第四話 目の見えない世界
「何当たり前なこと言ってるんだ?」
「見えないんだよ…今の僕には。」
俺は、病院という場所でつくった友達が、俺以上に苦しんでいて、でも頑張ってる。
心の持ちの強さを味わった。俺だって何時までもマザコンでいるわけにはいかないし、
だいたいこの子の方が年下なんだから…
「おはよう。楫斗。」
横を向くと既に起きていた楫斗が光のない目を開けてこちらを見た。
見えないのだから「見た」と表すより顔を向けたの方があっているかもしれない。
「おはよう…望兄ちゃん。」
「……は?」
「だって、昨日隆矢君がそうよんでたし…w俺、ずっと兄貴が欲しいって思ってたから。」
「まぁ…良いけど;;;あんまり人前で叫ぶなよ?そのうち隆矢が走って…」
「誰が走ってくるって?」
「げ!!!!」
なんでこんなところに!!なんと…隆矢は俺のベットの下に潜んでいやがったんだ…::
あり得ない行動を常に犯しているのでこいつには解らないだろうが、俺の方から見れば常にバカ+困ったさんなんだけどなぁ;;
「全く。のぞ兄ちゃんは…」
「こっちこそ言いたいよ;全くなんでこいつはいつも女みたいにベラベラしゃべったり、いきなり泣いたり、潜んでたり…」
「…なっ!!!」
「ははは…」
楫斗が笑って、そして俺たちも笑顔になってきた。
なんだか楫斗が笑ってくれるとこっちも幸せになってくるから…
「本当に面白い兄弟さん達だね…」
「まぁ、いつものことよ…」
母さんが死んだのにこんなに明るくして良い物か;;;
すると看護婦さんが来て楫斗に耳打ちをしてから部屋を出て行った。
「なんかあったのか?」
「あ…ううん。なんでもないよ。…ただ。」
「ただ?友達なら気軽にはなせよ。」
「…」
「今日、もしかしたら俺、本当に前が見えなくなるかもしれない…」
少しふるえながら言ってくれた。なんでも今日は手術を強制的にされる日らしい。
楫斗の目は特殊にできていて、手術の成功率はかなり低いとか…
このまま手術しなければだんだん視力が落ちていって手遅れになるし、今日手術すれば
低い確率でも目が見えるようになるということで親が本人の意思を無視して手術が決まったそうだ。
「でも、どうして楫斗は手術したくないんだ?」
すると俺の後ろにいた隆矢もひょっこり顔を出して不思議そうな顔をした。
楫斗には気配しか分からないためか、顔を出した隆矢には全くきづいてなかった。
「…手術して上手くいったとしてもその確立はかなり低い…だったらこのまま少しずつ死んでいく目を
自分で見届けたい…。そして、もしこの目が使えなくなったら…もうこの先どうしたらいいか解らなくなるような気がするんだ。
何も見えなくなって…この先何もなくなるような…」
また部屋が静まりかえった。俺的には楫斗のいうこともわかるが、
なおしてあげたい親の気持ちも分かる気がした。どっちをすすめたら良いのだろうか…
「時々そんな夢をみるんだよ…目が見えなくなって、周りのみんなが笑ってるんだよ。
僕のことを。僕には笑い声しか聞こえない…そんな夢を。」
すると部屋から立ち去る物が現れ始めた。
俺は立ち去ること何てできなかった。質問したのは俺だったんだから…
「えっと…俺は…」
楫斗は光がない目で俺のことを見上げた。
「…俺は笑わないと思う…ごめん。これぐらいしか言ってあげられなくて…」
「気にしなくていいよ。俺もちょっといいすぎたし…」
寂しそうな顔をしていた。
その後楫斗は手を使って立ち上がり廊下に出て行った。
「のぞ兄…あいつ大丈夫かな?」
「俺がついていくよ。発言した責任は俺にあるしな。」
「じゃ、じゃあ俺もついてく!!」
「お前はついてくるな…ごめん。」
「なんで…?」
隆矢の声は望むには届いていなかった。
望は楫斗のなにかに引かれていたのかもしれない。
「…ひっく」
その後、隆矢はこっそり泣き出していた。
「どうして…僕は…」
一人称が俺から僕に変わっていた。
そのあと静まりかえったと思ったら立ち上がり、窓から見える太陽に向かって
なにか囁いていた。
続く
感想→by綾崎
すいません。また意味不明ですね;;ごめんなさい。
ただ、最後のシーンはアクエリアンエイジを参考にいたしました。
本当は月に向かっていうのですが残念ながら朝だったので;;;;;
私ウィズダムが兎に角大好きなんですw(ストーリーと関係なし
それでは。最近こっちの更新のほうがおもしろい(殴蹴
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