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星の海に消えた嘘 もはや動けるのはガオガイガーだけだった。 機界新種を止めるための作戦を、αナンバーズはただ見守るしかなかった。 やがて。 「命……愛してる」 サイボーグの呟いた瞬間。 たった二人の世界は、光に包まれた。 光の奔流の中、男と女が立っている。 男は女をしっかりと支えていたが、女の方はそれに頼らず、何とか一人で立とうとしていた。 男──獅子王凱は、女──卯都木命をそっと抱きかかえる。 「命」 「……凱……」 「命、もう離さない……」 男の全てをかけたかのような告白だったが、命はそれを聞くと、少し寂しそうに微笑んだ。 「……嘘吐き」 「え……?」 「凱は…優しいから……私が元に戻れるように、あんな嘘を言ってまで……」 「まさか、知って…いや、気付いていたのか?」 先程までの穏やかな表情が一変し、凱は慌てた。 その凱の顔が、全てを物語っている。 先程の命に向けた愛の言葉はにせものなのだと。 しかし、そのにせものの言葉で還ってきた自分も、余程この男のことが好きだったのだ、と…… そう感じて命は苦笑し、続けた。 「当たり前でしょ……何年パートナーやってたと思ってるの?」 「……」 「ううん、私だけじゃないわ……結構みんなにばれてたのよ。凱がさんのこと…って」 「そう…だったのか……」 「凱、知らないでしょ?さんを狙ってる人って、かなりいたのよ?」 「そいつは知らなかったよ……その……すまない、命…俺は」 「もう、それ以上はいいわ!こうなったら、さんに凱のことを任せちゃおうって思ってるし」 命は凱の謝罪を遮って、笑ってみせた。 この人の心の一番奥にいるのは自分ではないのだ、ということに多少の寂しさを覚えたものの、いつまでもうじうじしてはいられないのだ。 それなら、自らの想い人が選んだ女性との仲を応援してやるのが筋と言うものではないだろうか…… 「さあ、もう帰らないと!さっきの告白、さんにも聞こえちゃっただろうし…誤解を解かなきゃ、ね?」 「……そ、そう言えば!」 凱はあっという顔を作ってみせる。反対に命は楽しそうに微笑んだ。 そのまま二人は、GGGに回収され……の元へと急ぐことになる。 「あ、凱さん!」 「っ!……あ、あぁ、……」 二人を出迎えたのは、なんだかやけににこにこした表情の。 一体何がそんなに嬉しいのだろう。そんな疑問を覚えつつも、凱は手を振ってみせる。 は手を振り返した後、今度は命に向かって笑いかけた。 「命さんも、無事でよかったです……それに……」 何だか照れくさそうにそこまで言って、は押し黙る。 これは、やはり誤解されている。 「ちっ違うんだ!あの…さっきのはその……」 「え?何が違うんですか?」 「いや、だから……さっきの戦いで命に言ったのは……」 凱は本当に言いにくそうに、しどろもどろになりながら言い訳にも近い弁を振るう。 実際、勇者としても一人の男としても、非常に言いにくいことだったのだ。 本当のことをに言ったら、彼女はどんな顔をするだろう。 『みんなの前で嘘の告白するなんて最低』……だろうか? それとも、『本人の目の前で言うことないじゃないですか』……だろうか? 最後の審判を待つような気持ちで、凱は祈りにも似た気持ちをに向けた。 しかし。 「……あ、すみません。機界新種戦は機体の調整にかまけてましたので……実は外で何があったのか詳しく知らないんですよー」 あまりにもあっけらかんと、はその人畜無害な笑みを向けたのだった。 その後、のあずかり知らぬところで、 『機界新種の時のアレはには絶対教えないでくれ!!』 とあちこちを渡り歩くエヴォリューダーの姿が見られたとか見られないとか。 しかし、『ライバルは一人でも少ない方がいい』と考えた誰かの手によってばらされるのも、もはや時間の問題である。 |
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ヒロインはニルファ連載からの続投で、まだ凱さんの片想い(長いなー)です。 もしサルファまで連載が続くことになったら、機界新種戦はこれを採用します。 つまり、本編では書きません!(笑) |