り、マジマジと見つめてみる。
独特の匂いが鼻を擽る。
「いいよ。黒崎君のだもん・・・気にしないから。」
彼のモノだと思うだけで、全く気にはならなかった。
黒崎君はバツの悪そうな顔をして、頭を掻いていた。
「・・・まだ、苦しそうだね。」
眼前のソレは未だビクビクと脈打っていて、やっぱりつらそうだった。
「井上・・・いい、よな?」
子どもみたいな声で彼が尋ねた。
何だかその表情が可愛らしく感じて、ちょっと噴出しちゃった。
「クスクス・・・・うん・・・大丈夫。――多分。」
黒崎君のモノが入り口で右往左往してる。
その瞬間がいつ来るかわからなくて、私は目を閉じた。
――ブチッ。
そう聞こえた気がした。
痛い。涙が出た。
でも、痛くて出たわけじゃない。そう思った。
私の中に沈んでいく黒崎君を感じて、嬉しかった。
繋がっている。そう思うだけで、不思議と痛みは引いて行った。
「・・・大丈夫、か?」
一番奥まで彼のモノが入っていくと、黒崎君は動きを止め、心配そうに私を見つめた。
「うん・・・いいよ・・・動いて。」
暗闇でボヤけた彼の顔は、笑ってたと思う。
眉根に皺がよってたけど、顔は笑ってた。暖かくて、嬉しかった。
黒崎君が出入りする度に、入り口がジンジンと痺れてくる。
「あ、あぁ、ふぁ くぅ や、やぁ・・・」
半分意識が朦朧としてた。
頭がふやけちゃったみたいにボーッとしてて、ただ声が漏れる。
もう何も考えられなかった。ただ、与えられる刺激に反応するだけ。・
「わ、私・・・おかしくなっちゃ・・・何か・・・変だよ・・・あぁ・・・ふ・・・うぁぁああっ!!」
黒崎君の動きが止まった瞬間、私の中に熱いモノが迸った。
同時に、私の中で何かが弾けた。
「・・・・黒崎君」
「ん?」
「アリガト。」
「・・・・・ん。」
彼は初めてじゃなかったみたいだった。
多分、朽木さんと。
でも、今はそんなことどうでもいい。
いまは、今だけは黒崎君は私のモノ。
いいでしょ?神様・・・たった一度のお願い、叶えてくれたんだから・・・・
もう少し、このままでいさせて。
糸冬
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