. . . N o v e l s. . .

   LOVERS KISS
キスなんて今までしたこともなかったから。
ちょっと気になる行為だ。
唇と唇が触れ合うってどんな感じなんだろう。
とか考えているうちに、御剣の顔が迫ってくる。

でも、目が合った瞬間。
御剣は僕から遠ざかった。

「目を閉じないのか?」
「閉じなきゃならないのか?」
「そんなことはないと思うが・・・・」
「キスの時には閉じるものらしいのだが・・」
「でも、御剣は開けてるじゃないか?」
「男はいいんだ」
「僕も男だよ?」
「・・・・・・」
「御剣?」
「わかった・・・」

いつもよりも眉間に皺が寄っていたが、
自分の中で何かに決着をつけたかのような御剣は
真剣な面持ちで僕の顔に近づいてくる。
鼻と鼻が少しくっついたかな・・と感じた瞬間。
唇にふわふわとした感触を感じた。
ほんのりと暖かいこれが御剣の唇。
何だか、自分の気持ちまでふわふわする。
こんなとき御剣はどんな顔してるんだろう。
ふと疑問に思い御剣の表情を伺うと、
御剣はしっかりと目を閉じていた。
結局、性別なんて関係なく目は閉じるものなのかもしれない。
それにキスの感触は目を閉じている方が
より深く感じられるはずだ。
視覚を奪うと人はその他の五感が鋭くなくって言うしね。
意を決してギュッと目を瞑る。
と同時に御剣の舌が僕の口に侵入してきた。
さっきのふわふわとした感触とは違い。
妙にぞくぞくと背筋が震える。
今までに体感したことのない感触。
これが快感なのか、悪寒なのかわからない。
わからないけれど、御剣の舌が口の中に入ってきても、
嫌だとは感じなかった。


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