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15:愛しい君へ(岩西) |
放課後の美術室へ突然現れた来訪者。 彼は予算のことで話があると岩井に告げた。 「珍しいな…西園寺が来るなんて…」 「ああ、臣が所用でいないのでな。 急ぎの話だったのでこちらから出向かせてもらった」 「わざわざ手間をかけさせてすまない」 「いや、こっちの都合なので気にするな」 用件を済ませた西園寺が一枚の絵に目を留めた。 ゆっくりと全体を見て、そして微笑む。 「いい絵だな」 「そうか? ……ありがとう」 「もしよければ私に譲ってくれないか? もちろん見合う対価は払う」 「いや…気に入ってくれたんだったら持っていってくれて構わない」 「では、ありがたくいただいていこう」 西園寺が気に入ったのは、 淡い色で彩られた風景画。 そしてその風景には東屋が描かれていた。 |
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