第二話 天使が舞い降りた



「はぁ…どうしてこんなに馬鹿になっちまったんだ…。俺」

窓の外を見ながら独り言をいう癖さえばかばかしく思えてきた。
そもそも、俺は勉強が好きだったはずなのに、嫌いになってるし、
九九もよくわかんねぇし。だいたい…なにも勉強していない隆矢がどうして
あんなに頭が良くて、ギャルゲー好きで、コスプレイヤーになったんだ?

すべては俺、下田望は弟の下田隆矢のために、手術をして
脳を少し分けてからのこと…


「お〜い。のぞ兄。まだ寝ないのか?」

キタ…全く。脳天気なヤツだぜ…(笑

「まだねねぇよ。勉強終わってねぇんだ。」
「わかった^^。がんばれよ♪」

夜になるといつも俺の部屋にきて、絶対何かを話してくる
そのおかげでこの時間帯は勉強をしなくてはいけないような気がして
いつも寝られない。そして、あいつがくればまた寝られなくなる。

「ふぅ…」

そう…その時だった。俺の前に光るなにかが見えたんだ。
興味があった。勉強以外の事はこの時間にすることがないためか、すごく気になった。
そしてその光るモノを手で触ってみた。

「冷たい…」

そう。光っているように見えた雪だった。
後からたくさん降ってきた。

「…東京に雪なんて…」

最近は外に出る人が少なく、人気がないためか、雪の降る”オト”が聞こえた。
降る時には絶対にならないはずなのに、今日は何故か雪としゃべれるような気がした。

「はぁ…雪って冷たいけど、綺麗だよな…」

その瞬間人が上から落ちてきた。大声を上げてギャ−−−−−−−−−−っといっている。
こんな夜に叫びながら自殺するヤツもいるんだな?っと思った。

…へ?

なんとその人は俺の目の前に来た。しかも羽が生えていて肌が白く。
瞳は赤かった。

「お前!!だ…誰だ?!!その羽は…?」

俺はついつい叫んでしまった。

「何々?私が見えるの?」
「…は?」

こんな話よく聞いたことがある…

「って…こんな展開あるかぁ!!どっかのおとぎ話だろうがっぁ!!」

俺の癖の2つめ、つっこむこと。なんでも叫びながらつっこんでしまうのだ。

「私が見えるなんて…あんた魂が消えかかってるよ?」
「は?」
「だから…う−ん。なんていったらいいんだろう。」
「…(で、結局この人はナンなんだ…)」

「余命一ヶ月ってとこ?かしら。私ちゃんと勉強してないからなぁ…もっと少ないカモねぇ。」

いきなり、あなたは死にますっていわれたようなもんじゃないか…
なんでそんな事がわかるんだ?幽霊かこいつ?

「死因は自殺。まあよくあるパターンね。」

「はぁ?」

するといきなり元気がなくなったように声が低くなり…ボソっとなにかを言った。

「そうしたら…私と同じになれるのよ。」







そしてそのまま飛んでいってしまった。
全く、何が言いたかったのか意味が不明だ。


「俺…死ぬのか?…」

かなりショックだった。あのときはたくさん新しいことがありすぎて
頭の中がごちゃごちゃしていたけど…今思うと、死ぬって…一番恐いことかも知れない。




そして、俺の冬は始まった。





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