. . . N o v e l s. . . |
08:欲望(中七) |
ベッドサイドに置かれたコーラ。 口に含んでも炭酸の刺激は既に感じない。 甘味の強い水分が体に浸み込むのを感じる。 体に纏う気だるさはベッドから出るのを拒み、 仕方なく自分のベッドを我が物顔で占拠する男の隣に再び横たわる。 無言で自分の体に回される腕で思い出すのは、 夜毎繰り返される非生産的で淫らな行為。 抗う言葉は口から出ても、 最後はそれを受け入れてしまう。 あの男が強引な所為なのか、 自分が欲望に弱い所為なのか。 どうするのが自分にとって一番いいことなのか。 考えてもわかることではないけれど、 思考の波が僕を襲う。 「何を考えている」 「別に。他愛もないことです」 言い切ると同時に唇で口を塞がれた。 肉感的で濡れた音が頭の中に響き渡った。 答えなんて出ないまま、そして僕は欲望に溺れる。 |
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