第五話 揺るぎないもの



「楫斗!」

屋上まで行きやっと追いついた。そこで俺はやっと名前を呼ぶことが出来た。
ずっと寝ていたせいか、普段体を動かしていない俺にとっては運動するとこによって命が削れる勢いだった。
俺が付いたころには楫斗は既に泣き乾いていた。

「笑ってよ。僕の目にはまだ涙があるから…」
「…」
「僕はまだ、泣くには速いんだよね…目がそういってるよ。」
「楫斗…」
「何?お兄ちゃん。…僕だけのお兄ちゃん…」

すると抱きついてきた。よほど哀しかったのか。それとも、いつも一人で苦しかったのか…
俺は隆矢を抱くように抱きしめた。彼は隆矢より髪の毛がさらさらしていて、長いのでての置き場に困った。
しばらくそのままでいた。屋上には他にも人がいたので少し恥ずかしかった。でもまぁ…良いだろう。

「なぁ。楫斗。」
「何?お兄ちゃん」
「楫斗が思っているとおりにお母さんやお父さんに伝えてみたらどうだ?」
「…ぇ?」

ものすごい不思議そうな顔で俺のことを見てきた。こうゆう(どうゆう?)視線で楫斗のこと見たのは
初めてだったから、ものすごく恥ずかしかった。女の子みたいな顔だから(笑

「俺…母さんも父さんも好きじゃないんだ。実際に二人とも俺のこと嫌いだし、話も聞いてくれない
この目だって…本当は障害なんかじゃなくて…」
「そう…なのか…」

俺はその時、楫斗が安心し始めたのか、一人称が俺に戻っていることに気づいた。
はぁ、それにしてもこの体制のままだと恥ずかしすぎる。

「あ…(////)ごめん。なんか俺ずっとくっついてたね。」
「あぁ…いや、別に。その…俺の弟だしな。当たり前…かな…(あー言葉が見あたらない)」
「嬉しい^^」
「ソレはよかったよ。俺、肝心なときになにも出来ない野郎だから。」

「でもさ、こんなに近づいてると兄ちゃんの体温感じるな。顔もしっかり見れて嬉しい。」
「そんなこと言われるのは初めて…じゃないなぁ。でも俺も嬉しい。」
「誰かに言われたの?ってもうその年じゃあねぇ…」
「ななな…俺は決してそんなことはしてないぞ!!!!だいたい言われたのは隆矢からだし…」
「隆矢君かぁ…いいな。兄ちゃんと毎日一緒にいたんだ?」
「そりゃぁ兄弟…だしな…一様な。」

さて。そろそろ病室に戻ろうか…と思った瞬間いきなり頭が痛くなってきた。
ズキッ、ズキッ
「くっ…頭が…急にぃ…」

「!!??兄ちゃん?!兄ちゃん!!大丈夫?!」
「…あぁ。」

苦しくとも、まぁ俺にとっては今まで幸せに生きてきたんだから痛くても我慢するというのが男だという
感じなのであまり気にしないで部屋へ戻っていった。帰る途中楫斗とスピードを会わせていたので
ものすごくスローリーになったが、なんとか部屋に戻れた。そこにはもう隆矢はいなかった。まぁ、俺が
来るなっていったんだし、どっかにいるだろうと気にもしなかった。隆矢がいじけるのはいつものことだし、
いつも悪いのは隆矢の方だからだ。

「なぁ…兄ちゃん。俺、母さんと父さんにちゃんと伝えてくる。俺の気持ち。」
「それは良かった。俺もやっと安心するよ。」
「うん。」
「頑張れよ。俺は何時でもお前の見方だからな。」
「嬉しい^^俺はいつでも兄ちゃんの弟でいてあげるよ。」
「じゃあ、今日の夕食までには帰ってこいよ?」
「うん。ただ、お母さん達の居場所わかんないし、看護婦さんと一緒に行くよ。これでも俺結構有名だから」
「そうなのかぁ…」


そのまま笑顔で手を振りながら看護婦のところへ行った。はっきりいって俺はかなり心配だったが、
さっきから頭は痛いし、体力がないのでこれ以上動けないと認識したからついて行かなかった。
まぁ、あれだけ可愛い子供なんだから絶対に許してくれるんだろうな…そんな感じがしていた。楫斗の
おやなんだからな。ものすごくお人好しなんだろうな。



