第三話 悪魔と天使
「…嘘…」
「…」
「…のぞ兄…」
「嘘だ…」
その時の俺はいつもの俺じゃないようなきがした…
「嘘だ!!!!!!!!!!!!なんで…なんでだよ…」
すると父さんは慌てて答えていた。父さんの目にも涙があった。
「お前は、瑚鞠がずっと苦しんで欲しいのか!!!!!!だからだ…」
「…でも…母さんは…俺に…あんなに優しかったし…」
こんなに望が泣いているところを見たのははじめてなのか…
隆矢は黙っていた。生命維持装置のことを望に伝えるときは絶対泣かないって決めて
いたからだろう。もう泣く力もないと思う。
そしてその後俺は言い返すことも、母さんを助けることもできなかった…
だって…俺は…
次の日、葬式の準備やら何やらで、俺のところには誰も来なかった。
病院は異常なほどに静かでいつもうるさい俺にはたまらなかった…
俺は母さんと違って大勢の人と同じ部屋なので金も浮くし、暇つぶしに話すこともできる
と思われていたのだろうか…俺が話すわけないのに…
「ねぇねぇ…お兄ちゃん。」
すると隣に寝ていた男の子が話しかけてきた。
見た目からすると隆矢と同い年ぐらいで、病弱とは思えないほど元気そうな顔だった。
しかし、その顔もどこか哀しかった気がする。
「そこに何かおいてあるの?」
そこ…?指を指したところをみると、手紙らしき物が置いてあった。
「手紙がおいてある。わかったことをきかなくても…」
「わからないんだよ…」
その時やっとそのこの病気に気がついた。
目が見えないのか…
「手紙なんておいてかれても困るのに…」
「…俺が読んでやろうか?」
「いいの?」
「別に。今暇だしな。」
そして俺は手紙を開けて内容をゆっくり読み上げた。
「楫斗君へ。 お元気ですか?
私はとっても元気です。運動会ももうすぐです。私が走ってる姿を
見てもらえないのが残念です。練習をしていたらタイムが早くなって
選手に選ばれたんだ♪」
「誰からの手紙?」
「えっと…渚よりって描いてある。」
「続けてくれる?」
「ああ。」
「そして、先日。私の…」
「お兄ちゃんどうしたの?」
「いや…これは…」
「漢字が読めないの?」
「違うんだけど…」
「じゃあしっかりよんで。」
「でもね…運動会には出られないの…かなしいなぁ…
何故かというと…二日前、私の父と母と姉は、私が運動会の練習で遅れたときに
丁度殺されました。犯人はまだ見つかっていなくて、私は保護されることになります。
楫斗君にはもう手紙を送るのも難しくなると思います。
だから、手紙をおいていくことにします。勝手いってごめんなさい…
渚より。」
すると周りがいきなり静まりかえって、部屋から出て行く物も現れた。
一番ショックなのはこの楫斗という男の子だと思う。
「お兄ちゃん…」
予想が当たった。楫斗という男の子は、泣きながら俺の方に倒れてきた。
何をしていいのかわからなかったが頭をなでて抱いてやった。
「男の子は泣いちゃいけないんだって母さんに教えてもらわなかったのか?」
「だって…っひっく…もう誰からも…手紙が来ることはないし…もう誰にも…学校であったりできないから…」
「…実はな…俺の母さんも昨日この病院で死んだんだ。しかも…俺をかばって…」
「…」
「だから気持ちがわかるような気がする。
そして、俺がお前の近くにいてやるし、手紙だって送ってやるよ。」
「…ありがとう…」
「そういえばお兄ちゃんの名前ってなんて言うの?」
「下田 望だ。好きに読んでくれていい。」
「僕は宿井 楫斗。みんなからは楫斗ってよばれてるよ!」
その時、なんとなくだが…俺は俺で無いような気に追い回された。
次の日…
「のぞ兄〜!!!お久しぶり〜!!!」
「あのなぁ…まだ一日しかたってないだろうが…」
「あれ?この人が望の弟?」
「ああ。」
「のぞ兄。このこ誰?…まさか…!!!彼女なんじゃ!!」
「んなわけないだろ…;」
「僕の名前は宿井 楫斗です。よろしくお願いします^^」
「…俺は…下田 隆矢…」
「なんて呼べばいい?」
「好きに呼べよ…。別にそんなのどうでもイイだろ?」
「…」
「おい!隆矢。まだ小さいんだから泣かすなよ?」
「だって…のぞ兄が俺に見せないような優しい顔でこの子に接していたから…」
「…は?お前見てたのか?」
「…はっ!!な、なんでもないよ〜。聞き間違えだよ?ね?」
「なんか妙に怪しいな;;」
そんなこんなで病院で新しい友達ができました。
感想
ようやく更新です〜遅れて申し訳ありませんでした;
だんだん話がずれているのは気にせず。
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