その頃家では隆矢と望の父親が二人きりになっていた。
隆矢は家に帰っていたのだ。もちろん悲しんでいただろうし、作者からするとかなり萌なのだが…(爆死

「おい、隆矢。お前望のところに行ってきたんだよな?あいつになにかしなかったか?私の望が汚れて
しまうからな。お前は手でも洗ってからあの部屋に入ることだな。」
「…話しただけだよ。のぞ兄は優しいからあんたみたいに『手を洗って』なんて言わない。本当にあんたの
子供なの?僕もまたあんたと母さんのなかに生まれた子だったとしたら…」

バシンッ

「暴力?…それが子供に対するしつけの仕方なの?親ならもっと口で攻めてくるよね?お義父さん。」
「うるさい。だからお前は嫌いなんだ。私は瑚鞠がお前を気に入って拾ってきたときから気に入らなかった。
私と瑚鞠の子じゃないやつにどうこう言われる筋合いはない。」
「勝手にいってなよ。兄ちゃんは俺のことが好きだし、俺は兄ちゃんのことが好き。だからあんたには
俺とにいちゃんの中を裂く権利はない。」
「…お前は本当に暴力が好きなんだな。捨て子め。」
「あんたはどこまで腐ってるの?!」

バシン!!!

「腐っているのはお前だ。俺の血が流れていないから望のような子にならないんだな。」
「なっ…」

「ん…っ…やめて…っ」

その後狂ったように自分の腕を刺しはじめて、出てきた血を隆矢にかけ始める。
血の色は真っ赤で、鉄分のにおいがする。口に入れば鉄のような味がするのもこのせいだ。
隆矢は、今日の朝見たあの場面を思い出してかなりふるえていた。ふるえると言うより、無意識に
身体が動くと表現した方がいいだろう。すると隆矢の頭の中には今朝のことだけでなく今までの
残酷なものも全て呼び起こされた。

「ははははははは!!!!!!!!!!!!!!!!」

狂っている。とはこうゆうときに使う物だ。その後力が抜けてなにも言うことが出来なかったし
抵抗も出来なかった。そしてそのまま意識がなくなった。




「あ…もう夕飯の時間か。」
「そうですよ。ちゃんと食べてくださいね。」
「あの…こっちの男の子はどうなったか知ってますか?」
「楫斗君のこと?確か、今日手術するって聞いてたけど…長引いてるのかしら?」
「手術受けてるですか?!」
「それは、今日っていって聞かなかったですからね。両親の方が…」

「そんな…」

『でもさ、こんなに近づいてると兄ちゃんの体温感じるな。顔もしっかり見れて嬉しい。』

「あんなに素直な子だったのに…」

「そうよね…昼からまだ手術なんてやってたら、まだ子供だし…体力が持つかどうか…」
「まさか…目の手術で死ぬなんて聞いたことないですよ?」
「いや。もしかしたら…でもあの子に限ってここからいなくなる訳がないとおもってるからなぁ。」
「…」
「もしあの子がいなくなったら、あなたは悲しむでしょう?あの子がここに初めからいなかったなんて
思わないわよね。」
「ですね…」

「まぁ、それは最低でのことだから。そんなに簡単に最低になったら私たち患者さんをとっくに
みんな殺してるわよ。」
「ハハハ…ちょっと(かなり)怖いですよ…」
「まぁ、ご飯はちゃんと食べてね。」
「はいはい。」







俺はそのまま眠っていた。そう、気づかないあいだに寝ていたのだ。夜中に目が覚めて隣を見ると
とても騒がしかった。だから目が覚めたのだろう…となりをしばらく見ていると、宿井楫斗と書いてある
札がたれていたことに気づいた。そこには綺麗な花が飾ってあり、手紙と写真。そして飲み物などが
様々な方向においてあった。俺は退院かと思い安心していた。俺はまだ退院出来ないってゆうのに…

するとそこにたっていると思われる女の人と男の人が真剣にはなしているのが聞こえた。

「これで貴方と二人きりになれたわ。」
「あんな気味の悪いヤツは死んでしまって当然なんだよな。」
「そうよ。これで私と貴方は解放されるの。」

死んでしまって当然…?
その時俺の中のなにかが動き始めた…そして激しい頭痛と吐き気が俺を襲った。






感想:綾崎→あー…やっちゃいました。



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